#69扇辰・喬太郎の会(2016/9/18)
第69回「扇辰・喬太郎の会」
日時:2016年9月18日(日)18時30分
会場:国立演芸場
< 番組 >
前座・入船亭辰のこ『代書屋』
入船亭扇辰『三番蔵』
柳家喬太郎『ウルトラ仲蔵』
~仲入り~
柳家喬太郎『悋気の火の玉』*
入船亭扇辰『穴どろ』*
(*:ネタ下ろし)
まだ二人が二ツ目時代から継続しているという「扇辰・喬太郎の会」、ネタ下ろしを1席ずつ演じるという趣向が好評で毎回前売り完売の人気番組だ。
喬太郎は二ツ目後半にはブレークしていたし、扇辰はその頃から上手かった。
辰のこ『代書屋』、師匠から長めに演るように言われたと断った上でネタに入る。前座の『代書屋』は初めてだ。面白かったのは前日に聴いた柳亭こみちの高座と、マクラを含めほぼ同じ中身だったこと。同じ人から教わったんだろうね。
やはりこのネタは荷が重い様で、与えられた時間前に終えていた。
扇辰『三番蔵』、中川善史の新作。質屋の番頭が怠け癖のついた小僧の定吉を懲らしめのために店の三番蔵に閉じ込める。この蔵は長期に保管している品物ばかりだが、定吉に若い娘から声がかかる。少女の正体は木箱の中に女の子の人形だった。二人で芸者ごっこで遊んだりして、すっかり気分を良くした定吉。それからは人が変わったような働きぶり。ある日、店先に職人風の客が来て、この木箱の人形を請け出すという。理由を訊くと、娘が妹の様に可愛がっていた人形だったが、博打で金に困ってついつい質入れしてしまった。その娘の嫁入りが決まったので、人形を持たせてあげたいと言うのだ。人形の箱を抱えた定吉は渡したくないと言ってグズり、人形を私の嫁に下さいと言い出す。それは出来ない、だって箱入り娘だ、でサゲ。
幼い定吉の淡い初恋を描いたラブストーリー仕立て。古典落語かと見間違うような作品で、扇辰の高座は少女の前に出ると急に大人びた態度をとる定吉の描写が巧みだった。
喬太郎『ウルトラ仲蔵』、題名から察せられるように『中村仲蔵』のウルトラマンヴァージョン。随所に仲蔵の中の印象的なシーンやセリフが入り、笑いを生んでいた。才人喬太郎の面目躍如といった所だが、ウルトラマンについての知識があればもっと楽しめただろう。
喬太郎『悋気の火の玉』、面白く聴かせていたが、一口で言うなら喬太郎はこのネタはニンじゃない。黒門町が十八番にしていたが、ああいう大看板がサラリと演じる所にこのネタの良さがあるのだと思う。
扇辰『穴どろ』、扇辰らしい丁寧な高座だったが、泥棒に入ってから部屋で飲食する時間が長すぎてダレた。あまり楽しそうにしていると、この泥棒の悲哀が薄められてしまう。泥棒が穴に落ちて大声をあげたのに気付いた主人が、先ず赤ん坊の心配をし子守を叱る場面が抜けていた。
課題の残ったネタ下ろしの1席。
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コメント
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「穴泥」は好きな噺ですが、演じられなくなりましたね、状況が想像しにくいのかなあ。
最初の二席、聴きたかったです。
投稿: 佐平次 | 2016/09/20 13:06
佐平次様
『穴どろ』は落語には珍しく生活に追い詰められて泥棒に入る男を描いていてリアルです。その分演じるのが難しいのでは。
前半の新作2席は楽しかったです。
投稿: ほめ・く | 2016/09/20 14:51