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2016/08/27

#67人形町らくだ亭(2016/8/25)

第67回「人形町らくだ亭」
日時:2016年8月25日(金)19時
会場:日本橋劇場
<  番組  >
前座・金原亭小駒『手紙無筆』
五街道雲助『汲み立て』
三遊亭圓橘『牡丹灯籠・お峰殺し』
~仲入り~
春風亭一朝『蔵前駕籠』
柳家小満ん『応挙の幽霊』

雲助『汲み立て』
2度目となるが、相変わらず上手い。
極め付けとなると圓生ということになるが、雲助の高座の方はカラッと明るい。師匠たちの夕涼みに嫌がらせする町内の若い衆たちが、炎天下でしかも屋根のない船でバカ囃子をする場面が可笑しい。

圓橘『牡丹灯籠・お峰殺し』
『栗橋宿』というタイトルでも演じられるが、『お札はがし』の続きとなっている。
伴蔵お峰の夫婦の計略によって新三郎は幽霊にとりころされてしまう。二人が住んでいた根岸の長屋の近くに金無垢の開運如来像を埋め、幽霊から貰った100両の金を懐に、伴蔵の生まれ故郷である栗橋に移り住む。そこで一軒の家を買い、「江戸荒物関口屋」という店を出す。店は繁盛し、奉公人も置くようになる。
そうなると伴蔵の浮気の虫が騒ぎ出し、近ごろは従弟の馬方久蔵を共にして、「笹屋」という料理屋通いの日々。伴蔵に女の影を感じたお峰は、馬方久蔵に酒と小遣いで騙し、伴蔵が「笹屋」に出ているお国という女と懇ろになり、金を渡していることを聞き出す。お国は亭主と江戸を出奔し、ここ栗橋の宿まできたが、亭主の足が悪くなり生活費を稼ぐためお国が酌婦として「笹屋」に出ていた。(なお、お国は幽霊になって新三郎をとりころしたお露の義母だ)
帰宅してきた伴蔵をお峰が詰問し、お国との関係を白状させる。夫婦喧嘩となるが、お峰が新三郎殺害の一件を持ち出すと伴蔵は謝罪し、お国とは手を切ると約束し、その夜は仲直りをする。
幸手でお祭りがあるという夜に二人で出かけ一杯飲んだ帰り道、幸手の土手にかかる。伴蔵は、先日江戸に行った際に開運如来像を掘りだしてきてここ幸手堤に埋めたことをお峰に告げ、今から掘り出すのでと見張りを頼む。暗闇の中、「向こうから誰か来やしねぇか?」という伴蔵の声に、身を乗り出して確かめるお峰。伴蔵は後ろからそっと近づき、脇差を抜いてお峰の肩先を切りつける。
お峰殺しの一席。
圓橘の落ち着いた静かな語りはこの物語にふさわしいが、クライマックスのお峰殺しの場面はもっと緊迫感が欲しかった。

一朝『蔵前駕籠』
気風の良い江戸っ子を演じさせたら、この人は第一人者といってもいいだろう。
吉原の好きな敵娼(あいかた)に会うためなら命をかけてもいうという、これぞ江戸っ子の鑑だ。フンドシ一丁で辻斬りたちを退ける心意気は天晴れ。

小満ん『応挙の幽霊』
幽霊の絵を集めるのが道楽の客が、書画骨董屋に飾ってある幽霊の掛け軸を見て、あまりの出来栄えに円山応挙の作に違いないとふんで、100円で買い求める。これから所用があるので一晩預かって貰いたいということで、骨董屋の主は自室の床の間に掛けた。2円の仕入れで100円で売れた大儲けの主は、嬉しくなってスコッチの高級ウイスキーを飲み始めるが、一人じゃ寂しいので幽霊の絵にも献杯する。
すると絵から幽霊が抜けだしてきて、一緒にグラスを交わす。
幽霊がお代わりを頼む時"once more"と言うので、訊けば生まれは京都だが、さらわれて長崎の遊女になり、オランダ人を客にしていたので外国語を少ししゃべれるようになったという。酔いが回ってくると「長崎浜節」を唄いだす。
♪浜じゃえ 浜じゃ網引く 綱を引く
  丘じゃ 小娘の 袖をひく♪
そこから先は二人すっかい意気投合し、都々逸合戦。
翌朝になれば客が絵を取りに来るので、酔っぱらってしまった幽霊に絵に戻るよう告げる。
絵の中に戻った幽霊はまともに立つことが出来ず、手枕で横になってしまう。
「おいおい、寝てちゃけない。立ってくれなくちゃ」
「幽霊だけに、足がないの」でサゲ。
小満んの高座は、なんとも言えないいい味を出していた。通常は骨董屋と幽霊は日本酒を酌み交わすのだが、これをウイスキーに変えている。同時に幽霊の現役時代を長崎の遊女にして異国情緒を持たせた。グラスでウイスキーを呑みながら都々逸を唄うという、この趣向が粋なのだ。
観ていて幸せな気分になる高座というのは、年間でも数少ない。良い日に巡り合った。

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コメント

これも行きそびれました。やはりかわら版をチエックしなければダメですね。

佐平次様
それは残念でした。小満んの高座、今まで見た中で最高だと思いました。

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