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2017/01/24

#6吉坊・一之輔二人会(2017/1/23)

第6回「吉坊・一之輔 二人会」
日時:2017年1月23日(月)18時45分
会場:日本橋公会堂
<  番組  >
前座・柳家小たけ『たらちね』
春風亭一之輔『黄金の大黒』
桂吉坊『けんげしゃ茶屋』
~仲入り~
桂吉坊『親子酒』
春風亭一之輔『三井の大黒』

数ある「二人会」の中でも最も内容が充実していると思うのがこの「吉坊・一之輔 二人会」だ。
東西の俊英がぶつかり合うという趣旨が生きているし、いずれこの二人は東西の落語界を背負うであろう(一之輔は既に背負ってるか)。
推測にすぎないが、この二人は特に仲が良いわけではない気がする。というのは、多くの二人会では相手の高座について一言感想を言ったり、時にはイジッタリするのだが、この会ではそうした光景は見られない。
例えば、吉坊が2席目の後で踊りを見せて拍手を浴びたが、次に登場した一之輔はこの事を全くスルー。
こういう何となく張り合ってるという雰囲気が好きだ。

桂吉坊、上方の落語家についてごく浅い知識しか持っていない者として僭越ではあるが、今まで見てきた中で最も桂米朝の芸を継いでいる人だと感じている。
もちろん芸に深さ、とりわけ高座での艶では大師匠に遠く及ばないものの、年齢を考慮すれば米朝の芸に近づくことは十分可能だと思う。
もっともアタシの歳では、それを見届ける事は不可能だが。
と、これだけ褒めときゃ、後でご祝儀が届くかも。
無いかな。

一之輔『黄金の大黒』
マクラで末広亭の小三治の代バネに呼ばれたと言っていた。そういう位置にきているということだ。
このネタ、中途で切るケースが多いが、サゲまで演じた。
長屋の住人同士の店賃をめぐる会話、羽織を回しっこして代わる代わる大家に口上を言う場面、ご馳走を前にして狂喜する長屋の面々の描写、大家の倅の悪戯を咎めて膝蹴りしたと言って大家を慌てさせる場面、いずれもポイント掴んで楽しませてくれた。
金ちゃんのお祝いの口上が特に傑作。

吉坊『けんげしゃ茶屋』
「けんげしゃ」というのは縁起担ぎを指すらしい。米朝の師匠の時代でさえ使われていなかった言葉だそうで、古い表現だ。
色街というのは縁起を担ぐのだが、この噺の主人公の旦那はわざわざ縁起の悪い言葉を使って相手をからかうのが趣味だ。
大晦日、居場所がなくて街をぶらつく旦那に、出入りの又兵衛が出会う。ミナミにと誘われた旦那は、ミナミに囲っている芸者の国鶴の所に悪戯を仕掛けることを思い付き、又兵衛に元日に十人ほどの人数を引き連れて葬礼姿で国鶴の茶屋に繰り出してもらいたいと頼む。
元旦に旦那は国鶴のいる茶屋に出向き、新年の挨拶に出て来た国鶴や女将にさんざん不吉なことを言って困らせる。
ここに又兵衛ら一行が葬礼姿で店に現れ、これ又縁起の悪い言葉を並べる。
茶屋の女子衆が悲鳴を上げると、これを聞きつけた幇間が座敷に上がってきて、陽気に騒ぎ出す。これでは趣向がぶち壊しと旦那が激怒し、幇間を𠮟りつける。
慌てた幇間は、今度は死に装束に位牌を手にして不吉な事を言って、旦那を喜ばす。
「これまで通り、贔屓にしてやる」
「ご機嫌が直りましたか? ああ、めでたい」
「また、しくじりよった!」
でサゲ。
ストーリーは他愛ないもので、茶屋遊びの雰囲気、特に色街の元旦風景が描かれているかが噺のポイントだ。
吉坊は歳が若いのに茶屋遊びの描写が上手く、元旦の華やかな模様が良く描かれていて、だからこそ旦那の縁起の悪い遊びが際立つ。
こうした茶屋遊びのネタに上方落語の本領があるのだと思う。

吉坊『親子酒』
一転して大酒飲みの滑稽噺。
東京でもしばしば演じられるが、上方のは先ず父親が泥酔して家に戻り、息子が帰って来ていないと聞くと怒り説教してやると息巻きながら寝てしまう。
一方、息子の方も泥酔して帰宅途中でうどん屋に寄り、うどんの上に山盛りの唐辛子をかけてしまい食べられず。自宅がどこにあるかも分からず、近所の玄関を片っ端から叩く始末。ようやく自宅に辿り着くが、寝ている父親につまずいて転んでしまう。
この後のサゲは東京と同じ。
見所は息子の嫁さん相手に父親が息子の飲酒癖を怒りながら寝入ってしまう場面と、息子がうどんに唐辛子を掛け過ぎ無理に食べる場面。
この噺を得意としていた桂枝雀ほど弾けてはいなかったが、親子の酔っぱらう姿を吉坊は楽しそうに演じ、客席を沸かしていた。
一席終わった所で、『合羽や』の踊りを披露。
これがコミカルながら、形がしっかりとしていて結構なもの。
『合羽や』
♪城の馬場で日和が良うて合羽やが合羽干す
にはかに天狗風合羽舞上がる
合羽や親爺がうろたえ騒いで堀えはまる
あげておくれつめたいわいなオオキにはばかりさん
一里二里ならてんまでかよう五里とへたづりやマァ風便り♪
(「上方座敷唄の研究」サイトより)

一之輔『三井の大黒』
こうしたネタも難なくこなしてしまう、この人の才能には驚く。
甚五郎、大工の政五郎、その女房、弟子たち、それぞれの人物の演じ分けも申し分なく、堂々たる『三井の大黒』だった。

4席、全て満足した。

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コメント

これも見たかった、って動かなきゃみられませんね。
「声」ってのは兼好の声がいまいち好きになれないという女性を知っているものですから^^。
「まめであること」というのも大事な要件だと昨日思いました。

投稿: 佐平次 | 2017/01/25 09:30

佐平次様
兼好の声のことでしたか、甲高く硬質なので苦手の方はいるでしょうね。
「まめであること」が女性にモテる第一の条件でしょう。会社にいた頃、これだけでモテていた人間がいました。

投稿: ほめ・く | 2017/01/25 11:15

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