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2017/03/19

「雲助蔵出し ぞろぞろ」(2017/3/18)

「雲助蔵出し ぞろぞろ」
日時:2017年3月18日(土)13時
会場:浅草見番
<  番組  >
前座・柳家小多け『子ほめ』
春風亭朝之助『だくだく』
五街道雲助『千早ふる』
五街道雲助『おせつ徳三郎(上)花見小僧』
~仲入り~
五街道雲助『おせつ徳三郎(下)刀屋』

雲助は先ず挨拶代わりにと1席目『千早ふる』。
歌の分けを訊きにきた男に対し、知ったかぶりの男は言語左右にして誤魔化しながら物語を考え出すが、その過程を雲助は巧みな表情変化で示し場内は爆笑。

続いて2,3席目は『おせつ徳三郎』の通し。
前半は『花見小僧』のタイトルで演じられるが、近ごろでは寄席の高座にかかる機会は極めて少ない。これから花見シーズンを迎えると『長屋の花見』と『花見の仇討ち』は嫌になるほど聴かされが、これと『花見酒』は演じ手が少ない。
むしろ後半の『刀屋』の方がお馴染みになっている。
これが「通し」となると、こうした会でしか聴けないので、良い機会に巡り合った。

『おせつ徳三郎』上中下のあらすじは次の通り。
【上・花見小僧】
日本橋横山町の大店の一人娘おせつは評判の器量よし。17歳になり大旦那は婿取りの話を持ち掛けるが、どれも気に入らず断られる。番頭を呼んで悩みを心当たりをきいて見ると、どうやら奉公人の徳三郎と深い仲になっているらしいとのこと。どうやら去年の春に向島に花見に行った辺りがきっかけになった様子。
本人たちに問い詰めたところで口を割らないからと、番頭は花見に二人と婆やのお供で同行した小僧の長松から話を聞き出すことを勧める。その際、長松が忘れたと言ったらお灸をすえると脅かし、話をすれば宿下がりを毎月にして内緒で小遣いも渡すと甘言を弄するよう大旦那にアドバイスする。
早速、大旦那h長松を呼び出して事情を聞く。当初は忘れたの一点張りだったが、脅したり賺したりするうちに、長松から花見の後のお茶屋で二人が結ばれた様子を聞き出す。
こうなったら放ってはおけないと、徳三郎は暇を出され叔父の家に預けられる。
それにしても江戸時代の17歳(当時は数えだから、今なら16歳ぐらい)の生娘というのは、実に大胆だったんですね。
【中、通常は省略され下の冒頭にあらすじとして紹介される】
叔父の家に預けられていた徳三郎に、おせつが婿を取るという話が伝わる。それも、おせつが相手を見初めて望んだもので、婚礼は今日行われると。
おせつの裏切りに怒りを燃やした徳三郎は叔父の家を飛び出す。
【下・刀屋】
村松町の刀屋の店に飛び込んだ徳三郎、とにかく人が斬れる刀を、それも二人だけ斬れれば良いなどと言い、店主が差し出す刀を店の中で振り回す始末。
店主は事情を察し徳三郎をなだめ事情を訊くと、彼は友人の出来事としておせつとの馴れ初めから今日に至る経緯を話す。
聞いていた店主は、それは奉公人が間違っているし、切り替えて婿取りを決心した娘は親孝行で偉いと褒める。納得にいかない徳三郎に対し店主は、本当に敵討ちをしたかったら一生懸命に働き成功して大店の主となって見返してやれと励ます。徳三郎も店主の諭しに納得しかける。
そこへ、おせつが婚礼の席から飛び出して逃げ、行方知れずになったという知らせが刀屋の店主の元に伝わる。
徳三郎は脱兎のごとく飛び出して両国橋へ向かい、おせつのために身を投げようとする。するともう一人同じ様な人影が。見ればおせつ。
二人で心中しようとするが、直ぐそこまで追手が迫っていて果たせず、深川の木場まで逃げてくる。橋にかかると、ここで心中をと決めた二人はザンブと川の中へ飛び込む。
ところが、木場だから下は筏が一面にもやってあり、二人はその上に落っこちた。
「あっ痛! 徳や、なぜ死ねないんだろう?」「お嬢さん、水がなくっちゃ死ねません」
おせつが川の水をすくって一口飲み、
「徳、お前もお飲み」
でサゲ。

雲助の高座の『花見小僧』では、大旦那に脅され困惑しながら話を小出しにしてゆく長松の姿と、生々しい情景に次第に怒りを募らせる大旦那の姿が対比され、好演。
長松が語る二人の交情の様子で、常に娘のおせつの方が積極的にリードする姿が描かれるが、これが後半の伏線になってゆく。
『刀屋』は一転して人情噺。刀屋の主人が、自分の放蕩息子を手に負えず勘当したが、その身を一日たりとも思わす日はないという話しをして徳三郎の気を鎮め、彼の身の上話しを引き出す演出に説得力があった。
そして徳三郎の行為を頭から否定し、相手のおせつを褒めることにより、徳三郎も次第に冷静さを取り戻す。
その一方で、徳三郎が一銭も使わずおせつと交わった事について、吉原で太夫を買えば大金が掛かるのにお前はタダで出来たんだから幸せだと言って諭す辺りに、この主人の洒落っ気も感じさせていた。
この様に後半の雲助の高座では、一本気な徳三郎に対し、老獪で洒脱な刀屋の主人の姿を配し、これまた好演。
サゲも、通常の「今のお材木(題目)で助かった」を変えて、独自の工夫をしていた。

『おせつ徳三郎』の通しを改めて聴いてみると、非常に良く出来た噺だと思った。ストーリーに無理や無駄がなく、前半の滑稽噺(この部分は初代三遊亭円遊の改作らしいが)から後半の人情噺への転換も巧みで、名作の部類に入ると思う。
ただ、これを演じるには相当の力量が必要で、やはり雲助クラスでないと無理だろう。

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コメント

そうでした、ただでいい思いをしたじゃないかのところを楽しく聴いたのでした。

投稿: 佐平次 | 2017/03/19 22:56

佐平次様
「タダでいい思い・・・」と「お茶漬けサラサラ」の部分は雲助独自の工夫と思われます。固い噺に息抜きを与えていました。

投稿: ほめ・く | 2017/03/20 09:02

お茶漬けさらさらは馬生らしいですよ。
ただで、もそうかな。

投稿: 佐平次 | 2017/03/20 09:09

佐平次様
そうですか、馬生でしたか。あの刀屋の洒脱さは師匠譲りかも知れないですね。

投稿: ほめ・く | 2017/03/20 10:18

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