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2017/03/24

ノラや寄席350回前夜祭(2017/3/23)

「ノラや寄席350回前夜祭」
日時:2017年3月23日(木)19時
会場:座・高円寺2
<  番組  >
前座・橘家かな文『真田小僧』
三遊亭萬橘『孝行糖』
蜃気楼龍玉『鹿政談』
春風亭一之輔『夢八』
~仲入り~
三遊亭天どん『クラブ交番』
桃月庵白酒『首ったけ』

安倍政権と自民党はどうやら「窮鼠猫を噛む」という諺を知らないらしい。
だいたいが首相を侮辱したという理由だけで、一民間人をいきなり証人喚問したこと自体が間違っている。日本にはいつから首相へ「不敬罪」が出来たんだろうか。
政権としては、一つ国会に呼んで籠池理事長を絞り上げ、あわよくば偽証罪で告発して森友学園問題に終止符を打つつもりだったが、どっこい、そうはいかなかった。
小学校建設は断念し、恐らくは破産も起こり得るし、大阪府からは刑事告発もあるだろう。
もはや失う物がなくなった籠池理事長は文字通り「窮鼠」となって、安倍首相という「猫」に嚙みついたわけだ。
安倍政権が次に肝に銘ずべき諺は「針の一穴」となる。

高円寺に「ノラや」という店があり、ここで定期的に落語会が開かれている。今回はその350回を記念する前夜祭の会で、若手が中心だ。

萬橘『孝行糖』、メガネをかけたまま高座に上がる噺家がいるが、この人はネタに入るときに外す。これは正解だと思う。特に古典を演じる時にメガネは変だ。
本人に独特のフラがあるから、何を演じても何となく可笑しいから得だ。
飴売りの与太郎が屋敷の門番から棒でめった打ちにされた後で、本来は「痛えよう、ぶたれたとこが痛えよう」というセリフが入るが、ここをカットしていた。これだとサゲの「孝行糖、孝行糖(こことここ)」が弱くなるのではないか。

龍玉『鹿政談』、演者とネタが予定調和。マクラで奈良名物として「大仏に鹿の巻筆奈良晒春日灯篭町の早起き」を紹介したなら、「町の早起き」の説明が要るのでは。全体に起伏がなく平凡な出来。

一之輔『夢八』、マクラで構えて見るようになると落語は面白くなくなると言っていたが、そういう面は確かにあるかも。一之輔はどうやら演出という言葉に嫌悪感があるようだが、噺家って誰もが日々自分で演出を考え自分で演じる職業じゃないの。一之輔の高座を見ていると、毎回演出を変えているし、それが魅力だろう。
一之輔にとっては、落語を聴いてきちゃあ感想を書いているアタシの様な存在は信じられないかも知れない。それも決して否定はしないが、落語好きにも色々なタイプがあり、その楽しみ方の違いは尊重すべきではなかろうか。
どうも、毎度ここの所が引っかかるのだ。
ネタはお馴染みだが、スローモーションも入れて動きがより派手になっていた。

天どん『クラブ交番』、キャバクラみたいな交番を描いた新作だが、面白くなかった。落語に出てくる登場人物は誇張されていても、どこか自分にもそういう面があるなとか、周りに似たような人間がいるなとか、そう思わせる所が大事だ。その点が欠けている。

白酒『首ったけ』、待っているのに敵娼(あいかた)は来ない。それなら寝ちまおうとするが向こう座敷がドンチャン騒ぎで寝られない。しかもその座敷に敵娼がいるとなれば余計にイライラする。ついつい強い調子で文句を言って喧嘩となり、勢いで店を出てしまう。まあ、こういう事って、花魁と客の関係だけではなく、男女間の普遍的な出来事と言える。
深夜あてもなく店を出て、仕方なく男は向かい側の店に上がる。ところが、その店のオショクが以前から男にトンと来ていて、これ幸いの大サービス。これとて向かい側の店のオショクとの意地の張り合いという面も濃厚なのだ。ともかく有頂天になった男は店に通いつめうが、金がなくなり暫くは稼ぎに精を出す。
ある日、吉原が火事ときいて駆け付けた男が、お歯黒ドブに落ちている女を発見する。顔を見ると前の店の敵娼。
「てめえなんざ沈んじゃえ」
「そんなこと言わずに助けとくれ。今度ばかりは首ったけだよ」
噺はここで終わるのだが、この先、男と敵娼はこれを機会に因りを戻すのではないだろうか。そんな予感がする。
一編の噺の中に男女の情愛の機微がちゃんと描かれているわけで、こういうとこが古典落語というのは実に良く出来ている。
白酒の高座はそれぞれの人物を鮮やかに演じ分け、良い出来だった。

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コメント

天どんを見ると志ん五を思い出す・・・
『首ったけ』は志ん生版をCDで聴きました。
仰るような男女の機微、特に志ん生がうまいのは男の愚かしさです。
白酒は古今亭を極め、志ん生に近づこうとしているんでしょうか。

福様
白酒は若手の中では古今亭のお家芸を継承している第一人者といえます。特に廓噺が上手いし、花魁や若い衆の造形が巧みです。
志ん生を継ぐとしたら、この人を推します。

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