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2016/08/14

上方演芸会「3代目春団治トリビュート」(2016/8/13)

「横浜にぎわい座 第五十回 上方落語会」
日時:2016年8月13日(土)14時
会場:横浜にぎわい座 芸能ホール
<  番組  >
桂春蝶『地獄めぐり』
桂梅団治『いかけ屋』
桂春若『代書屋』
桂春雨『皿屋敷』『寄席の踊り~五段返し』
~仲入り~
桂小春団治『アーバン紙芝居』
桂春之輔『親子茶屋』

横浜にぎわい座で定期的に開かれている上方演芸会、今回は50回記念として「3代目桂春団治トリビュート」と題して、師匠に因んだネタを演じるという企画。
実際には6人の出演者の中で、師匠の十八番を演じたのは4人だった。
この内、梅団治を除いて全員が初見。
上方落語四天王のうち、ナマの高座に接したのは桂米朝と3代目桂春団治の二人だが、芸もさることながら強烈に印象に残ったのが二人の「色気と愛嬌」だ。そしてこれは大衆芸能の芸人にとって最も大事な要素だ。
落語会に足を運ぶのももちろん噺を聴きに行くのが目的だが、もう一つには芸人としての落語家を見に行くことにある。
芸を磨くと同時に、いかに魅力的な芸人になるかという努力も大切だと思う。

春蝶『地獄めぐり』、当代は3代目だが、容貌はあまり先代に似てない。このネタは3代目春団治とは関係がないと断って筋に入る。中身は『地獄八景』の短縮版。明るい高座スタイルで口跡も良い。

梅団治『いかけ屋』、いかけ屋というのは穴のあいた鍋や釜に溶かした金属を埋め込んで直す職業で、アタシが幼少の頃は東京でも見ることができた。春団治のお家芸のネタだが、職業自体が無くなったのでイメージがしづらいかな。
東京では桂小南が得意としていた。 今は演る人がいないだろう。
仕事中の鋳掛屋と、それをからかう悪童との掛け合いがストーリーで、悪童どもに手こずる鋳掛屋の姿が見せ場。声がこもっていて、聞き取りずらい箇所があったのが残念。
【訂正】8/16
落語通(寄席通い47年目)さんから指摘があり、調べたところ柳家喜多八が『いかけや』を度々高座にかけていた。ラジオ放送や、録音のダウンロードも2か所のサイトで行なわれている。
従って本文中の該当箇所を削除します。

春若『代書屋』、3代目が米朝から教わったネタで、春団治が高座にかけるようになってからは米朝は演じなくなったという。
春若は初高座にこのネタをかけたそうだが、随分と度胸が良かったんだ。
師匠譲りの代書屋と無筆の客との軽妙なヤリトリで聴かせていたが、大きな違いは師匠が演じる客の男がなんとも可愛らしく見えたこと。それと師匠の高座では、履歴書の紙がまるでそこにある様に丁寧に描いていたように記憶している。

春雨『皿屋敷』、痩身で眼が鋭く見える。マクラやネタになると軽妙洒脱で、見かけとのギャップが大きい。
1席終わった後の寄席の踊り『五段返し』が真に結構でした。芝居の(演目は不明だが)開幕から五段目までを3分弱の踊りで見せるのだが、この舞う姿が綺麗なのだ。曲は『越後獅子』だった。
羽織の脱ぎ方と踊りで、師匠の芸を継承している。

小春団治『アーバン紙芝居』、創作で、師匠十八番の『いかけ屋』の現代版。脱サラの男が昔懐かしい「紙芝居屋」になって、子ども達を相手に紙芝居をするのだが、さっぱり受けない。法律に詳しい子どもからは紙芝居を見せて菓子を売る行為について法的な問題を追及されるし、他の子からは「黄金バット」の紙芝居のストーリーの矛盾点を衝かれる始末。現代に風俗を織り込んで楽しくまとめていた。語りがしっかりしており、この人が師匠の後を継ぐのかと思わせた。

春之輔『親子茶屋』、いかにもという上方ネタ。
船場の大店で、茶屋遊びに明け暮れる若旦那に説教する父親、だが若旦那はいっこうに堪えず、親父より芸妓が大事という始末。「勘当だ!」と怒る父親を番頭がなだめ、気晴らしにと寺詣りをすすめる。所がこの親父、筆は大変な道楽者で、馴染みの茶屋にあがり2階座敷で芸妓を相手に扇子で目隠ししながら「狐つり」遊びを始める。後から外出していた若旦那がその店先を通りかかり、2階の遊びが面白そうなので仲間に入れてくれと頼む。こちらも扇子で目隠しし「子狐」となって遊びに加わる。遊び疲れて二人は扇子を取り対面。
「こ、これ、せがれやないか」
「あっ! あんた、お父っつぁん」
「うむ~、せがれか・・・・・必ず、博打はならんぞ!」
でサゲ。
うん、この父親のような茶屋遊びをおぼえないと、芸人の「色気と愛嬌」は身に着かないのかも。
そう思わせた一席。

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コメント

「いかけ屋」は亡くなった喜多八師が稀に寄席でかけていましたよ。
ほめく様はあまり寄席へは行かれませんか?

投稿: 落語通(寄席通い47年目) | 2016/08/16 18:33

落語通(寄席通い47年目)様
ご指摘有難うございます。「いかけや 喜多八」で検索したら何件も出てきました。録音のダウンロードも2か所がやっていました。
不勉強を恥じ、早速本文を訂正します。

投稿: ほめ・く | 2016/08/16 18:59

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