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2017/09/03

ザ・柳家権太楼(2017/9/2)

大手町独演会ザ・柳家権太楼 其の四「徹頭徹尾 権太楼噺」
日時:2017年9月2日(土)13:00
会場:よみうり大手町ホール
<  番組  >
『挨拶』柳家権太楼
前座・柳家小多け『手紙無筆』
柳家さん光『新聞記事』
柳家権太楼『居残り佐平次』
~仲入り~
柳家権太楼『幽霊の辻』
柳家権太楼『藪入り』
(権太楼の3席はネタ出し)
この「ザ・000」シリーズは、通常一人で4席演じるのが、冒頭の挨拶で権太楼は今日は3席にすると宣言。理由は、顧客から疲れるという感想があったとのこと。だから今日は前座と二ツ目を前方にして1席、仲入り後に続けて2席という構成にすると。
プログラムには4席目として『楽屋噺あれこれ』とあったが、カットされていた。

権太楼の1,2席目の『居残り佐平次』と『幽霊の辻』、これはもう解説不要でしょう。
私見ではこれに『代書屋』を加えた3席が最も権太楼らしさ、言い換えれば権太楼の良さが出ている演目だと思う。
『幽霊の辻』での茶店の婆さん、『代書屋』での履歴書を依頼する男、いずれも権太楼にしか出来ない人物像だ。
『居残り』における佐平次でも、小遣い欲しさに部屋を回って芸をするのではなく、人を楽しませたくて演っている風に描いている。だから貰った祝儀はみな下働きの女中や飯炊きに分けている。こういう所がいかにも権太楼らしい。

権太楼『藪入り』
主催者からは『鼠穴』というリクエストがあったが、途中まで稽古してあのネタに出てくる兄がどうしても嫌で、やめることにしたと。確かにあの噺は陰惨で、あたしも好きじゃない。後から夢だと分かるのだが、後味が悪い。
そこで3代目三遊亭金馬の極め付けであり、その後もこれを超える人が出ないという『藪入り』に挑戦することにした。
ということは、今回がネタ下ろしなのかも知れない。

全体的な感想を言うと、演者の気負いが先に立って、空回りしていたという印象だった。
先ずマクラで、藪入りという制度について説明があったのは良いが、やはりこのネタでは鼠の懸賞についての解説は欠かせない。鼠は食料を食い漁るのみならず、伝染病の媒体となる。だから当局は懸賞金まで付けて鼠退治を奨励していて、商家では専ら小僧の仕事だった。同時に給金の貰えない小僧たちにとって、懸賞金は励みになっていたに違いない。
この辺りの背景の説明は欠かせなかったのではなかろうか。

最初に亀を奉公に出す際の両親の辛い思いを描く場面を加えていたが、これは蛇足。後半の描写だけで十分だ。
後半では、亀の財布にあった15円の出どころが分かった後の場面が冗長でダレてしまった。
それと両親が泣きすぎる。あれでは見てるこっちが白けてしまう。
今後の再演では、もっと磨きをかけた高座を期待したい。

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コメント

私も「鼠穴」は聴きたくないなあ。
権太楼の生成過程を見るのも一興でしたね。

佐平次様
3席目は人情噺を試みたかったようで、それで『藪入り』を選んだのだと思います。
権太楼としては、単に息子が久々に帰ってきて喜ぶ両親の物語だけではなく、もっと深い所を表現したかったのでしょうが、ちょっと上滑りした様です。

私もこの会に行っておりました。 
トリの藪入りですが、この会のために鈴本の3日目にかけていたのかと思いました。
私も鼠の懸賞の話が出なかったのとサゲが鼠に絡んだものではなかったので何だか違和感が残りました。

ぱたぱた様
鈴本の8月興行で演じていましたか。
『藪入り』について、帰りに前を歩いていた若いカップルが「鼠になぜ懸賞がつくのか分からなかったね」と話していて、やっぱりそうかと思いました。
サゲもいま一つピンときませんでした。

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