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2016/11/12

一之輔・夢丸二人会(2016/11/11)

「夢一夜~一之輔・夢丸二人会~」
日時:2016年11月11日(金)18:45
会場:日本橋劇場

前座・春風亭きいち『芋俵』
<  番組  >
三笑亭夢丸『狸賽』
春風亭一之輔『にらみ返し』
~仲入り~
入船亭小辰『いかけ屋』
春風亭一之輔『夢八』
三笑亭夢丸『三枚起請』

前座のきいち『芋俵』、一之輔の弟子だ。驚くのは一之輔が真打に昇進したのは2012年で、この人の入門が2014年。つまり真打になってたった2年で弟子を取ったわけで、アタシの知る限りでは最速だ。それが出来るのも本人の実力の証といえる。
きいち、未だしゃべりが落語家のものになっていないが、素質はありそうだ。

夢丸『狸賽』、この人含めて出演者3人揃ってマクラで学校寄席をとりあげていた。特別の趣味がない噺家というのは生活範囲が狭いから、学校寄席と営業先の旅の話、それに仲間内のことという具合に話題が限られてしまうのだろう。
ネタは、明るい芸風をいかしてテンポ良く聴かせていた。

一之輔『にらみ返し』、前記のように真打になって未だ4年しか経っていないが、もう20年位真打をやっている様な印象だ。もはや「若手」という言葉はこの人に似合わない。
大晦日に来た掛け取りを、黙って煙草を吸いながら睨み返すだけで退散させるという渋い噺で、これだけ客席を沸かせる手腕は大したものだ。
相変わらず目の使い方が上手く、このネタでも存分に活かしていた。

小辰『いかけ屋』、マクラで、今日は「一之輔・夢丸・小辰 三人会」と言っていたが、それがさほどハッタリに聞こえないほど実力をつけてきた。
歴代春団治のお家芸だが、小辰は東京版として歯切れの良い高座を見せていた。特に悪童どもの悪戯に振り回される鰻屋の姿がよく出来ていた。

一之輔『夢八』、このネタを東京版として演じるのを観たのは一之輔が初めてだ。以前に柳家蝠丸や柳家一琴が高座にかけた様だが未見。東京には移しにくいネタだと思っていたが、一之輔の手にかかると難なく演じられてしまう。
小遣いと弁当につられて首吊りの番をすることになった八兵衛、最初は事情を知らずお重の弁当を食べて上機嫌。昆布巻きのかんぴょうを帯に見立てて、「アレー~」と叫び声を入れながら昆布を回してかんぴょうを解いてゆ所なんざぁ実に楽しそうだ。首吊りの正体が現れて恐怖に怯えながらも棒を床にリズミカルに叩き続ける姿が見所。手拭いを首に巻いて首吊りの表情を見せる姿が巧み。猫がのりうつった首吊りが八兵衛に「伊勢音頭」を唄わせると、身体を揺らせながら「合の手」を入れる姿がよく出来ていた。
「鬼才」一之輔の実力を見せつけた高座、結構でした。

夢丸『三枚起請』、マクラで起請文や高杉晋作作の都々逸を解説していたのは親切。予備知識がないとこのサゲは分かりづらい。
ネタに入ってだが、もう少し緩急が欲しい。全体に語り急ぐ傾向が強く感じるのだ。起請文を読んで最後に花魁の名前を見て驚く場面では、もうちょっと「間」が要るのでは。3人目の男が金を騙しとられた事を話す場面でも、ここは人情噺風のテンポで語った方が効果的だと思う。
持ちネタを増やし芸域を拡げようとする夢丸の姿には共感できる。

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