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2016/09/15

マハゴニー市の興亡(2016/9/14)

『マハゴニー市の興亡』
作:ベルトルト・ブレヒト
作曲:クルト・ヴァイル
翻訳:酒寄進一
演出・上演台本・訳詞:白井晃
音楽監督/ピアノ:スガダイロー
振付:Ruu
日時:2016年9月14日(水)19時
会場:KAAT神奈川芸術劇場

ストーリーは。
荒野の真ん中で1台のトラックが故障して動かなくなった。中には売春斡旋や詐欺の容疑で指名手配中の逃亡犯、ベグビック(中尾ミエ)、ファッティ(古谷一行)、モーゼ(上條恒彦)が乗っていた。3人はトラックがもうこれ以上動かないと分かると、この地に「マハゴニー」という楽園の街を作り、やって来る男たちから金を巻き上げようと考えた。
先ずは、ベグビックが腕をふるって娼婦たちを集め、酒場を作る。
酒、女、賭博、ドラッグと何でもありの理想郷目指して、若者たちが集まってくる。その中には アラスカで樵をしていたジム(山本耕史)、ジャック、ビル、ジョーの4人の男たちもいた。
4人の男たちはベグビックからジェニー(マルシア)ら娼婦を紹介され、その中からジムはジェニーを選ぶ。
当初は快楽に浸っていた男たちだが、次第にこの街の細かな規則に嫌気がさして、街を離れる者も出始める。
そんななか、猛烈なハリケーンが周囲の街を次々と破壊しながらマハゴニーに近づく。街全体がパニックに陥るが、ハリケーンは逸れてマハゴニーは助かる。
この時を契機として、マハゴニーは金が支配する街に変貌する。あらゆる拘束が無くなり、全てが金で解決できる街になった。
殺人を犯しても金さえ払えば無罪になる一方、文無しになったジムが散々浪費した後で金が払えないと分かると、裁判で死刑が宣告され処刑されてしまう。

マハゴニーという仮想の街が人々の欲望や享楽を吸収しながら反映していくが、やがて衰退の道を辿るという寓話がテーマ。
舞台というより広場と呼ぶ方がふさわしい空間の中で、歌と踊りが繰り広げられる。舞台装置や背景が良く工夫されている。
中尾ミエらの歌唱は迫力があり、主演の山本耕史も魅力的だ。
無機質的な音楽に合わせて娼婦に扮したダンサーの踊りも見応えがあり、ジャック、ビル、ジョーを演じた脇役の演技も良かった。

しかし、作品としては秀作とはいい難い。
一つは、街を作り支配する悪人のベグビック、ファッティ、モーゼの人間性が全く描かれていない。3人ともロボットみたいで、ドラマとしての厚みが感じられない。
もう一つは、ジムが死刑を宣告される時の、周囲の人々の冷たさだ。善良なジムに対してあまりに冷酷すぎる。ジムの処刑によって何かを象徴させたかったのかも知れないが、不条理な感が拭えない。
ナチスが上演禁止した話題作だが、日本での上演があまりなかった理由が、この辺りかと思われる。

終幕の後のカーテンコールが2回行われた後で、短いショーが付け加えられる。
これがとても楽しいので、観劇された方はぜひお見逃しなく。

公演は22日まで。

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