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2016/09/26

官邸独裁国家への道

9月26日付朝日新聞の報道によれば、いま行われている新潟県知事選で現職の泉田裕彦知事が立候補を取りやめにした経緯が書かれている。以下はその概要だ。
背景には泉田知事が原発の再稼働に反対していたため、安倍政権から知事への厳しい対応があった。
例えば新潟県下の市町村から政府への陳情が行われると、麻生財務相から「先ずは知事を変えてからだろう」と言われた。原発1基が稼働すれば、東電は最大月に100億円の利益が上がるのだ。麻生と電力会社との関係は深い。
これが県下の市町村長の姿勢に影響し、今年5月の首長らによる「泉田県政3期12年間に生じた問題」という検証報告書が提出された。この中では国との調整について「良好な関係にきしみが生じた」との指摘がなされた。
国とのパイプが細ることを懸念したのだ。
自民党県連からも水面下で原発再稼働に対する議論を進めるよう働きかけがあったが、泉田知事の姿勢は変わらなかった。
7月に入ると反泉田の県議らと首長の後押しで、長岡市長の森民夫が出馬を表明する。これで自民党内部からは「再稼働への環境が整った」という声が上がった。その後、自民・公明両党が森への推薦を決定した。
民進党の支援団体である連合新潟も森支持を決めた。
かくして泉田知事は四面楚歌の状態に追い込まれ、「心が折れた」という言葉と共に立候補を取り下げたのである。
なお県知事選は無風選挙になると思われていたが、市民団体や共産、社民、生活の支援で、医師で弁護士の米山隆一が出馬を表明し、原発再稼働を争点とする県知事選になるようだ。

沖縄県の基地問題に関して、いったいどこの国の政府かと疑いたくなるような対応を政権は行っている。辺野古しかり、高江しかり、である。
沖縄・辺野古の米軍新基地建設をめぐって、安倍政権が沖縄県の翁長雄志知事を訴えていた訴訟で、9月16日福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)は国側の主張を全面的に認め、翁長知事が辺野古埋め立ての承認取り消しの撤回に応じないのは違法だという判決を言い渡した。
しかも「海兵隊の航空基地を沖縄本島から移設すれば機動力、即応力が失われる」「県外に移転できないという国に判断は現在の世界、地域情勢から合理性があり、尊重すべきだ」などと新基地建設の妥当性にまで判決は踏み込んでいる。
これでは裁判所が政権側の言い分を丸飲みしていると思われるのは当り前だ。
実は、この判決を既に昨年12月に予測していた記事がある。
筆者は作家の黒木亮、2015.12.25付「ダイヤモンドオンライン」に掲載された『辺野古代執行訴訟「国が勝つことは決まっている」』というタイトルの記事だ。
少々長くなるが、当該部分を下記に引用する。

【しかし、この裁判は最初から国が勝つと決まっていると言っていい。もともと米軍基地や原発などの国策訴訟は、国側が勝つ場合がほとんどだからだ。しかも今回は、裁判を担当する福岡高裁那覇支部の裁判長(那覇支部長)に行政寄りの裁判官が任命されている。
裁判長を務める多見谷寿郎氏(57歳、司法修習36期)は、代執行訴訟が提起されるわずか18日前に、東京地裁立川支部の部総括判事(裁判長)から慌ただしく福岡高裁那覇支部長に異動している。
この転勤が普通と違うのは、多見谷氏の立川支部の部総括判事の在任期間が1年2カ月と妙に短いことだ。裁判官の異動は通常3年ごとである。高裁の陪席判事と違って、現場の指揮官である地裁の裁判長を急に動かすと現場が混乱する。多見谷氏は、立川支部の前は東京高裁の陪席判事(約4カ月)だったため、本来なら立川支部を経ずに那覇に持ってくるのが自然だ。また、前任の須田啓之氏(修習34期)もわずか1年で那覇支部長を終えて宮崎地家裁の所長に転じており、これも妙に短い。
(中略)
多見谷氏は、平成22年4月から同26年3月まで千葉地裁の裁判長を務め、行政(およびそれに準ずる組織)が当事者となった裁判を数多く手がけているが、新聞で報じられた判決を見る限り、9割がた行政を勝たせている。その中には、国営の成田国際空港会社が反対派農民の土地明け渡しを求めた国策色の強い裁判もある。】

裁判の結果は、まさに黒木亮の予測通りとなったわけだ。
ところで裁判官の任命はどの様に行われているのか。
「最高裁判所長官の任命は天皇の国事行為と定められているが,その指名を行うのは内閣である。また,長官以外の裁判官についても内閣に任命権があり,高等裁判所など下級の裁判所の裁判官は,最高裁判所が提出する指名名簿に基づいて内閣が任命する。」
法律上は裁判官は内閣が任命することになっている。
こうして見ると司法権は行政権(政府)に握られているのであった、三権分立は砂上の楼閣といえる。
近ごろでは政府のみならず、地方自治体や政府系団体の人事にまで官邸が介入している姿が目につく。
国会は与党が圧倒的多数を背景にやりたい放題。
今年行われた東京都知事選の結果に見られる通り、いまや政権党の自民党でさえ官邸の意のままだ。
我が国は「官邸独裁国家」に向かいつつあるようだ。

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コメント

次の国会本会議では、裁判官に対しても起立して拍手するのでしょう。
ヒトラーより前に出ていますね。

投稿: 佐平次 | 2016/09/27 10:24

佐平次様
安倍政権の最終的な目標は、右向け右で国民全員が右に向くような政体を構築することです。なし崩し的に自民党新憲法草案を先取りする様な動きがますます強まると思います。

投稿: ほめ・く | 2016/09/27 11:15

隷米右翼国家ってなんなんでしょうね。
天皇も煙たいらしいし。

投稿: YOO | 2016/10/03 00:14

YOO様
安倍政権中枢メンバーの主要命題は、対米従属の元での戦前国家への回帰という、実に醜悪なものです。長期政権でますます本性が露わになってきたように思います。

投稿: ほめ・く | 2016/10/03 17:53

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