【ツアーな人々】旅行会社が倒産するというリスク
格安ツアーを売り物にしていた「てるみくらぶ」が、3月27日に資金繰りに行き詰まったとして破産を申請し、裁判所から破産手続きの開始決定を受けた。
「てるみくらぶ」の経営破綻で影響を受けるのは3万6000件、金額にしておよそ99億円にのぼると見られている。日本旅行業協会によれば、弁済に充てることができる「保証金」は1億2000万円にとどまるため、実際には僅かしか返還されないおそれがあるという。
ざっと勘定して1件あたり30万円ほどの損害が出ても、返ってくるお金は3千円程度になるわけで、大きな損失だ。
多くは海外旅行を申し込んでいた方だと思うが、こうした経済的な損失以外に、突然旅行を取りやめざるを得なくなった事による精神的な損失も加わる。
まして、既に旅行に出発し、現地で立ち往生になった方のショックと苦労は計り知れない。
報道によれば、「てるみくらぶ」は少なくとも3年前から営業損益が大幅な赤字に陥った可能性があるにもかかわらず、黒字に見せかける決算書を作り続けていたようだ。中でも直近の去年9月期の決算では、営業損益はおよそ1億1000万円の黒字を計上していたが実際は15億円以上の赤字で、この時点で財務の状態が74億円程度の債務超過に陥っていたという。
会社はこうした深刻な経営実態を偽って、破綻直前まで1日当たり1000件から2000件の海外旅行の予約を受け付けていた。
これでは詐欺と言われても仕方なかろう。
私も、過去に何度か利用していた旅行会社が倒産したことがある。小規模ながらも他社では扱わないような企画を立てる旅行社だった。幸いな事にその時期は申し込みをしていなかったので被害はなかったが、今回の件は他人事とは思えない。
実は「てるみくらぶ」のパッケージツアーについて、昨年申し込みを検討したことがある。結論は取りやめにしたが、その理由は次の2点だった。
1.他社に比較して価格が安過ぎた。これだけ違うと何かカラクリがあるのではと疑ったのだ。
2.旅行案内に「添乗員同行」とあったが、スケジュールを確認すると添乗員は現地の空港で待つと書いてあった。それは添乗員じゃなくて、現地ガイドだろう。
こういう所に不信感を持った。
私たち外部の人間としては、旅行会社の経営状態までうかがい知ることは不可能だ。
取り敢えずは、法外な格安を売り物にしている会社は避けておいた方が無難だろう。
海外旅行には様々なリスクがあるが、これからは旅行会社が倒産してお金が戻らないリスクも加わることになってしまった。
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この記事を読み、20年ほど前に勤務先の後輩が申し込んだ新婚旅行のツアーで旅行先が倒産したというのを思い出しました。ツアー代金はほぼ全額返還されたそうです。当人達は災難だったと思いますが、まわりは、「へぇー、そんなことってあるんだ?!」という感覚でした。
投稿: ぱたぱた | 2017/04/16 21:22
ぱたぱた様
旅行社が倒産しても払い込んだ費用は全額弁済されるという風に聞いてました。だから、今回のてるみくらぶの状況は極めて異例ですし、むしろ詐欺にあたる行為だと思います。
投稿: ほめ・く | 2017/04/16 23:49