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2016/10/07

病院を撃つな!

現在、国境なき医師団(MSF)では「病院を撃つな!」のキャンペーンを行っている。
きっかけは2015年10月3日、国境なき医師団(MSF)がアフガニスタンで運営する病院が米軍による空爆を受け、患者・スタッフ42人が命を落とすという悲惨な出来事が起きたことが発端だ。
この事件では、米軍が空爆を開始する以前にあるいは開始後も、何度も位置情報を米軍に連絡していた。もちろん、施設の屋根には大きく医療機関としての表示を行っていたのだ。
にもかかわらず、米軍はこの病院にくりかえし爆弾を投下し、多くの犠牲者を出してしまった。
それでなくとも今は詳細な航空写真があり、そのためピンポイント攻撃も可能になったのだ。だから「誤爆」などありえず、明らかに病院と知っていて爆撃したものとしか思えない。
米国は米軍による攻撃を認めたが、調査内容は非公開であり、第3者調査も受け入れていない。

病院への攻撃はアフガニスタンの例にとどまらず、医療施設への攻撃はその後も世界各地で繰り返されている。
攻撃する側は米軍やロシア軍であったり、あるいは政府軍やISなどの反政府軍によって行われている。
それも市街地を攻撃し、沢山の負傷者が病院に搬送され治療を受けている時を狙うという卑劣な手口が目だつ。これだと一度に沢山の人々を殺すことができるので、彼らからすれば効率的なんだろう。
しかし紛争地域の場合、病院はこの1軒しかないケースも多い。それが破壊されてしまうと、病人や怪我人を手当する手段が失われてしまうのだ。

被害にあったMSFのスタッフの一人はこう書いている。
「戦争にもルールがあります。妊婦や具合の悪いお年寄り、栄養失調や怪我をして病院に来た子ども達が狙われることがあってはなりません 。時には負傷兵もいるかもしれませんが、1人の人間として治療中です。MSFは、誰に対しても公平に医療を提供するという憲章のもと活動しています。私は戦闘や戦争自体あってはならないと思いますが、そんな中でもせめて、病院は撃つな! 子どもや無抵抗な人たちがいる、施設も攻撃するな! と言いたいです。こうした事実を知り、国際社会が声をあげ、さらなる被害が出ないことを祈っています。」

ようやく今年の5月に国連安全保障理事会で、紛争下での病院、医療・人道援助活動従事者、傷病者への攻撃を強く非難し、そうした事態に対しては迅速で公正な調査を求める決議が全会一致で採択された。この決議作成には、日本も提案5ヵ国のひとつとして加わっている。
この国連安保理決議が机上の空論に終わらず、医療施設への攻撃が完全にやむことを強く願うものである。

病院を撃つな!
そして
誰も撃つな!

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

同感です!

佐平次様
正義の名のもとに最も卑劣な攻撃が行われている現状は、実に腹立たしい。

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