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2017/03/21

新宿末廣亭3月中席・昼(2017/3/20)

新宿末廣亭3月中席昼の部・楽日

前座・柳家小多け『たらちね』
<  番組  >
三遊亭歌太郎『酒の粕』
伊藤夢葉『奇術』
柳家海舟『ぞろぞろ』
古今亭文菊『ざる屋』
ホンキートンク『漫才』
宝井琴調『愛宕山誉の梅花』
柳家喬之助『締め込み』
柳家小菊『粋曲』
柳家はん治『ぼやき酒屋』
林家種平『お忘れ物承り所』
林家楽一『紙切り』
柳家小満ん『悋気の火の玉』
─仲入り─
春風亭百栄『コンビニ強盗』
ロケット団『漫才』
柳家小ゑん『ミステリーな午後』
柳家小団治『長屋の花見』
翁家社中『太神楽』
柳家小里ん『一人酒盛』

小言幸兵衛さんの記事を読んで急に末廣亭に行きたくなり、3月中席楽日の昼の部へ。
以前にも書いたことだが、寄席というのは芝居と一緒で、全体の流れや、その中で各個人(又はグループ)が役割を果していたかどうかが評価のポイントとなる。
必要なら自分の出番では敢えて表現を抑えたり、逆に過剰な演出をしてみたり、固いネタが続く時は漫談で逃げることだって許される、それが寄席というものだと思う。
そうしながらも、それぞれの出演者は客からある程度は受けねばならない。そこの兼ね合いが難しいし、プロとしての技が試される。
技術論は幸兵衛さんにお任せして、当方は感想をいくつか。

前座の小多け『たらちね』、最近よく高座に出会うが、師匠譲りの端正な高座は好感が持てる。

歌太郎『酒の粕』、この日は客が次第に増えてゆき、仲入りの頃には2階席まで一杯の入りだったようだ。浅い出番ではざわついた雰囲気の中で客席を温める役割が求められる。長目のマクラに軽いネタで逃げたが、務めは果たした。

海舟『ぞろぞろ』、客席が落ち着かない事を考慮しても、不出来だった。いくつも細かないい間違いがあり、稽古不足を感じさせた。

文菊『ざる屋』、短い時間で序盤を締めたのはさすがだ。真打も上中並に分かれるが、文菊は間違いなく上である。

ホンキートンク『漫才』、ボケがこの日程度に抑えた方が、このコンビは面白い。

琴調『愛宕山誉の梅花』、この人の寄席の出番が多いのは、色物としての講談に徹しているからだろう。

喬之助『締め込み』、真打昇進して10年。明るいのは結構だが、そろそろ自分の型が欲しい。

小菊『粋曲』、ただただ❤。

はん治『ぼやき酒屋』、桂文枝作だが、東京ではこの人の十八番といっていいだろう。唄い調子の様なはん治の語りにネタのセリフがよく合っているのだ。

種平『お忘れ物承り所』、久々だ。マクラで、電車に8千万円忘れた人がいたが、そんな大金を持ってたなら電車になぞ乗るなと言っていた。忘れ物のほとんどは網棚の上だそうだから、手から離さないことが肝要。
こちらも文枝作だが、前半をカットし、サゲは変えていたようだ。敢えて文枝の作品を並べるという趣向だったのかも。

楽一『紙切り』、身体は動かさなくとも紙は切れるんだね。

小満ん『悋気の火の玉』、マクラからネタまで、ほとんど黒門町そのまま。本妻の「フン」の形が宜しい。

百栄『コンビニ強盗』、寄席に来るチャンスが少ないお客が多かったのか、定番のマクラが受けていた。この人は滑舌の悪さを逆手に取って成功している。

ロケット団『漫才』、以前からツッコミの倉本剛が痩せて顔色が悪いのが気になっていたが、やはり胃の手術で入院していたとのこと。未だ本調子ではないようだが、大事にして欲しい。「一つの事を疑うと他も全て疑って見えてしまうこと」「稲田大臣!」、その通り。

小ゑん『ミステリーな午後』、久々だ。ネタは自作のようで、昼の食事格差をテーマに中年サラリーマンの悲哀を描いたもの。人物設定がステレオタイプ過ぎて、あまり面白いとは思わなかったが、愛嬌と勢いで聴かせてくれた。

小団治『長屋の花見』、初見。本寸法の季節ネタ。アタシとおない年だが、若く見える。

小里ん『一人酒盛』、このネタは相手を無視して一人だけで酒をたいらげてしまう男をどう描くかがポイントとなるが、小里んは好人物に描いていた。つまり、この男は相手も一緒に楽しんで飲んでいるのだと勝手に錯覚している。だから相手に迷惑を掛けているという自覚が全くない、好人物だが無神経なのだ。こういう人物ほど腹が立つことはない。
ほとんどが一人で酒盛する男のモノローグという難しい噺だが、表情やセリフ回しでこの男の性格を巧みに描いていた。聞いていて、こっちも腹が立ってきた。
小里ん、ますます師匠に似てきましたね。

お馴染みの人、珍しい人、久しぶりの人、初めての人、それぞれに楽しかった。

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コメント

ロケット団の四字熟語には「疑心暗鬼」が様々な事象に言い換えられて必ず出ます。
そういう時代を生きている、ということでしょうか。
さて、3月中席の末廣亭は、主任の小里ん、小満ん、小はん、小燕枝(私が行った日は小はんの代演、先代小さんの思い出話のマクラの後、『長短』を好演)小団治、小ゑんと、先代小さんの遺伝子を継ぐ噺家が盛り上げてくれました。
小ゑんのサービス精神も気持ちよくて寄席はやはり通うべきですね。

福様
確かに末廣亭の中席は先代小さんの一門会の様相でした。どれだけの人材を育てていたのか、師匠の器の大きさが偲ばれます。

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