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2016/09/18

#12ワザオギ落語会(2016/9/17)

第12回「ワザオギ落語会」
日時:2016年9月17日(土)18:15
会場:国立演芸場
<  番組  >
柳亭こみち『代書屋』
春風亭一之輔『加賀の千代』
笑福亭たま『ホスピタル』
~仲入り~
三笑亭夢丸『五人男』
入船亭扇辰『百川』

第12回「ワザオギ落語会」は珍しいことが二つあった。
一つは、プログラムにも書かれていたが出演者の亭号に柳家、三遊亭、古今亭、桂の名が見えないこと。と思ったら、第10回もそうだったっけ。
今回は生きのいい若手を集めたと書かれていたが、扇辰をこの範疇にいれるのは無理があるね。
もう一つは、1席目から4席目まで新作落語が並んだことだ。これはお初だろう。
『代書屋』4代目桂米團治による昭和10年代の作。
『加賀の千代』初代橘ノ圓都による昭和20年代の作。
『ホスピタル』たまの自作。
『五人男』5代目古今亭今輔の作。
但し『ホスピタル』以外は古典の様に扱われている。

こみち『代書屋』、来秋の真打昇進が決まった。ネタでは代書屋の隣に女性事務員を置いて時々話の中に割り込ませていたのが特徴。女流が演じるのでこうした試みを行ったのだろうが、やはりこのネタは代書屋主人と客の男二人の掛け合いで聴かせるネタだ。
どうも女流は苦手だね。

一之輔『加賀の千代』、長雨で妻の機嫌が悪いというマクラから本題へ。「誰か始末してくれませんか? 20万円までなら出します」と言っていた。奥さん聞いたら怒るだろうな。ちょいと楽しみ。
このネタは三三が得意としていて、寄席でちょくちょく掛けていた。それまでの隠居が甚兵衛のことが好きという設定から、三三は甚兵衛が可愛くて仕方がないという演出にした。一之輔はさらに一歩進めて、もはや猫可愛がりだ。まるで祖父が純朴な孫に接しているがごとくの態度で、これが客席に笑いを誘う。
登場人物の個々の性格を目一杯誇張させるという一之輔ワールド。この日も絶好調。

たま『ホスピタル』、マクラのショート落語がとにかく面白い。紙にマジックでタイトルを書いてきて、それを次々披露するのだが、まずハズレがない。それと感心するのは、00落ち、00落ちといった色々な落ちの形が使い分けられていることだ。大変な才能である。
ネタは病院を舞台にした怪談噺。滑稽噺と見せかけておいて、最後は怪談に戻るという趣向。詳しくはネットの動画で公開されているから、そちらを見てね。

夢丸『五人男』、お祝いに芝居を演ろうと話がまとまり、「白波五人男 稲瀬川勢揃いの場」を演じることになったが、悲しいかな素人芝居。衣装は揃わずしかも穴が開いてる。セリフはデタラメで、揃っていたのはフンドシだけという一席。いつも気になるのは、夢丸のしゃべり急ぎだ。先へ先へと追い立てるような語りのためか、「間合い」が上手く取れない。この人の特徴でもあるのだが、もう少し「溜めて」語る工夫が要ると思う。

扇辰『百川』、いかにも扇辰らしい実に丁寧な高座で結構でした。特に強く感じたのは、扇辰の高座の中に百川の部屋の間取りが表現されていることだ。玄関がどこで女中部屋がどこ、二階に上がる階段がどこにあるという配置を、きちんと目の動きで表している。こういう所がプロの技なのだ。
落語は話芸だが、決して語りだけではない。上半身を使って舞台全体を表現する所に落語の醍醐味がある。

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