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2017/01/22

月亭可朝独演会(2017/1/21)

第一回「可朝のハナシ」
日時:2017年1月21日(土)13時
会場:お江戸日本橋亭
<  番組  >
前座:笑福亭茶光『動物園』
岡田まい『囃子』
月亭可朝『世帯念仏』
~仲入り~
鏡味味千代『太神楽』
月亭可朝『色事根問』

月亭可朝、桂米朝の一番弟子(入門時は「桂小米朝」)、でも何故か惣領弟子として扱われていない。むしろ「月亭一門」の総帥の方が通りがいいか。
トレードマークはカンカン帽。
年配の方なら『嘆きのボイン』で大ヒットしたのをご存知だろう。大の博打好きで女好き、ここ数年は警察の御厄介になっていないと本人が語っていたが、そういう人だ。
国政にも2度チャレンジしているがいずれも落選。
師匠の米朝が、「アイツの事を話し出したら落語が終わってしまう」と言うほどエピソードにはこと欠かない。
近年になって大阪繁盛亭にも出演しているようだが、この日は東京での会の第一回目となる。
可朝の演目はいずれも最近では高座にかかる機会が少なく、忘れられない様にという事で選んだと言っていた。

岡田まい『囃子』
お囃子の人だが短い高座を務めた。「伊勢音頭」と「かっぽれ」の唄の間に出囃子を弾いていた。可朝にお尻を触られそうになったと言っていた。

可朝『世帯念仏』
出囃子に合わせて踊る様な恰好で高座に上がる。
マクラで広島の原爆投下の話題にふれ、いつかアメリカに仕返しをしてやろうと思っていたそうだ。原爆を持ってる国はいくつもあるが、実際に落としたのは米国だけ、恐ろしい国だと。
続いて世の中の陰陽についてと、宗旨にも陰陽があるとして本題へ。
ネタは、東京では『小言念仏』として知られている。
念仏に合間に家族に小言を言ったり、ドジョウ屋を呼んでドジョウを計らせたり、寝相の悪い娘を注意したりと。
短縮版で、米朝の高座に比べ低いトーンの語りだったが、静かに可笑しさを伝えるような一席だった。

味千代『太神楽』
こちらは可朝に胸を触られそうになり、「私は夫も子どもいるんです」と言ったら可朝は「その方がいい」と答えたとのこと。
寄席の太神楽は複数で演じる事が多いが、この人は一人で全部演る。曲芸の腕前も客のイジリ方もどうにいっており、感心した。

可朝『色事根問』
マクラは女性の話題。後1年で80歳になるのだが、こういう年になると女性に対してアクセルとブレーキを間違えてしまう事があるそうだ。自らの経験や、友人だった横山ノックのスキャンダルを例にあげて語っていた。
いくつになっても女性は欲しい。それも生理的な要求ではなく、自分の事を気にかけたり心配してくれる様な女性がいないと寂しいと。
それはアタシも分かる気がする。
演目は2代目桂小南や師匠の米朝の持ちネタだった。
ある男、隠居の元を訪ねて女に惚れられるコツをきく。
隠居が言うのには、
「女に惚れられるには、一見栄、二男、三金、四芸、五精、六未通(おぼこ)、七科白、八力、九胆、十評判という」
そこでかの男に当てはめてみると、これが全て失格。
芸はというと、男は体中に墨を塗り尻に蝋燭をさして「蛍踊り」が得意だと言って、隠居を呆れさせる。
最後の評判で、隠居が男に上等の下駄に履き替える癖を指摘し、評判が悪いと注意する。
男は、履き替えなんてしていないと否定し、裸足で行って帰りに上等の下駄を履いて来るのだと。
これでサゲ。
1席目と同様に淡々と語るスタイルだが、マクラを含めて味のある高座だった。
ネタに出た、女性にモテるための十則、今でも参考になるかも。

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寄席・落語」カテゴリの記事

コメント

可朝が米朝の弟子と知ったときは驚きました。
この師弟の関係は一寸、小さんと談志に通うところがあります。
『世帯念仏』(小言念仏)。
日本橋亭のような狭いキャパでこそ生きる、静の落語の代表ですね。
東京では小三治、喜多八師弟のオハコです。

福様
可朝が警察沙汰になった時、師匠米朝が破門しようとしました。それを間に入って止めたのは談志で、談志はずっと可朝を評価していたようです。
可朝の高座はやはり師匠譲りです。

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