第28回大演芸まつり「芸協仲夏祭花形」
日時:2017年5月4日(木・祝)13:00
会場:国立演芸場
< 番組 >
前座:春雨や晴太『たらちね』
柳亭小痴楽『磯の鮑』
三遊亭遊雀『十徳』
三遊亭小遊三『浮世床(将棋、本)』
~仲入り~
『口上』高座下手から司会・遊雀、鯉昇、小遊三、日本演芸家連合会長・三遊亭金馬
瀧川鯉八『(不明)』
ナイツ『漫才』
瀧川鯉昇『ちりとてちん』
恒例の第28回大演芸まつり、5月4日は落語芸術協会が主催する「芸協仲夏祭花形」。タイトルには花形とあるが、昨年と違って若手ばかりという顔づけではなかった。小痴楽と鯉八は昨年に引き続き出演。
前座の晴太『たらちね』、達者な前座だ。面白い存在になるかも。
小痴楽『磯の鮑』
珍しいネタで、メクラの小せんが得意としていて、彦六の正蔵も演じていた。上方では『わさび茶屋』のタイトルで演じられる。
町内の若い衆にそそのかされて与太郎が吉原に行く気になり、女郎買いの師匠という人物を紹介される。師匠という相手の所を訪れると、元より冗談だと分かっていて、それでも若い頃の経験から吉原の作法みたいなものを与太郎に教える。勇躍、吉原に足を踏み入れる与太郎だが、やることなすことトンチンカン。強引に見世に上がって花魁と対面。師匠に教わった通りに「3年前からずっと花魁を思っていた、磯の鮑の片思いだよ」と言って花魁の肩をポンと叩く。処がそこは与太郎、「磯のワサビの片思い」って言いながら思いっきり花魁の頭を叩いた。
「ああ、痛いよ、涙が出るじゃないか」
「それじゃ、今のワサビが効いたか」
でサゲ。
与太郎のチグハグな姿と花魁に色気があり、いい出来だった。
後方の遊雀が枕で盛んに小痴楽をいじっていたが、それだけ注目されているという事だろう。
【訂正】5/17
『磯の鮑』について「しばらく途絶えていたが」と記述しましたが、トシ坊さんより指摘があり、柳家小里んが度々高座に掛けていたことが分かりました。当該部分を削除し、訂正いたします。
遊雀『十徳』
いつもの1000円札のマクラで客席を沸かせネタに。
最近の遊雀を見ると、高座を楽しんで演じている様に見える。演者の楽しさが客席にも伝わってくる。
小遊三『浮世床』
明解な語り口と明るい芸風がこの人の身上。この日は互いの屁で蝋燭の灯を消す「戦争ごっこ(屁力を争う)」から、じゃんけんで勝負を決める「碁」、「将棋」、「本」で受けていた。
『口上』で金馬が古いから演芸家連合会長をさせられていると言っていたが、実際はそうではあるまい。恐らくは政治力があるからだろう。亡くなった円蔵が、金馬の代わりにゴルフに行ったら相手は財界のお偉方だったと言っていた。
鯉八『(タイトルは不明)』
今回で3度目だが、松ちゃんとか、金平糖とか言う言葉が出ていた。
天才と呼ばれているそうで、一部に熱狂的ファンがいるとのこと。
全く面白さが分からないし、聴いていて不快でさえある。要は性に合わない訳で、こればかりは致し方ない。
ナイツ『漫才』
森友学園の籠池を見た時、誰かに似ているなと思ったが、そうだ、ナイツの塙宣之だった。この日もそれをネタにされていた。
スポーツ芸能ニュースをネタにした掛け合いだったが、以前ほどの面白味が感じられなかった。
鯉昇『ちりとてちん』
図らずも落協のトリと同じネタになったが、テンポの良さでは鯉昇に軍配をあげたい。後から来た寅が鯛の刺身を勧められた時、さん喬では一口だったが、鯉昇では完食。ケチを付けながらも全部平らげるという寅の根性を表すには、鯉昇の演じ方が正解だと思う。
全体として、落協より芸協の会の方が良かったと思う。
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