江戸落語、上方落語聴き比べ~東京編(2017/7/1)
第百七十八回にぎわい座名作落語の夕べ「江戸落語、上方落語聴き比べ~東京四派出演」
日時:2017年7月1日(土)18時
会場:横浜にぎわい座 芸能ホール
< 番組 >
三遊亭兼好『野ざらし』
三遊亭金時『大山詣り』
~仲入り~
立川生志『反対車』
桂小南治『そば清』
開演時間を勝手に19時と思い込み、18時35分に悠々と会場に着いたら、もうロビーのモニターに兼好の姿があるではないか。
開演時間を1時間間違えていたのだ。
先日の落語会では、会場が鈴本だったのに勝手に国立と思い込んで、それもモギリに指摘されて初めて気が付く始末。
もうボケが始まったか!
今月のにぎわい座「名作落語の夕べ」は、同じネタの東西聞き比べ東京編。上方編は8月11日の「上方落語会」で披露される。
東西のネタの比較は以下の通り。
東京 上方
「野ざらし」←「骨釣り」
「大山詣り」←「百人坊主」
「反対車」← 「いらち俥」
「そば清」← 「蛇含草」
いずれも、元は上方の演目を東京に移したもの。なお「蛇含草」については東西で演じられている。
今回のもう一つの趣向は、4席を東京の四派で演じるというものだ。
圓楽一門の兼好『野ざらし』 、遅刻のお陰で肝心の「さいさい節」が聴けず終盤のみ。サゲは本来のものではなく、上方の「骨釣り」に近いものだった。
客席はドカンドカンと受けていた。
落語協会の金時『大山詣り』、この人らしい真っ直ぐな高座だったが、熊が一人で戻ってきたと聞いた長屋のお上さんたちが不審に思う所が抜けていたように感じた。それから坊主頭になった熊が、お上さんたちに頬被りをしているのを言い訳する場面もなかった。この二つが抜けていると、熊が遭難話しをする際の緊張感が薄まってしまうのではないだろうか。
この点が惜しまれる。
立川流の生志『反対車』 、マクラというよりは時事放談をタップリ。豊田真由子議員の暴言は今や高座ではすっかりネタにされているが、生志は高学歴とボキャブラリーの貧困さのギャップをついていた。ヤンキー先生こと義家弘介について、ああいう人間を文科省副大臣にしちゃあいけないと言っていたが、同感。
ネタでは、俥屋が神社から盗んだ長い提灯をつけているので梶棒が下がらないとか、芸者にぶつかってドブに落とし早く上げてやれという客に「芸者を上げる金がありゃ俥引きなんてやってない」と答えるなど、今では省略される懐かしい情景を挟んでいた。
芸協の小南治『そば清』、今秋に3代目桂小南を襲名する。独特の節回しの語りは当初少し気になるが、しばらくすると癖になりそう。
マクラで、本人は春日部の出身だそうだが、東京から転向してきた少女への初恋を語っていた。ネタの後半でこの話題の続きが始まり、少女の都会風の華やかな色使いんも弁当と自分の田舎じみた弁当の比較に移り、弁当の梅干しが弁当箱のアルマイトを溶かすが、梅干しはご飯は溶かさないと。ここでようやくネタと結びつく。長い仕掛けだ。
ソバよりウドンの方が好きだと言ってたが、鮮やかなソバの食いっぷりだった。
この続きは、8月11日に。
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そういえば落語研究会の志ん輔もほおかぶりの言い訳をしなかったです。
投稿: 佐平次 | 2017/07/03 09:37
佐平次様
熊が長屋のお上さんの前で先ず頬被りの言い訳をするのは、後段の「ほれ、この通り」と言って坊主頭を見せるのを効果的にするもので、欠かせないと思います。
投稿: ほめ・く | 2017/07/03 18:25