「喪中はがき」について考える
新年そうそう縁起でもない話題で恐縮だが、「喪中はがき」について。
皆さんのご家庭にも毎年何通かの喪中はがきが届くと思われるが、考えてみると今や「喪中」「喪に服す」という生活習慣がほとんど失われているのに、「喪中はがき」だけが独り歩きしているのではなかろうか。
以下、「仏事まとめ百科」のサイトより引用。
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「喪に服する」
近親者が亡くなった場合に、一定の期間、死を悼(いた)み、身を慎むことを「忌服(きふく)」と言ったり、「服喪(ふくも)」と言ったりします。 古くは、門戸を閉じ、酒肉を断ち、弔(ちょう)せず、賀(が)せず、音曲をなさず、嫁とりをせず、財を分かたずというようなしきたりが暮らしの中に 息づいて、それが今日も、部分的に受け継がれているのです。
特に忌服期間中は、故人の冥福を祈り、行動を慎みます。晴れがましいことや派手な行動は慎みましょう。門や玄関の正月飾り(注連縄、門松など)、鏡餅等の飾り付けや正月料理、お屠蘇でのお祝いは致しません。
年始まわりや神社、仏閣への初詣も控えるのが一般的です。
特に忌服期間中は、故人の冥福を祈り、行動を慎みます。晴れがましいことや派手な行動は慎みましょう。門や玄関の正月飾り(注連縄、門松など)、鏡餅等の飾り付けや正月料理、お屠蘇でのお祝いは致しません。
年始まわりや神社、仏閣への初詣も控えるのが一般的です。
「忌中、喪中の期間」
明治7年に出された太政官布告では、別表のように、忌(忌中)と服(喪中)の期間をこと細かく定めています。忌と服は、謹慎度の深さによって分けられますが、おおまかには、忌は自宅に謹慎する期間、服は喪服を着用する期間と考えていいでしょう。現在ではもちろん、こうした法令はすべて撤廃(昭和22年に廃止)されていますが、仏事の慣例としては、今もこの太政官布告が一つの目安にされていて、たとえば父母の死亡に際しては七七忌(四十九日)までが忌中、一周忌(一年間)までが喪中とされることが多いようです。
続柄 | 忌日数 | 服(喪)日数 |
---|---|---|
父母 | 50日 | 13カ月 |
養父母 | 30日 | 150日 |
夫 | 30日 | 13カ月 |
妻 | 20日 | 90日 |
嫡子(息子) | 20日 | 90日 |
その他の子(娘) | 10日 | 90日 |
養子 | 10日 | 30日 |
兄弟姉妹 | 20日 | 90日 |
祖父母(父方) | 30日 | 150日 |
祖父母(母方) | 30日 | 90日 |
おじ・おば | 20日 | 90日 |
夫の父母 | 30日 | 150日 |
妻の父母 | なし | なし |
曾祖父母 | 20日 | 90日 |
※太政官布告『忌服令』(昭和22年廃止)
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明治から昭和の初めまでは「喪中」 は法令で定められていた。それも男女や尊属・卑属による差別に加え、同じ子どもでも長男とそれ以外の子どもでは差をつけるなど、今の時代にはとうてい受け容れられない内容になっている。廃止は当然だろう。
もちろん、家族や親しい親族が亡くなった時には死を悼む気持ちが続き、とてもお祝い事などする気になれないというケースもある。そういう時には「喪中はがき」も意味がある。
しかし形式上は喪中なので「喪中はがき」を出しておいて、クリスマスを祝い、忘年会ではドンチャン騒ぎ、大晦日は紅白歌合戦を見て、元日は朝から酒を飲んでゴロゴロというのでは、「喪中」が泣く。
そんな形式上だけの「喪中はがき」なら、やめても良いのではなかろうか。
もちろん、家族や親しい親族が亡くなった時には死を悼む気持ちが続き、とてもお祝い事などする気になれないというケースもある。そういう時には「喪中はがき」も意味がある。
しかし形式上は喪中なので「喪中はがき」を出しておいて、クリスマスを祝い、忘年会ではドンチャン騒ぎ、大晦日は紅白歌合戦を見て、元日は朝から酒を飲んでゴロゴロというのでは、「喪中」が泣く。
そんな形式上だけの「喪中はがき」なら、やめても良いのではなかろうか。
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基本的異議なし。
正月をもって、忌が「あけまして」おめでとう、でもいいのでしょうね。
投稿: 佐平次 | 2017/01/03 11:44
佐平次様
いま右翼の連中が戦前の家族制度を声高に礼賛していますが、その実態は太政官布告『忌服令』にも表れています。
「伝統的」というのは要注意です。
投稿: ほめ・く | 2017/01/03 18:01