#449花形演芸会(2016/10/29)
第449回「花形演芸会」
日時:2016年10月29日(土)13時
会場:国立演芸場
< 番組 >
前座・林家あんこ『道具屋』
瀧川鯉斗『天災』
月の家小圓鏡『風呂敷』
ハッポゥくん『発泡スチロール芸』
菊地まどか『田宮坊太郎』曲師=佐藤貴美江
―仲入り―
ゲスト・古今亭志ん輔『野ざらし』
鏡味初音『曲芸』
柳家小せん『ねずみ』
鯉斗『天災』、滑舌の悪さが気になる。細かないい間違いが多かったのは稽古不足か。親不孝な男の乱暴なセリフはリアルだった。
小圓鏡『風呂敷』、いきなり「華がない」という自虐的な自己紹介だったが、確かに地味に見える。それなら何をウリにしていくつもりだろうか。この噺のポイントはお上さんの色気だと思う。亭主の留守に若い男と二人だけになるなんてぇのは、ソノ気があったと思われても仕方ない。テンポは良かったが、人物の描き方はこれからか。
まどか『田宮坊太郎』、この人目当てのファンの方もいたようだ。毎度同じことを言うようだが、浪曲の会と寄席の色物として浪曲を演じるのでは、自ずから演りかたが異なる。落語をメインに楽しみに来ているお客に受けるには、演目の選び方を工夫した方が良いと思う。
アタシが若い頃に寄席の色物の浪曲師として人気があったのが2代目広沢菊春。この人の高座は寄席に相応しく明るく楽しいものだった。国立の高座に澤孝子が出演したことがあったが、寄席の中に溶け込んでいた憶えがある。
志ん輔『野ざらし』、若手の育成に力を入れている志ん輔だが、この日は来日する外国人に落語の魅力や楽しさを知って貰おうという企画があるようで、神田連雀亭で朝から撮影会をしてきたとマクラで語っていた。
『野ざらし』といえば3代目柳好の十八番としてあまりに有名だが、現役の人たちはのほとんどは8代目柳枝の型で演じている。細かな部分で違いがあり、柳枝の方がよく工夫されているからだろう。
志ん輔も柳枝の型だったが、愛嬌と弾けっぷりや言葉遣いは柳好を彷彿とさせていて、とにかく楽しい高座だった。
小せん『ねずみ』、この日のお目当て。小せんの魅力は語りの確かさと軽妙さの調和がとれていることだろう。声の良さも強みだ。
この日の高座でも登場人物の「ねずみ屋」の主・卯兵衛とその倅、友人の生駒屋、左甚五郎、そして敵役の丑蔵、飯田丹下といった人物像をきっちり描き分けていた。
静かな語りの中に笑いもちりばめ、期待に違わぬ良い出来の高座だった。
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