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2017/06/13

#72人形町らくだ亭(2017/6/12)

第72回「人形町らくだ亭」
日時:2017年6月12日(月)18時50分
会場:日本橋劇場
<  番組  >
前座・柳家小はだ『転失気』
桂三木男『雛鍔』
柳家喬太郎『夢の酒』
五街道雲助『付き馬』
~仲入り~
柳家小満ん『茶碗割』
(前座以外はネタ出し)

三木男『雛鍔』
初めて聴いたときから、3代目三木助の孫である事を売り物にしているようで、嫌な感じだった。それは今でも続いている。馬じゃあるまいし、落語家に血統は関係ない。それも上手いならまだ許せるが、下手ときた。
3代目、4代目のナマの高座に接した者として、「三木助」の名だけは汚さないで欲しい。

喬太郎『夢の酒』
喬太郎がマクラで語っていたように、アタシも女房や家族に言えないような夢を見ることがあり、このネタは結構リアリティがあると思っている。
温泉に一人で浸かっていたら、会社の女子社員が次から次へと湯船に入ってきたなんて夢、妻には言えないわな。「あんたが普段から、そうなって欲しいと思ってるから、そんな夢見るのよ」とお小言を頂戴するに決まってるさ。
喬太郎の高座は、夢の話を語る若旦那に対する女房のリアクションに重点を置いていた。堪えながら聞いていて、瞬間に爆発する表情が良い。
男性を魅惑する際には、女性は顎の使い方が重要だそうで、是非パートナーにお試しあれ。

雲助『付き馬』
意外だが、このネタ、白酒ではなんべんも聴いているのだが、雲助は初。当り前だが、やはり師匠の方が上手い。
雲助の目付きがいい。いかにもツケを踏み倒しそうな男の目だ。湯豆腐で一杯飲ってから勘定を払う時に、店の女店員の尻をさりげなく触る所にも、この男の根性が現れている。
吉原の見世の妓夫(ぎゅう)太郎は、風呂屋の番台みたいな妓夫台の上に座って呼び込みをしていたので、見世の前での男との会話の際は目をやや下に向け、男はやや上目にして話していた。こういう細部も目配りしている。
男による吉原から仲見世に至る道中の解説も、雲助の地の利が活きている。
早桶屋での店主と妓夫太郎のチグハグな会話は、「間」が絶妙だ。店主のいう事をシモネタと解釈して、下卑た笑いを浮かべる所は、いかにも妓夫太郎らしさが表現されていた。
志ん朝亡きあと、このネタは雲助が第一人者といって良いだろう。

小満ん『茶碗割』
初めて聴くネタ。
調べてみたら尾崎紅葉作「茶碗割」という短編小説が元のようだ。紅葉自身も作家仲間を相手にこの作品を講談として語ったとあるので、ストーリーが話芸に適しているのだろう。

あらすじは。
両替商の幼い娘の具合が悪いということで、主人が乳母に命じて医者に診させに行くが、なかなか戻らない。遅く帰ってきたので理由を訊くと、帰りに操り人形芝居を観てきたのだと言う。その時、桟敷席にいた侍夫婦から桟敷席に招かれ、子どもの小遣いとして2分の金を貰ったという。
名前も住所も聞いてなかったというので主は怒り、乳母に命じてその侍を探させるが、偶然に駕籠に乗ったその侍を見つけ、先を急ぐからと言う侍を店の手代の助けを借りて、両替商の家に招きいれる。
主人は先日の礼をいい、下へも置かぬもてなしをすると、侍は四国は松山藩の家臣で、主君の命を受けて茶道具を江戸に求めに来たという。
そこへ茶道具を扱う行商の仲買人が、侍が所望していた茶器を持参して現れる。他に買い手がいるが、今ここで180両を即金で払ってくれるなら茶器を渡すという。侍は、芝の宿に戻れば金は用意できるのだがと渋ると、両替商の主人が180両は自分がここで立て替えると申し出て、侍は喜んで茶器を受け取る。
侍は、茶器を風呂敷で結わえ紫の紐で封印をして、借金のカタとして主人に預ける。直ぐにでも180両を両替商に届け、引き換えに茶器を引き取る約束して侍は帰って行った。それから、待てど暮らせど侍は姿を見せず、芝の宿にも該当する人物がいなかった。
ここで両替商は180両を騙し取られたことを覚る。
実に手の込んだ詐欺に引っかかったのだ。
この件が江戸中で評判になり、そこに目を付けた芝居小屋が狂言にして上演したところ、これが大当たり。
ますます両替商の主人は面目丸つぶれ、奉公人に示しがつかず、店の信用にもかかわってくる。
そこで一計を案じ、手代を呼んで何やら耳打ち。
芝居の幕間に突然、手代が舞台に上がり、自分はいま話題に店の手代であり、騙された問題の偽の茶器はこれだと宣言し、観客の目の前で木箱ごと茶器を叩き割って見せる。
観客は大喜びで、これがまた江戸中で大評判になる。
それから数日後、両替屋の店先に例の侍が現れ、「遅くなったが、預けていた茶器を受け取りにきた」と言って、180両を差し出す。
金を受け取った主人はにっこり笑い、預かった紫紐の封印付の茶器を差し出す。
驚く侍、今度は自分の方が一杯食わされたのだ。
主人が侍に、「大切な茶碗です、落として割らないように」。
侍が「割りに合わんなぁ」で、サゲ。

小満んは、余計な修飾や過剰な表現を避け、飄々とした高座でこの物語の面白さを十分に引き出していた。
今のところ小満んしか演じてないようだが、裏を返せば小満ん位の力量がないと高座にはかけられないのだろう。

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コメント

小満んの研究熱心には毎度感心させられます。
三木男はいまだ聴いたことがありません。
先代は一時期、従来の落語家のイメージとは異なる売れっ子でした。
吉川潮によれば、父の三木助と較べられる重圧に苦しんだそうですが、『湯屋番』などを聴くとうまいなと思います。

投稿: 福 | 2017/06/14 06:35

福様
小満んはマクラでネタに関連した俳句や川柳を披露するなど、江戸の粋を伝える貴重な存在です。
4代目三木助は、古典落語に専念しようとしていた矢先だけに、若い死は残念でした。

投稿: ほめ・く | 2017/06/14 06:48

小満んでしたか、残念!

投稿: 佐平次 | 2017/06/14 07:58

佐平次様
もしかして、お出でかと思っていました。
マクラは当時の芝居小屋の繁盛を川柳で紹介していて、いかにも小満んらしい高座でした。

投稿: ほめ・く | 2017/06/14 08:59

御久しぶりです。m(__)m
小満ん師は、飄々としていながらも味がありますね。以前も珍しい雁風呂をテレビで演っていましたし。
16日に鈴本の昼席へ行く予定です。顔付けが良いのと代演が殆ど無いのがなんとも嬉しい限りです。

投稿: 蚤とり侍 | 2017/06/15 00:36

蚤とり侍様
私は、9代目文楽を小満んが継ぐのが一番適していたのではと思っています。
16日の鈴本ですか、皆さん、考えることは一緒ですね。

投稿: ほめ・く | 2017/06/15 05:28

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