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2017/01/16

吉弥『質屋芝居』・三三『元犬』ほか(2017/1/15)

「柳家三三・桂吉弥 ふたり会」
日時:2017年1月15日(日)14時
会場:紀伊国屋サザンシアター
<  番組  >
開口一番・桂そうば『手水回し』
桂吉弥『質屋芝居』
柳家三三『二番煎じ』
~仲入り~
柳家三三『元犬』
桂吉弥『一文笛』

年に一度の三三・吉弥ふたり会。東西の人気と実力を備えた二人の会とあって会場は満席だったようだ。
5席演じられたが、注目の2席を先ずとりあげたい。

吉弥『質屋芝居』
歌舞伎でお馴染みの『仮名手本忠臣蔵』、落語の演目の中でも数多くとりあげられている。
各段の構成は以下の通り。
大序:兜改め
二段目:桃井若狭介屋敷
三段目:進物場、刃傷場(喧嘩場)
四段目:判官切腹
道行旅路花婿
五段目:鉄砲渡し、二つ玉
六段目:勘平切腹
七段目:祇園一力茶屋
八段目:道行旅路嫁入
九段目:山科閑居
十段目:天河屋義兵衛宅
十一段目:討ち入り

今年、桂文我が東京で「忠臣蔵通し公演」というタイトルで行った演目は以下のようにネタ出しされていた(未見)。
大序:『田舎芝居』
二段目:『芝居風呂』
三段目;『質屋芝居』
四段目:『蔵丁稚』
五段目:『五段目』
六段目:『片袖』
七段目:『七段目』
九段目:『九段目』
十段目:『天野屋利兵衛』
十一段目:『三村次郎左衛門』

東京の高座にかかるネタは、次の通り。
四段目:『淀五郎』『四段目(蔵丁稚)』
五段目:『中村仲蔵』
七段目:『七段目』

こうして見るとやはり上方落語の方がネタは豊富だ。
この日、吉弥が演じたのは『質屋芝居』、忠臣蔵の三段目にあたる。
あらすじは。
ある質屋、主人から番頭、丁稚にいたるまで家内中が芝居好き。
そこへ客が来て、急に葬礼の送りに必要になったので質入れしていた葬式の裃(かみしも)を出して欲しいと、質札と現金を持ってきた。
主人の命令で定吉が蔵に行って裃を探していると、隣りの稽古屋から、三味線の音が聞こえる。その音につられて定吉は裃を身につけると、忠臣蔵の三段目“喧嘩場”を一人で演じはじめる。
店にはもう一人客が来て、先日質入れした布団が貸し布団で、蒲団屋から返せと迫られているので、直ぐに請け出して欲しいと質札と現金を持ってきた。
今度は番頭が蔵に行くと、定吉が目をむいて喧嘩場を演じている。そこで布団を塀の書割に見立て、三段目の内”裏門・塀外の場面”の場を二人で演じ始める。
客がいつまでも品物が戻ってこないと文句を言うと、今度は主人が蔵へ行くと番頭と定吉が大立ち回りの真っ最中。そこで主人は木戸番に扮してしまう。
二人の客がもう待てないと蔵へ乗り込んでくると、裃も布団も芝居に使われてメチャクチャ。怒って中へ入ろうとすると、木戸番の主人に止められる。
「中へ入んねやったら、札は?」
「札は表で、渡してます。」
でサゲ。
芝居の木戸銭の札と、質札の札を掛けたものだ。
質入れを経験したことが無い人が今では大半だろう。三段目の”裏門・塀外の場面”の場もお馴染みでないので分かり難いかも知れない。
吉弥は得意の芝居仕立てで三段目の見せ場をタップリと演じ好演。上方落語らしい華やかな新春の高座だった。

三三『元犬』
しばしば前座が演じるネタだが、三三クラスが演ると面白くなる。犬の動きも研究しているようだ。
通常と大きな違いはサゲ。隠居が「ほら、お湯がチンチンいってるから」と言うとシロがチンチンの真似をする所までは一緒だが、使いから戻ってきた”おもと”まで同じようにチンチンの真似をする。
そこでシロが”おもと”を見て、「あ、おっかさん」でサゲ。
一足先に人間になっていた母親とシロが、ここで再会できたというわけだ。
古典を主に演じている三三だが、以前から新作落語にも挑戦している。その影響からか古典をプチ改作する手法も目立つ。
このネタでも、隠居から聞かれてシロが身の上話をする際にサゲを仕込んでいて、よく考えられている。成功例だと思う。

その他は駆け足で。
そうば『手水回し』、雀々を思わせる高座で、特に長頭(ちょうず)を回す場面が良く出来ていた。

三三『二番煎じ』、番小屋から外へ出た時の寒さがあまり感じられなかった。寒暖の差の表現はこの噺の大きなポイントなので、惜しまれる。

吉弥『一文笛』、マクラでとりあげたNHK連続TV小説の話は面白かった。ネタは想定内の出来。

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コメント

せんじつ忠臣蔵落語会みたいなのがあったらしいけれど、行きませんでした。
もうチャンスはないかもしれないと思うと一期一会を大事にしなきゃ。

佐平次様
私もその会には都合がつかず参加できなかったんです。文我は大阪、京都、東京と各1回開いていたので、次の機会を待つしかありません。

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