« 「旗を高く掲げよ」(2017/7/31) | トップページ | 落語は趣味じゃない »

2017/08/04

「正太郎・小辰 二人会」(2017/8/3)

「新・春に船」
日時:2017年8月3日(木)18:45
会場:内幸町ホール
<  番組  >
前座・春風亭朝太郎『一目上り』
春風亭正太郎『強情灸』
入船亭小辰『お初徳兵衛』*
~仲入り~
入船亭小辰『普段の袴』
春風亭正太郎『船徳』*
(*ネタ出し)

次代を担うであろう若手の二人会。
客の入りが悪い。
実力は十分だが、人気という点で未だこの会場を一杯にするには力が足りないということか。客の年齢層も高く、興行面では若い人をいかに惹きつけるかが課題だろう。
この会は毎回、中身は充実しているので、多くの方に足を運んでもらいたい。

前座の朝太郎『一目上り』、今秋二ツ目になるそうだ。達者だが、もっと語りにメリハリが欲しい。

正太郎『強情灸』
昼間に湯島周辺の商店街を対象に、落協恒例の謝楽祭のポスター貼りしたそうだ。喬太郎がアタマだったようだが、店に入ってゆくと「あんた、誰?」と訊かれるケースもあり、まだまだ落語を知らない人が多いんだなと。
喬太郎も、暑いのにご苦労なことだ。
このネタ、志ん生と先代小さんという大看板が得意としていたが、男が兄いの所へ来るまでの経緯が違う。志ん生の方は熱い灸をすえてきた男が自慢話をする所から始まるが、小さんの方は男が身体の具合が悪いからと自宅で灸をすえてきた所から始まる。
正太郎は、マクラの熱い湯に我慢しながら入る場面を含め、ほぼ志ん生の型だった。粋がっていた兄いが、熱さを我慢して苦悶する所が見せ場を正太郎は表情変化で見せていた。
この人は、顔の筋肉が良く動く。

小辰『お初徳兵衛』
この日、正太郎が後席で演じる『船徳』は、初代志ん生作の人情噺『お初徳兵衛浮名桟橋』を初代圓遊がパロディ化し1席にまとめたもの。
この日はオリジナルの噺とパロディ化した噺の両方が聴けるという趣向だ。
志ん生や息子の馬生が得意としていたが、小辰は雲助から伝わったのではと推察される。
先ず船頭になった徳が、まだ見習いの頃に猪牙舟で客をしくじったというエピソードを入れていた。
四万六千日の最中、油屋の九平次が得意先の天満屋とお初を連れて浅草観音にお参りをしようと徳の船で向かう。途中て天満屋が吉原で昼遊びをして夜は柳橋に繰り出そうと提案したことから、船を吉原近くにつけることになった。しかし、吉原に外の芸者を連れてゆくのはご法度。
仕方なくお初一人は柳橋へ戻ることになった。
一人船頭一人芸者は避けるのが習いだが、徳もお初も構わないということで、二人は柳橋に向かう。
途中、急な大雨になり仕方なく首尾の松の下で船をもやって雨宿りする。
船端で雨に濡れる徳を見て、お初は船中に招き入れる。
そこでお初の身の上話しが始まり、お初がまだ子供の頃に徳兵衛の長屋に住み、その頃から徳に憧れていた。
徳が柳橋で芸者と遊んでいると聞いたお初は、徳兵衛会いたさに柳橋の芸者になったこと、男嫌いで通っているのも徳兵衛に操を立ててのことだったなどが語られる。
そして、今日こそは思いを遂げてくれと徳に迫るお初(ウラヤマシイ!)。
そこで近くに落雷があり、思わずお初を抱きしめる徳兵衛・・・。
小辰の高座はしっとりとした味わいがあって、良い出来だった。お初の純でひたむきな風情も良かった。
惜しむらくは、お初にもっと色気があったらと。これはもう少し女性修業が必要なのかも。

小辰『普段の袴』
このネタ、近ごろでは一之輔がしばしば高座にかけていて、どうもその印象が強いので、小辰のような正規品を聴くと逆に新鮮に聞こえる。
真っ直ぐに語ってちゃんと笑いが取れるのが小辰の強み。
敢えて注文するとすれば、もう少し荒々しさというか若さが欲しい。あまりに納まりがが良すぎると、老成したような感じを受けるかも知れないからだ。

正太郎『船徳』
仲入りの小辰にあてつける様に思いっきり弾けた高座だった。
徳は新米のくせに、やたら恰好だけはつけたがる。竿を頭の上で振り回しながら左右交互に漕いでみたり、芸者を見つけると乙に気取ってみたり。
石垣に船をつけて客から叱られると逆ギレして居直り、反対に客を謝らせる。
とにかく傍若無人なのだ。
それでもどこか憎めないのは、正太郎自身のキャラのせいかも。
船中の二人の客の様子も上手に描いて好演。

|

« 「旗を高く掲げよ」(2017/7/31) | トップページ | 落語は趣味じゃない »

寄席・落語」カテゴリの記事

コメント

小辰、上手だけれどどうもわざわざ聴く気になりにくいのは「色気がない」ってことに気づきました。
扇辰のも作った色気ですよね。

投稿: 佐平次 | 2017/08/04 09:41

佐平次様
そうなんです、色気がないと芸に艶がでないんです。小辰は上手いんだけど、そこが物足りない。

投稿: ほめ・く | 2017/08/04 09:48

洋行帰り、お疲れ様です。(前スレはでは憚れまして)
田舎者としては、イキの良い二ツ目さんの情報に乏しくてφ(.. )メモメモ

田舎の良いところでの地方寄席

お化け寄席と銘打って、(地元)名刹での愛山・鯉昇・柳若の先生師匠(他)の方々
26日に(押掛)スタッフとして、モギリをやります
打ち上げの師匠方の話が楽しみです(諸事情により今年で終わりかも(/_;))
打ち上げで芸協さんの・・・・個人的には小柳枝師匠と落協からの移籍した不思議ちゃんの事など伺えたらと

毎度、長文と()が多く失礼しますm(_ _)m

投稿: 蚤とり侍 | 2017/08/05 19:23

蚤とり侍様
円熟のベテランの味ももちろん結構ですが、未だ粗削りながら上り坂の若手の芸も楽しみです。
自分たちで企画し運営するという落語会というのは、格別の思いがあるのでしょう。
「お化け寄席」の感想、是非お聞かせください。

投稿: ほめ・く | 2017/08/05 22:09

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 「旗を高く掲げよ」(2017/7/31) | トップページ | 落語は趣味じゃない »