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2017/07/09

#6南光・南天 ふたり会(2017/7/8)

第六回「南光・南天 ふたり会」
日時:2017年7月08日(土)14時
会場:横浜にぎわい座 芸能ホール
<  番組  >
『挨拶』南光、南天
桂南天『替り目』
桂南光『天狗裁き』
~仲入り~
桂南天『代書』
桂南光『蔵丁稚』

横浜にぎわい座での、桂南光、南天の師弟による二人会。ここ3年ほど、この会に来ている。
二人とも上方落語協会に入っていないので、南天の略歴を紹介する。
1991年3月 桂べかこ(現 南光)に入門 芸名は桂こごろう
2012年4月 二代目桂南天を襲名
南光の一番弟子、と言っても南光は同時期に弟子は一人しか取らない。だから南天は先輩の弟子が廃業するのを待って、南光に入門した。
アタシは桂こごろう時代の高座を観ていて、ナマの高座は師匠の方が後からだ。

『挨拶』南光、南天
冒頭に二人のトーク(殆ど南光が一人でしゃべる)が定番となっていて、これを目当てに来る方もいるようだ。
今回は療養中の桂ざこばの近況が主な話題で、早期の手術が上手くいって、とても元気だそうだ。現在はリハビリ中で、未だ特定の言葉がスムースに出ないことがあるとのことで、復帰はもう少し先になりそう。
南光が出演しているNHK「生活笑百科」で共演している笑福亭仁鶴は、奥さんを失くされて体調不良で休んでいたが、元気になって番組にも復帰が近いとのこと。
「ここだけ」の裏話も多かったが、もったいないので教えてあげない。

南天『替り目』
上方では『銚子の替り目』というタイトルでも演じられているように、噺の後半で酔った亭主が夜泣きうどん屋に酒の燗をつけさせるくだりがあるが、南天の高座は後半をカットしていた。
酒飲みの小噺からネタに入り、夫婦の会話を中心にしていた。この亭主はいちいち女房に突っかかったり絡んだりするのだが、これがまるで子供が母親に甘えるよう。おでんを買いに行かせた亭主が、独白で女房への感謝の言葉を並べるが、心情がよく表れていた。

南光『天狗裁き』
南光がマクラでも触れていたが、芸能人の浮気だの不倫だの、それのどこに問題があるのかさっぱり分からない。芸能人というのは「あちら側の人」であって、「こちら側」の我々とは違う倫理観で動いているわけで、だからくっ付こうが離れようが相手にしなけりゃいいし、放っておきゃいいんだ。
隣家の男も、大家も、奉行も、天狗までもが、男の夢がどんな内容だったかが興味津々なのだ。きっと女房には話せない色っぽい夢なんだろうと想像していたに違いない。多分、男なら一度や二度は経験があるだろうから、共感を呼ぶのだと思う。
南光の高座は、大師匠の米朝の演出に沿ったもので、人物の演じ分けもきっちり出来ていて面白く聴かせていた。

南天『代書』
このネタ、多くの上方噺家が手掛けているが、やはり代表的な演者というと3代目春団治と桂枝雀になるだろう。比べて大きく異なるのは、男が代書屋から生まれた年を訊かれたときだ。枝雀の方は男の父親が臨終の際に「お前は〇〇歳だぞ」と言って死んでゆくというのに対し、春団治では昭和3年の御大典の時に大人の仲間入りしたことが基準となる。この客の男にとって、全ての基準が提灯行列の年という設定だ。そのくせ、初めて女郎買いにいった日は年月日まで憶えているのだ。
南天の高座は春団治スタイルだった。
判子まで隣の家から借りて来る暴走気味の客の男と、それを呆れながら受け答えする代書屋との珍妙な掛け合いを巧みに描いていて好演。
この日の南天の高座は、なにか一皮むけた様な印象を受けた。

南光『蔵丁稚』
前半の使いに行って遅くなった丁稚の言い訳と主人との滑稽な掛け合いから、一転して丁稚が蔵に入ってからは芝居噺仕立てとなる。
南光は芝居好きを自任するだけあって、四段目の判官切腹の場を丁寧に演じていた。
なお、マクラで劇団四季と宝塚は肌に合わないと語っていたが、同感。

東京に比べ上方の噺家は、とにかく客を喜ばせようと必死に努力する。そこが魅力だ。

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コメント

久しぶりにコメントさせていただきます。

私ども夫婦も行っておりました。
南天がぐっと良くなったと、まさに同じ感想を帰り道で語り合いました。

本当にサービス精神にあふれた会で、これが上方の芸人の真骨頂だと思った次第です。

忍冬様
ご指摘の通り、南天は「化けて」きた印象を持ちました。これから益々楽しみになってきました。

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