「旗を高く掲げよ」(2017/7/31)
劇団青年座第227回公演「旗を高く掲げよ」
日時:2017年7月31日(月)14時
会場:青年座劇場
作=古川健(劇団チョコレートケーキ)
演出=黒岩亮
< キャスト >
ハロルド・ミュラー(夫) =石母田史朗
レナーテ・ミュラー(妻) =松熊つる松
リーザ・ミュラー(娘) =田上唯
コンラート・シュルツ(祖父) =山野史人
ロッテ(娘の友人) =市橋恵
ペーター・マイヤー(SSの友人) =豊田茂
バウワー(副官) =鹿野宗健
ヘルガ・シュヴァルツ(妻の友人) =渕野陽子
オットー・ワルター(ユダヤ人の友人) =嶋田翔平
ブルーノ・コッホ(障がい者の友人) =小豆畑雅一
題名の「旗を高く掲げよ」は、ナチス(国家社会主義ドイツ労働者党)党歌名、当時はドイツの準国歌扱いだった。
物語は、ナチスドイツの時代。ユダヤ人に対する組織的暴力事件(水晶の夜)直後の1938年11月13日から、ベルリン陥落直前の1945年4月21日までのの期間。
ベルリンに暮らすミュラー家は夫妻とその娘、妻の父親の三世代4人家族。夫のハロルドは善良な教師でナチスの思想とは距離を置いている。妻のレナーテはヒトラーが政権奪取してから暮らし良くなったのでナチスに魅かれ、娘のリーザはナチスが主導するドイツ女子同盟に入り、父親のコンラートは自らの経験からナチスを嫌悪している。
1938年11月に起きた「水晶の夜」で店が壊され恐怖をおぼえたユダヤ人の知人オットーが、家族と共に米国に移住するからとハロルドに別れを告げに来る。
そんな時、幼なじみSS(ナチス親衛隊)のペーターが、ハロルドの専門知識を活かせる仕事があるとSS入隊を勧誘する。
当初は気乗りがしなかったハロルドだったが、ナチス支持者の妻レナーテに背中を押されてSSに入隊する。
実際にハロルドはSSで専門知識が活かされ、それが評価されて順調に出世してゆく。友人で教師のブルーノから専門書を借りるが、彼は左手に障害があり、ナチスが障碍者は役に立たぬからと抹殺される恐れがあるとハロルドに告げる。
しかし時代は大きく動いていた。
ヒトラーはポーランドを侵略して手にいれると、西部戦線で欧州各国を撃破し、遂にはソ連に侵攻する。
その裏で、ナチスはユダヤ人絶滅を実行に移し始める。
戦線の拡大とともに、ハロルドは専門分野から次第に政策の中枢にかかわる仕事に就くようになりナチスの歯車に組み込まれてゆく。妻のレナーテは友人のヘルガの忠告にも全く耳を貸さずナチスに傾倒してゆく。高校生になった娘のリーザはヒトラーに心酔してゆき、父親のコンラートはますますナチスへの嫌悪感を強めてゆく。
しかし、ドイツがロシアに敗れロシア軍がベルリンに迫る事態になると、一家の運命は大きく回転してゆくが・・・。
ヒトラー、ナチスという魔物が、いかに善良な市民や家庭の主婦、そして子どもたちまでもを呑み込んでゆき、その中で人々はどう動いていたかをテーマにした芝居だ。
知らず知らずのうちに加害者になっていった人々を通してナチズムの恐ろしさを描くという意欲的作品である。
特にエピローグを加えることにより、ナチスの様な魔物は見て見ぬふりをしたり、知っていながら知らなかったことにする様な私たちの中に潜んでいることを示していたのは、作品の厚みを増していた。
ナチスの教訓は、極めて今日的な課題である。
人物がやや類型的に流れていたことと、ベルリンでのミュラー夫妻の結末が安易に感じられたのは疵であるが、この作品の意義を傷つけるものではない。
公演は、8月6日まで。
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お帰りなさい。
これは見に行けそうもないです。
投稿: 佐平次 | 2017/08/01 14:08
佐平次様
ようやく再開です。
これからも宜しくお願いします。
投稿: ほめ・く | 2017/08/01 16:50