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2017/08/20

#2月亭可朝独演会(2017/8/19) 

第2回「可朝のハナシ」 
日時:2017年8月19日(土)13時
会場:お江戸日本橋亭  
<   番組   >
前座・笑福亭茶光『寄合酒』
マグナム小林『ヴァイオリン漫談』
月亭可朝『鰻屋』
~仲入り~
月亭可朝&せんだみつお『対談』
笑福亭喬若『手水廻し』
月亭可朝『算段の平兵衛』

月亭可朝、桂米朝の惣領弟子にして月亭一門の総帥。いつ人間国宝になっても可笑しくないキャリアだが、絶対になりませんね。そこがいいんです。
主な経歴を紹介する。
1958年 3代目林家染丸に入門し、林家染奴。だが同年に破門。
1958年 3代目桂米朝の弟子となり、2代目桂小米朝。
1968年 初代月亭可朝を襲名。今日に至る。

せんだみつおとの対談で、最初の師匠をしくじったのは女性問題。師匠が可愛がっていた芸妓に誘われて部屋に上がって一晩過ごした。翌朝、朝食の買い物に出かけた彼女の後を歩いていたら、師匠とパッタリで、即破門。
しかし、その芸妓とは何のやましい事はなく、破門は厳しすぎるということで米朝に拾われ、弟子入りした。
せっかく弟子になったので小米朝を名乗りたいと申し出たら(「小米朝」は字画が、3,6,12と倍々になっていて縁起がいいと易者に勧められたのが理由)、米朝から弟子が自分の名をつける奴があるかと叱られた。傍にいたお上さんが、本人がこれだけ欲しがってるんだからと後押ししてくれて、望み通り小米朝に決まったという。

この他には、可朝が馬券で大当りして100万円近い金を得た。さて何に使おうかと車の中で思案していたら、仏壇屋が目にとまった。そうだ、仏壇を買おうと有り金はたいて仏壇を購入。サービスに大きな蝋燭を付けてくれた。
仏壇にお灯明をあげるのでその蝋燭を使ったが、大き過ぎて仏壇に火がまわり、そのため自宅が全焼してしまった。
可朝は病院に見舞いに行っていたら、仲間から「あんたの家が火事や」と電話があった。たまたまその日が4月1日で、てっきりエイプリルフールの冗談だと思った可朝は、「そう、いま家を燃やしてるねん」と平然としていた。

とにかく可朝はエピソードには事欠かない人で(かつて米朝が「あいつの話しを始めたら一席では足らん」と語っていた)、まるで落語の登場人物のような人生だ。

可朝『鰻屋』
マクラでいきなり政治談議。北朝鮮の金正恩が過激な言葉をはいているのは、臆病だからだ。日本へミサイルを撃ち込むなんて有り得ないと。
最初の師匠・3代目染丸直伝のネタ。
軽い噺だが、見せ場である鰻を追っていく様子を、鰻の頭に見立てた親指をにゅるにゅると突き出し、慌ててもう一方の手でそれを掴む。今度はその手から親指をにゅるにゅる出してまた反対の手で掴み・・・と、これを繰り返しながらふらふらと「鰻を追って」行く所作で会場を沸かせていた。

月亭可朝&せんだみつお『対談』
当初の予定にはなかったが、可朝のファンであるせんだが飛び入りで参加、二人の対談となった。
不倫して何が悪いと二人で盛り上がっていたが、芸能人の不倫が騒がれ出したのは、いつ頃からだろうか。不倫しようがされようが、当人たちが承知ならなんの問題もない。不承知なら関係者同士で話し合えば済むことで、周囲の人間が口出しする様な問題ではない
なんか近ごろは歪な道徳観が蔓延している。
昔の有名人たちのアブナイ話も色々と出ていた。

喬若『手水廻し』
三喬の弟子。マクラからリズムに乗り切れず、ネタに入っても今一つだった。雀々のこのネタでは腹を抱えて笑えたのだが。

可朝『算段の平兵衛』
師匠・米朝の直伝。
誤って庄屋を死なせてしまった平兵衛だが、その死を他人に押し付けながら相談に乗るふりをして謝礼をせしめ、最後は庄屋の死を事故死に見せかけ丸く収めてしまう。
通常はここで終わらせるが、可朝はさらに続ける。
近所に住む按摩・徳の市が、どこからか真相を聞きつけて、平兵衛を繰り返し脅しては金をせしめる。
いつしかこの事が役人の耳に入り、平兵衛は捕縛され厳しい取り調べを受ける。
瀕死の状態になった平兵衛の目の前に役人の袖からこぼれた銀貨が。
金に目がくらんだ平兵衛、「私がやりました」と白状する。
この終わり方は、可朝独特のものではなかろうか。
米朝の高座では、平兵衛をどこか憎めない人物に描き、陰惨なストーリーを明るく描いていた。
対する可朝の高座は端正な語りで、ドロドロとした人間の業をさらけ出す様な演じ方だった。

来年80歳を迎える可朝、まだまだ元気です。

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コメント

可朝、ちゃんと聴いたことがないです。
気をつけていましょう。

投稿: 佐平次 | 2017/08/21 10:46

佐平次様
可朝は漫談や歌手、タレント活動が中心で、事件や事故でマスコミを賑わしてきた人ですから、ちゃんとした落語を聴いた人の方が少数でしょう。
ここ10年ぐらいで大阪の寄席にも出る様になり、これからは聴くチャンスがあると思います。

投稿: ほめ・く | 2017/08/21 18:52

私にとって、幻の噺家さんの一人です。
ボインは~ のハチャメチャ芸人さんと思っていました。
噺家さんが『この人の落語は本当にスゴイ』と話していたり、吉川潮著・完本突飛な芸人伝・河出文庫のエピソードなどで、いつかは観に行きたいと。
高座ではカンカン帽は被っていましたか?

投稿: 蚤とり侍 | 2017/08/27 07:41

蚤とり侍様
可朝にとってカンカン帽は身体の一部ですので常に着用しています。
エッチなマクラに続いてネタに入ると米朝直伝の本格古典。この落差が良いんです。

投稿: ほめ・く | 2017/08/27 18:11

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