フォト
2023年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
無料ブログはココログ

« 「忠臣蔵」ならぬ「吉良のご難」 | トップページ | 「定式能 十二月昼能」(2016/12/14) »

2016/12/14

「ヘンリー四世 第二部‐戴冠‐」(2016/12/13)

「ヘンリー四世 第二部‐戴冠‐」
日時:2016年12月13日(火)18時30分
会場:新国立劇場 中劇場

脚本:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:小田島雄志
演出:鵜山仁
<  キャスト  >
中嶋しゅう:ヘンリー4世(イングランド国王)
浦井健治;皇太子ヘンリー(別名ハル)
佐川和正:クレランス公トマス
亀田佳明:ランカスター公ジョン
水野龍司:ウエストモランド伯
今井朋彦:高等法院長
佐藤B作:騎士フォールスタッフ(皇太子の遊び仲間)
岡本健一:(同上)
有薗芳記:ポインズ(同上)
ラサール石井:地方判事ロバート・シャロー
綾田俊樹:地方判事サイレンス
那須佐代子:その妻クイックリー
立川三貴:ノーサンバランド伯
勝部演之:ヨーク大司教
ほか

本公演は当初第一部のみ見るつもりでいたが、あまり面白かったので第二部も観劇することにした。
シュルーズベリーの戦いで勝利した国王軍だったが、ヨーク大司教が体制を立て直して再び戦いに挑む。しかし、援護を期待したノーサンバランド伯の軍が動かず、国王軍の司令官であるランカスター公に降伏し、処刑される。これを以って反乱軍は完全に鎮圧される。
フォールスタッフはシュルーズベリーの戦いで手柄を立て、過去の罪状を許されるが、相変わらず昔からの仲間とともに放蕩生活を続けていた。今度はノーサンバランド伯の討伐軍に加わることになり、昔馴染のシャロー判事の暮らすグロスターシアに徴兵に訪れえ、盛大な持成しを受ける。
一方、国王ヘンリー4世のもとに次々と勝利の吉報が届くが、病状が悪化し、3人の息子らに看取られて亡くなる。
皇太子のヘンリーは、国王としての責任と覚悟を引き継くことを決意し、ヘンリー5世として新国王に就任する。
この報せを聞いたフォールスタッフはすっかり有頂天となり、昔からのよしみで新国王から褒美や出世が得られると大喜び。仲間を引き連れて意気揚々と新王の前に姿を現すフォールスタッフだったが、ヘンリー5世からはもはや仲間との縁を切り、彼らに追放処分の命令を下す。彼らが通っていた居酒屋の女たちも投獄されてしまう。
反対に、皇太子時代に彼の放蕩を諫めて対立していた高等法院長の業績を讃え、引き続きその職務に励むよう命ずる。

戴冠したヘンリー5世には第一部で見せていた遊び好きで陽気な若者の姿は最早ない。弟が騙し討ちで敵を捕らえて処刑することを許し、今までのの遊び仲間を容赦なく追放する非情さを見せる。
それは父親の姿を見てきて、国王というものがどれだけ苛烈な役職なのかが身に沁みており、それを引き受けた覚悟と決意を示すものだ。
それとは正反対の、正義だの規範だのはクソクラエで、自らの欲望のままに生きるフォールスタッフの、どちらが人間としての魅力があるのか、シェイクスピアはこの劇を通して観客に問い直しているようだった。

全体としては喜劇と言ってよい。
第二部もフォールスタッフらが居酒屋で女たちと戯れる場面や、シャーロー判事らと宴会をする場面では、出演者同士が実に楽しそうに演じていて、それが客席にも伝わった。
クイーンのヒット曲をバックミュージックにしての楽しい舞台は、1部2部合わせて6時間の長さを感じさせない。

主役の佐藤B作を始めとして芸達者が揃い、先ずは一級のエンターテイメントと呼んでいい芝居だった。

« 「忠臣蔵」ならぬ「吉良のご難」 | トップページ | 「定式能 十二月昼能」(2016/12/14) »

演劇」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 「忠臣蔵」ならぬ「吉良のご難」 | トップページ | 「定式能 十二月昼能」(2016/12/14) »