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2016/11/26

「押し付け憲法論」の不都合な真実(2)憲法改正草案の審議から公布までの過程

1946年(昭和21年)
4月17日 政府は正式に条文化した「憲法改正草案」を公表し、枢密院に諮詢。
4月22日 枢密院で憲法改正草案第1回審査委員会が開催(5月15日まで8回開催)。
4月22日 幣原内閣が総辞職。
5月22日 第1次吉田内閣が発足。
5月27日 若干の修正のうえ枢密院に再諮詢。
5月29日 枢密院は草案審査委員会を再開(6月3日まで3回開催)。
6月8日  枢密院の本会議は天皇臨席の下憲法改正案の採決に入り、美濃部達吉・顧問官を除く起立者多数で可決。
6月20日 政府は大日本帝国憲法73条の憲法改正手続に従い、憲法改正案を衆議院に提出。
6月25日 衆議院が憲法改正案の審議を開始。
8月24日 衆議院は若干の修正を加えて多数可決(投票総数429票、賛成421票、反対8票)。
8月26日 貴族院が審議を開始。
10月6日 若干の修正を加えて貴族院で可決。
10月7日 衆議院は貴族院回付案を可決。帝国議会における憲法改正手続は全て終了。

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<1946年(昭和21年)10月7日衆議院本会議、吉田茂内閣総理大臣による政府所信>
只今貴族院の修正に對し本院の可決を得、帝國憲法改正案はここに確定を見るに至りました。此の機會に政府を代表致しまして、一言御挨拶を申したいと思ひます。
本案は三箇月有餘に亙り、衆議院及び貴族院の熱心愼重なる審議を經まして、適切なる修正をも加へられ、ここに新日本建設の礎たるべき憲法改正案の確定を見るに至りましたことは、國民諸君と共に洵に欣びに堪へない所であります。
惟ふに新日本建設の大目的を達成し、此の憲法の理想とする所を實現致しますることは、今後國民を擧げての絕大なる努力に俟たなければならないのであります、
政府は眞に國諸君と一體となり、此の大目的の達成に邁進致す覺悟でございます。
ここに諸君の多日に亙る御心勞に對し感謝の意を表明致しますると共に、所懷を述べて御挨拶と致します。

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10月12日 政府は「修正帝国憲法改正案」を枢密院に諮詢(19日と21日に審査委員会)。
10月29日 枢密院の本会議は天皇臨席の下で「修正帝国憲法改正案」を全会一致で可決(美濃部顧問官など2名は欠席)。
10月29日 天皇は憲法改正を裁可。
11月3日  日本国憲法が公布。

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<上諭>
朕は、日本国民の総意に基いて、新日本建設の礎が、定まるに至つたことを、深くよろこび、枢密顧問の諮詢及び帝国憲法第七十三条による帝国議会の議決を経た帝国憲法の改正を裁可し、ここにこれを公布せしめる。
御名御璽
昭和二十一年十一月三日
内閣総理大臣兼
外務大臣 吉田茂
国務大臣 男爵 幣原喜重郎
司法大臣 木村篤太郎
内務大臣 大村清一
文部大臣 田中耕太郎
農林大臣 和田博雄
国務大臣 斎藤隆夫
逓信大臣 一松定吉
商工大臣 星島二郎
厚生大臣 河合良成
国務大臣 植原悦二郎
運輸大臣 平塚常次郎
大蔵大臣 石橋湛山
国務大臣 金森徳次郎
国務大臣 膳桂之助
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<昭和天皇による日本国憲法公布の勅語(1946年(昭和21年)11月3日)>
本日、日本国憲法を公布せしめた。 
この憲法は、帝国憲法を全面的に改正したものであつて、国家再建の基礎を人類普遍の原理に求め、自由に表明された国民の総意によつて確定されたものである。即ち、日本国民は、みづから進んで戦争放棄し、全世界に、正義と秩序とを基調とする永遠の平和が実現することを念願し、常に基本的人権を尊重し、民主主義に基いて国政を運営することを、ここに、明らかに定めたものである。
朕は、国民と共に、全力をあげ、相携へて、この憲法を正しく運用し、節度と責任を重んじ、自由と平和とを愛する文化国家を建設するやうに努めたいと思ふ。
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【審議により「草案」に修正・追加された項目】
・国会の構成を「一院制」から「二院制」に。
・第1条の「天皇」の条文に「この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」との「国民主権」原則を入れる
・第15条の「普通選挙権」を規定。
・第66条2項に「文民規定」を追加。
・第9条2項の「戦力不保持」の冒頭に「前項の目的を達するため」を追加

以上のように「憲法改正草案」は枢密院、貴族院、衆議院において約6ヶ月の審議を経て、最終的には圧倒的多数で可決、成立している。
審議の過程でいくつかの修正も行われ、採決では反対者もいた。
もし現憲法が占領軍から一方的に押し付けられたものだとしたら、賛成した議員は全員が押し付けに唯々諾々と従った腰抜けだし、天皇の上諭や勅語も全ては茶番だということになる。
「押し付け憲法論者」は、そこまで言い切るのだろうか。

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