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2017/03/11

鈴本演芸場3月上席・昼(2017/3/10)

鈴本演芸場3月上席昼の部・楽日

前座・柳家緑助『たらちね』
<   番組   >
春風亭ぴっかり『こうもり』
松旭斉美智・美登『奇術』
桂南喬『鮑のし』
春風亭一之輔『人形買い』
ニックス『漫才』
入船亭扇遊『権助芝居』
三遊亭歌奴『佐野山』
翁家社中『太神楽曲芸』
柳家権太楼『代書屋』
─仲入り─
三遊亭小円歌『三味線漫談』
桃月庵白酒『ざる屋』
桂藤兵衛『替り目』
林家二楽『紙切り』
春風亭正朝『野ざらし』

3月10日は鈴本演芸場の昼の部へ。上席の楽日であるこの日は、若手、中堅、ベテランがバランス良く組み合わされて豪華な顔ぶれだ。そのせいか、平日の昼にも拘わらず客の入りも良かった。
中身もそれぞれが持ち味を発揮して、充実した楽日だった。

ぴっかり『こうもり』
社会人落語家微笑亭さん太が、春風亭小朝のために書き下ろした新作落語の一つ。『鶴の恩返し』のパロディの様な作品。助けられたコウモリが吸血鬼というひねりがある。コウモリが変身した少女の仕草が演者と重なり、成功していた。
ぴっかり、マクラでの客の掴みが上手くなってきた。

美智・美登『奇術』
アメを客席に投げるのは失礼だと思うけどね。

南喬『鮑のし』
この人の演じる甚兵衛さんはお人好しで、だから周囲から可愛がられている様子が分かる。
登場人物に対する演者の目の優しを感じる。

一之輔『人形買い』
人形店の小僧が大活躍。人形が安く買えたと喜ぶ二人の男に、実は一昨年からの売れ残りで、主が「店に出しておけば、どこかの馬鹿が引っかかって買っていく」という商品だと聞かされ唖然とする。おまけに店の若旦那と女中との色ごとまで聞かされる。こましゃくれた子どもを演じさせたら一之輔の独壇場。

ニックス『漫才』
睡眠中。

扇遊『権助芝居』
寄席も芝居も一人で行くので、周囲の会話を聞くのも楽しみの一つだ。時には高座より面白いことがある。
先日もプログラムに「馬生」の名を見つけた老夫婦。
「きんばらてい馬生か。もういい年だよな。」
「えー、もう死んだんじゃないの?」
「いや、まだ生きてんじゃないのかな。」
本人が登場すると、
「やっぱり違ってた。」
本人が聞いたら苦笑するだろうね。
この日の扇遊の高座について、
「この人ね、上手いんだけど、印象に残んないだよね。」
と言ってる方がいた。
確かに、この日のようにインパクトの強い人が並ぶと、印象が薄くなってしまう感はある。

歌奴『佐野山』
得意の呼び出しや行司、場内アナウンスの物真似で場内を沸かす。歌奴の鉄板ネタ。

翁家社中『太神楽曲芸』
土瓶芸はいつ見てもお見事。師匠も泉下で喜んでいるだろう。

権太楼『代書屋』
十八番のスマホのマクラから、これまた十八番のネタ。
男が代書屋から学歴を訊かれ小学校と答えると、なんという名の小学校かと言われると、
「えーと、なんだっけなー、あーっ、森友学園!」
でサゲていた。

小円歌『三味線漫談』
11月に立花家橘之助を襲名予定であることが発表されている。
橘之助については書籍や記事でしか知らないが、襲名にあたり芸も継ぐのか、それとも名前だけ継ぐのかが注目される。何となく後者のような気がするのだが。

白酒『ざる屋』
寄席の短い出番でお馴染みのネタ。短時間でもしっかりと笑いを取っていた。

藤兵衛『替り目』
藤兵衛が描く酔っぱらいは泥酔状態ではなく、程よく酔っている感じだ。さっぱりとした芸がこの人の特長だ。

二楽『紙切り』
随分痩せた印象だが、健康上に問題はないだろうかと心配になった。この日のお題は「お花見」と「卒業式」。

正朝『野ざらし』
8代目柳枝より3代目柳好に近い演出で、釣り竿を上下に激しく振りながら気持ち良さそうに「さいさい節」を唄う。
妄想で年増の幽霊とイチャイチャして鼻を釣り上げ、針を捨てる所で切っていた。
トリ根多としては物足りなさも感じたが、前方に濃い人が多かったのでこれもアリか。

楽しめた楽日、これにてお開き。

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コメント

実は私も最近、一之輔『人形買い』を聴いて若旦那と女中との色ごとを語る後半の迫力に圧倒された次第。
ぴっかり『こうもり』
キライな男は血も涙もないオトコ。某所でいつぞや聴いて笑いました。
ぴっかりはこれと『ピーチボーイ』がいいと思います。

福様
小僧が嬉しそうに若旦那と女中の情事を語る場面が実に結構でした。一之輔の面目躍如です。
ぴっかりはすっかり高座馴れしてきました。

扇遊が独演会でぐんぐん押して見せました。
寄席などでは遠慮してしまうのでしょうか。

佐平次様
この日の顔づけのように個性の強い人が並び、扇遊自身は浅い出番だったので、意識的にあっさりとした高座にしたのだと思います。それでいて、やはり上手いと感じさせる。こういう所も寄席の魅力でしょう。

そういう所を味わい評価する客がもっと増えると噺家ももっと成長するのでしょう。

佐平次様
寄席は芝居と同じで団体興行です。全体のバランスと、その中での各自の役割を果していたかどうかが評価のポイントとなります。そうした目で見ると、この日の昼席は大変バランスが良かったし、それぞれの役割も果たしていたと言えるでしょう。

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