バッファローの月(2016/10/4)
テアトル・エコー公演152『バッファローの月』
作:ケン・ラドウィッグ
翻訳・演出:勝田安彦
< CAST >
安原義人:ジョージ/一座の座長、俳優
杉村理加:シャーロット/その妻、俳優
丸山裕子:エセル/シャーロットの母親
澤山佳小里:ロザリンド/ジョージ夫妻の娘
早川諄:ハワード/ロザリンドの婚約者
根本泰彦:リチャード/一座の顧問弁護士
川本克彦:ポール/一座のマネージャー
きっかわ佳代:アイリーン/座員
ストーリー。
1953年ニューヨーク州バッファロー。
元人気俳優のジョージとシャーロット夫妻は、テレビや映画の新しいエンタテインメントの波に乗り遅れ、一座を組み田舎町で巡演を繰り返す毎日を送っている。
二人はかつての栄光を取り戻したいと願っているが、復活の見通しはなく、落ち目の一座はギャラも払えず劇団員には逃げられる始末だ。
おまけにジョージは座員のアイリーンと浮気し、どうやら妊娠までさせた様子。妻のシャーロットは怒り狂うが、彼女も顧問弁護士のリチャードとは少々怪しい間柄の様子。
二人の娘ロザリンドが婚約者のハワードを連れて久々に戻ってきて、彼を両親に引き合わせようとするが、状況はそれ所ではない。その一方、彼女は昔の恋人で今は一座のマネージャーをしているポールと再会し心中は穏やかじゃない。
そこへ有名な映画監督が次の映画の主役を探して、芝居を観に来ると知らせが入る。お金持ちにも有名にもなれる絶好のチャンスと舞い上がるジョージだが、座員は不足しているし、肝心の妻は駆け落ちの支度。とてもまともな公演ができる状態ではない。ヤケになったジョージは深酒で寝込んでしまう始末。
さあ、一座の芝居は無事に開幕できるのか、ジョージ夫妻は危機を乗り越えられるのか。そしてロザリンドたちの恋模様はどういう結末を迎えるのか。
それは、見てのお楽しみ。
典型的なバックステージ・コメディといえる。
プログラムに本作品の翻訳者であり演出家でもある勝田安彦が書いている通り、家庭内に起きた紛争が原因で、下手な策略や衝動的な決断、誤解、失態が巻き起こす混乱を描いた笑劇(ファルス)。
人々が殴り合ったり、ひっくり返ったり、ドアが次々とバタンと開いては閉まる。
かつてのマルクス兄弟の映画を見るようなスラップスティックが舞台で展開される。
そして最後はお約束の大団円。
さすがブロードウェイで大当たりしただけあって、とにかく愉快で、少しエッチな場面では思わずニヤリとさせられる。
シェイクスピア劇の名セリフが散りばめられ、1950年代に活躍した映画人たちの名前や特徴がポンポンと飛び出すのもご愛敬。
出演者はある時は大仰に、又ある時はリアリティと、かなりハードルの高い演技をこなしていた。
主演の安原義人は熱演。杉村理加が色っぽく、二人の安定した演技が光る。
丸山裕子がベテランらしい良い味を出していて、若手の早川諄がこの劇団らしい軽妙な動きをしていたのが印象的だった。
公演は10日まで。
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