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2016/09/09

「耐震化」と地域コミュニティ

いま国交省が音頭をとって建物の耐震化を進めている。特に幹線道路や避難場所の近くにある建物や、不特定多数の人が利用する建物については早急な対策が要請されていて、地方自治体も改修や建て替えに一部補助金を出すなどして後押しをしている。
私が住んでいる地域でも建て替えが進んでいる。
先月には地銀の支店と小規模のスーパーの取り壊し工事が始まった。ともに駅から1分と好立地で、自宅に帰る途中にあったので頻繁に利用していた。双方ともマンションになるという計画だ。
銀行の方は前に少しスペースがあり、毎年のお祭りではこの場所にテントを張り準備会場として使っていた。来年からはどうするんだろうと、些か心配になる。
スーパーも障碍者が車いすで買い物がしやすいように(近くに障碍者のための作業所やアパートがある)通路の幅が広くとってあり、商品棚も高さを抑えていて、買いやすいい工夫をしていた。レジ係りの人も昔から変わらず、そのせいか小売店みたいな感覚でお年寄り(私もだが)の利用者も多かった。そうした人たちにとって、このスーパーの閉店は痛い。

それでも建て替えの資金がある所はまだいい。あるいは、公共の建物の場合は国や地方自治体の予算で建て替えができる。
問題は私有の住宅、特に権利者が複数にまたがる集合住宅の場合だ。
私が住んでいる集合住宅は耐震基準が作られる以前に建ったもので、今年行った耐震診断でも不合格という結果が出た。
かと言って、建て替えなど問題外だ。
そこで耐震化工事をすることによって、耐震基準をクリアしようという事になった。
ところが、これも莫大な費用がかかるのだ。自治体から補助金も出るが、それでは到底間に合わない。
住民が高齢化し年金生活者が多い現状から、多額な費用負担は無理だという声が出ている。
一方では、不安だから早く工事をして欲しいという声もある。
管理組合で何度か話し合いをしてきたが賛否が真っ二つに分かれ、議論の過程で住民同士に感情的なシコリが残ってしまった。
管理規約では住民の4分の3以上の同意が必要だが、現状では不可能に近い。かといって、このまま放置するわけにもいかず、完全に暗礁に乗り上げている。
自治体の担当者にきいた所では、どこの古い集合住宅でも同様の事態がおきているそうだ。
災害時に大事なのは地域コミュニティだと言われている。耐震化でコミュニティを壊したのでは何もならない。

災害に強い街づくりという総論は結構だが、その中で起きていることをどうやって解決するのか、国や自治体はどのように考えているのだろうか。

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住まい・インテリア」カテゴリの記事

コメント

余裕のある人が多数を占めて負担ができない人はもっと危ないところに引っ越すのでしょうか。
やりきれないですね。

佐平次様
かつては今住んでいる周辺は木造2階建てのアパートが多かったのですが、現在は一軒を残すのみ。みな瀟洒な中層のマンションに替りました。当時住んでいた人はどこか遠くに引っ越して行ったのでしょう。
我が集合住宅も仮に建て替えとなれば、今の居住者の多くは他に移らざるを得ません。
住宅の耐震化には、こうした問題も潜んでいるのです。

このテーマですが、先日クローズアップ現代で特質されていたのを見ました。建替の決議要件を緩和したからといって済む問題ではないという趣旨のことをコメンテーターや取材に応じた集合住宅の住人が言っていました。
耐震化ではないものの、自分の所では、耐震化と比較すれば次元の小さい管理費改定や消防ホースの交換、階段手摺取付工事まで少数意見を無視するわけにいかず、理事会での検討課題となっています。本当に合意形成の難しさを感じます。

ぱたぱた様
集合住宅の合意形成の難しさは普遍的な問題ですね。特に多額の費用を要するような案件の場合は、感情論が起きてしまい収拾がやっかいです。まあ粘り強くやるしか手が無いんですが。

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