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2017/06/17

鈴本演芸場㋅中席・昼(2017/6/16)

鈴本演芸場㋅中席昼の部・6日目

前座・金原亭駒六『元犬』
<  番組  >
春風亭一左『牛ほめ』
ストレート松浦『ジャグリング』
古今亭菊之丞『親子酒』
入船亭扇遊『たらちね』
ホンキートンク『漫才』
林家正蔵『読書の時間』
柳家権太楼『代書屋』
三遊亭小円歌『三味線漫談』
春風亭一朝『蛙茶番』
─仲入り─
花島世津子『曲独楽』
春風亭三朝『小粒』
柳家さん喬『締め込み』
江戸家小猫『ものまね』
春風亭一之輔『唐茄子屋政談』

鈴本演芸場の6月中席・昼の部は一之輔がトリで、権太楼やさん喬といった実力者が顔付けされている。16日は代演休演が少ないこともあって人気が高く、開場20分前に着いた時は長い列ができており、既に入場が始まっていた。
団体客が入っていたこともあって、開演時には既に満員。
ただ、全体的にざわついていて、客層は良いとはいえなかった。
客席から芸人にチャチャを入れる時は、タイミングと節度が必要だ。今日の客の中に、そこを理解してない野暮天がいた。

団体というのは演芸場サイドからみれば有難いのだろうが、その集団だけ周囲から浮いてしまう傾きになる。
個人で来る人はこの日の番組が好きで来たのだが、団体の方からすればたまたまこの日の番組に当たったということになるのだろう。
そうしたズレが生じるから、他の客からはあまり歓迎されない。
芝居にしろ寄席にしろ、他の芸能もそうだが、聴いたり見たりするのは極めて個人的な行為だと思う。一人一人好みも異なるし、自分に合わなければ苦痛でしかない。
と、アタシなんか思ってしまうのだが。

いつもの短い感想を。

一左『牛ほめ』、与太郎が牛をほめる時の誉め言葉「天角地眼一黒直頭耳小歯違」を、叔父の娘に言って泣かせてしまうという場面、必要ないのでは。それと牛がフンを垂れるのを写実的にしゃべるのは、やめて欲しい。噺が汚くなる。
ストレート松浦『ジャグリング』、いつ見てもお見事。新しい技を考案してゆくのは大変だろうね。
菊之丞『親子酒』、先日、龍玉で聴いたばかりのネタでセリフまで一緒だったが、面白さが違う。落語っていうのは話芸ではあるが、そこに演者の愛嬌とか色気とか華とか、そういったモノが加味されて成り立っている。だからいくら語りが上手くったって、それだけでは優れた噺家にはなれない。
菊之丞にあって龍玉に欠けているのは、そこだ。
扇遊『たらちね』、寄席に出る噺家というのは、時には明らかに手を抜くこともあるが、扇遊がそうしたのを見たことがない。浅い出番でも短い時間でも1席きっちりと演じるスタイルは好感が持てる。
正蔵『読書の時間』、こういう軽いネタがニンだ。
権太楼『代書屋』、いつものマクラにいつものネタ。だが、権太楼の顔を見ただけで満足だ。「皆さんの前で、こうして落語が出来るって、こんな幸せなことはない」、いい言葉だ。
小円歌『三味線漫談』、いつも通りのようでいて、立花家橘之助襲名への意気込みを感じた。来年が楽しみになってきた。
一朝『蛙茶番』、得意のバレ噺。この人が演じるとあまり嫌らしくない。戦前、このネタを高座にかけたら警察に呼ばれて絞られた噺家もいたとあるが、そんな時代にはなって欲しくない。

世津子『曲独楽』、元々は手品師だが、こういう芸も持ってるんだ。器用な人は何をやっても器用だね。アタシはその正反対、トホホ!
三朝『小粒』、この人の名、一朝の三番弟子だから三朝なんですかね。いずれ五朝とか十朝とか出てくるのかな。
初めて聴くネタで、背の小さい男が、背が伸びるよう願掛けしたら、翌朝足が掛布団から出ていて喜ぶが、よく見たら布団が横になっていたというサゲ。
新真打ながら数々の受賞歴を持つ人なので、これからの活躍を期待したい。
さん喬『締め込み』、先日の独演会で聴いたばかりだが、この日は半分位に短縮していた。ただ独演会の時に出なかった「ウンか出刃か、ウン出刃か」が入っていたのは嬉しい。
小猫『ものまね』、後から出た一之輔が「あんなこと、親子代々やっていて面白いんですかね。誰か、親父、もうよそうよって、言わなかったのかな」とイジっていた。いやいや、立派な芸ですよ。この人の祖父の猫八が、一度、ものまねをしないで落語を演じたのを聴いたことがあるが、上手いもんだった。こういう芸も基本は話芸なんだね。
一之輔『唐茄子屋政談』、勘当になった若旦那が吾妻橋から身投げするのを叔父に助けられ、唐茄子の棒手ふりをさせられる所から、若旦那が貧しい母子を助け阿漕な大家を殴りつけて、その善行によって勘当が解かれるまでのほぼ全編を演じた。普通に演じれば1時間近くかかるのを約30分で演じたので、途中の細部が省略されていたが、この噺の勘所はしっかりと捉えていた。
難をいえば、叔父さんが若く見えてしまうこと。演者の年齢から致し方ないのかも。
一之輔によれば、若旦那のたった一日の善行だけで勘当を解くのは甘すぎる。まだまだ苦労をさせるために、若旦那は唐茄子売りを続けるという、もう一つの結末を用意していた。
大ネタを短時間にまとめ上げ、客席を沸かせる技量は大したものだ。
鬼才(奇才かな?)の面目躍如。

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コメント

すばらしいメンバーでしたね。
世津子が曲ゴマをやるのですか、みたかったなあ。

佐平次様
平日の昼にも拘わらず、立ち見も出る盛況ぶり。お客は正直です。
世津子は三増紋之助みたいに鮮やかとはいきませんが、全ての技はこなしていました。
そう言えば紋之助って、あまり顔を見ませんね。

 開場の30分前に建物の中に移動していただいたのは助かりました。(熱中症で倒れでもしたら、鈴本も困るわな)
 前列五番目の中央に陣取り、妙齢な女性(フィリピン妻?と解説おばちゃん←多少難あり)に挟まれ、セブンでビール2本と濃いハイボール・お供は枝豆とスモークタン(保冷バック持参)・まい泉のカツサンドを開演前にやっつけての観演。
 ざわつきは演芸ホールよりもましかな(笑)。感想は御隠居(失礼)と同意同意。
 長文失礼しました。


蚤とり侍様
どこかで聴いておられると思ってました。私は幸運にも最前列のほぼ中央が確保できました。
お酒が強いんですね。私がその量を飲んだら途中で眠ってしまいます。
期待通りの充実した中席でした。

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