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2017/09/17

#14ワザオギ落語会(2017/9/16)

第14回「ワザオギ落語会」
日時:2017年9月16日(土)18:15
会場:国立演芸場
<  番組  >
入船亭小辰『代脈』
三遊亭兼好『浮世床(将棋、夢)』
入船亭扇辰『藁人形』
~仲入り~
笑福亭たま『ふたなり』
柳家権太楼『青菜』

14回目となる「ワザオギ落語会」、アタシの出席率は5割ていどかと思う。
会によって出演者の顔ぶれに偏りがあるのは、主催者やディレクターの好みだろう。
権太楼が2回目というのは意外な気がするし、雲助は出てないのでは。

小辰『代脈』
上り坂の芸というのは楽しいもので、時期は忘れたが以前に聴いた時から比べてぐっと面白味を増している。
小辰が描く医者の見習い・銀南だが、愚か者というよりは食い気と色気、そして好奇心に溢れた若者らしさを示していたように思う。
開口一番で一気に客席を引き込んだのも、独演会を重ねてきた精進の賜物だろう。

兼好『浮世床(将棋、夢)』
兼好で感心するのは、かなりの回数の高座を観ているが、その度にネタが異なることだ。次々と新しいネタに挑戦しているに違いない。
この演目も面白く聴かせていたが、女性に色気が感じられないのが欠点だった。例えば男に返杯する際には、相手の男の顔をじっと見て欲しい。
プログラムの解説によれば、いま怪談噺を演じてみたいとか。
楽しみですね。きっと芸域がぐっと拡がるだろう。

たま『ふたなり』
マクラの、寄席のマーケットリサーチの話しが面白かった。
初めて落語を聴いた人が2度目に来る確率は25%、つまり4人に一人だ。2度目に来た人が3度目に来る確率は90%と大きく跳ね上がる。
興味を持ったのは、犯罪の再犯率の傾向と類似していると思ったからだ。閑話休題。
「ふたなり」とは半陰陽のことで、これはマクラで解説が必要だったのでは。
ある村で深夜、男の所に若い衆が二人訪れ、村の金を10両使い込んでしまい、このままでは夜逃げするしかないと泣きつく。
男はついつい恰好つけで、10両ぐらい俺が隣村の知り合いから借りで来ると言ってしまう。
処が、隣村に行くには恐ろしい「栴檀の森」を通らねばならない。
実は大の怖がりだった男、怖がりながら森を歩いていると、いきなり若い娘から声をかけられる。
聞けば、「男と道ならぬ仲になり、お腹に子を宿してしまった。駆け落ちをすることになったが、男が自分を捨てて逃げてしまい、この上は死ぬより他ないから、遺書として書置きを書いて懐にしまっている」とのこと。
当初は死のうとする娘を止めた男だったが、娘が「親の目を盗んで十両の金を持って来ている」と聞いて気が変わる。
「ああ。そんなら死に!」「へ!」「死んだらええねん。もう、帰るとこもないねんし、さっさと死んだらええ。わいが手伝おたるさかい。」「おおきにありがとさんでございます。」
そうして男は上手いこと言って娘から10両の金をせしめる。
死ぬのをためらう娘に男は、「死に方の手本を見せたる」と言って良い枝振りの木を探し、紐をかけ、首をかけ、足元の石を蹴りと首吊りの手順を説明している間に、うっかり男は本当に自殺してしまった。
その様子を見た娘はすっかり気が変わり、男から10両の金を取り戻し、代りに遺書を男の懐に入れて消えてしまう。
帰ってこないのを心配した若い衆二人がが森に来て男の死体を見つけ村中大騒ぎ。
役人が男の遺体を検視していると、懐の遺書を見つける。
「『一度はままよ二度三度、重ねてみれば情けなや。ついにお腹に子を宿し…』な、何じゃこれは」。
驚く役人が若い衆に「こりゃ、この男ははふたなりか?」
「いいえ。宵に出たなりでございます。」)
でサゲ。
時間の関係から10分で演じる短縮版だったが、その分スピーディーな展開になり、たまの歯切れの良さも手伝って、十分に面白さは伝わった。
新作の多いたまだが、アタシはこの人の語る新感覚の古典を高く評価している。
若手では、東の一之輔、西のたまである。

権太楼と扇辰はいずれも得意ネタだから、感想はいいでしょう。

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コメント

なかなかのメンバー、楽しかったのもむべなるかな。

佐平次様
若手、中堅、ベテランがバランスよく配置された会で、中身も充実してました。
出来れば権太楼の『青菜』以外のネタが聴きたかったのですが。

ふたなりは先代円遊師のをおはよう名人会で観ました。男子か女子か?いいや猟師だ・・でオチ。(TBSさん、また放送してくれんかなぁ)
権太楼師は、同時期に同じネタを演じる事が多々あるような。佃祭を掛けた時に、『また佃かとお思いでしょうが、いいの好きでやってんだから』というマクラを覚えています。
風雨強うして、睡眠成り難し。

蚤とり侍様
『ふたなり』、圓遊の音源がありましたか。上方ネタで、東京ではかつては志ん生の独壇場と思ってました。
権太楼は同じネタを続けることがありますね。また『代書屋』かよ、なんてね。

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