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2016/11/03

三代目橘家文蔵襲名披露公演@国立演芸場(2016/11/2)

国立演芸場11月上席「三代目橘家文蔵襲名披露公演」2日目

前座・橘家かな文『たらちね』
<   番組   >
古今亭駒次『ガールトーク』
柳家小せん『黄金の大黒』
のだゆき『音楽パフォーマンス』
桂藤兵衛『そば清』
林家たい平『禁酒番屋』 
<仲入り>
『襲名披露口上』高座下手より司会小せん、たい平、文蔵、一朝、藤兵衛
アサダ二世『奇術』
春風亭一朝『三方一両損』
ロケット団『漫才』
橘家文左衛門改メ
三代目橘家文蔵『子は鎹』

落語家の襲名は真打昇進時に行われることが多いが、昇進して暫くして襲名が行わえるケースもある。
主なとこでは文楽、小さん、正蔵、圓楽、文治といった名前があがるが、襲名興行に対する協会の力の入れ方が異なるようだ。
例えば6代目柳家小さん、かつて当ブログでも記事にしたが大名跡にも拘わらず、襲名興行は地味な印象に終わってしまった。一門の幹部連中でさえ顔を見せず、内部に軋轢でもあったんだろうかと疑わせるものだった。
そこいくと今回の文蔵襲名は、協会あげてという印象だ。
9月21日から始まった定席の興行も一門を超えた顔ぶれを揃えていて、新文蔵をバックアップしていたようだ。
定席での40日間の襲名披露を終え、ここ国立演芸場では最後の10日間の興行だ。
文蔵の経歴は次の通り。
1986(昭和61)橘家文蔵に入門
1988(昭和63)前座となる 前座名「かな文」
1990(平成2)二ツ目昇進 「文吾」と改名
2001(平成13)真打昇進 「文左衛門」と改名
2016(平成28)三代目「橘家文蔵」を襲名
アタシの印象では、このブログを開始した2005年頃から名前が売れ出し、鈴本で初トリを取るのがブログ仲間で話題になったこともあった。
以前は、高座の第一声が客席を見渡して「これだけ入ってれば、何とか食っていけるかな、と」で、浅い出番では『道灌』や『千早ふる』をしばしば演じていた。

駒次『ガールトーク』、「ガール」というタイトルだがファミレスに集まった奥さん方が他人の悪口を言って楽しむというネタ。この人、新作しか聴いたことがないが、語り口から察すれば古典もいけると思う。大谷じゃないが新作と古典の二刀流を目指したらどうかと思うのだが。

小せん『黄金の大黒』、客席の反応はいま一つだったが、軽く演じながら最後のサゲまでつけた高座は評価に値する。メリハリもあって良かったと思う。

のだゆき『音楽パフォーマンス』、小学生の教材であるピアニカとリコーダーを使う寄席芸という着想が面白い。素人っぽいしゃべりも却って魅力に感じる。たまに音を外すのもご愛嬌。

藤兵衛『そば清』、上手いけど、ここのとこ、何故かこのネタばかり当たるね。

たい平『禁酒番屋』、短い時間にまとめあげた力量は買うが、二番番頭がランドセルの中に「飲む漢字ドリル」のビンを詰めて持参する(通常は「油徳利」)というアイディアは頂けない。古典を現代に、というテーマを間違って解釈しているのでは。

『襲名披露口上』では本人のエピソードや先代の思い出が語られ、とても温かい雰囲気の口上だった。

一朝『三方一両損』、膝前でこのネタをかける所がいかにもこの人らしい。江戸弁の啖呵がポンポン飛び出す高座は心地よい。近くの人が連れに「一之輔の師匠だよ」って説明してたけど、本来は逆じゃないの。

文蔵『子は鎹(子別れ・下)』、以前にこのネタを聴いた時に比べ、各段に上手くなったなぁという印象だ。先ず全体的に丁寧な運びで、人物の描き方も良く出来ていた。
最初の父親と番頭が連れ立って歩き出す所で、父親の口から『子別れ・中』のあらすじが簡単に紹介されていたが、これが肝心。そうでないと、この演目の意味がかすんでしまう。
父親が息子に再会し、母親がまだ独り身だと聞かされて時の安堵した表情が良かった。「おっかさんは、おとッつぁんのこと何か言ってるか?」と繰り返し亀に訊ねる所に、父親の心情が溢れている。
父親が、家に戻る亀吉の後ろ姿をじっと見送るという場面を加えていたのは効果的だ。
母親が亀吉に折檻しようとして、小遣いは父親から貰ったと聞かされた瞬間、ふっと呆(ほう)けた様な表情を見せていた。彼女もまた別れた亭主への思いを断ち切れていなかったことが、ここで表現されている。
好みから言えば、アタシはこのネタがあまり好きじゃないのだが、文蔵の高座は素晴らしかった。

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コメント

池袋、いらっっしゃったのですね。
私が末広亭の『文七元結』で驚いたのが、文蔵の登場人物の心理描写が実に上手くなったなぁ、ということです。
『子は鎹』でも、そういったきめ細かさがあったようですね。
この襲名は、本人にとっても、そして周囲のライバル(?)にも、実に良いことだったと思います。

小言幸兵衛様
恐らく、文蔵襲名にあたって並々ならぬ決意と努力があったのでしょう。40日間連続の襲名興行を続け、国立に来る頃にはダレてしまう人もいるんですが、気力溢れる結構な高座でした。

会場は国立演芸場でしたね。
失礼しました。
今後の文蔵、実に楽しみです。

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