Oh! 懐かしの浅草オペラ
「田谷力三物語」(2017/9/20)
日時:2017年9月20日(水)19時
会場:浅草・花やしき座
台本・作曲家:清島(佐々)利典
音楽監督・アレンジ:榊原徹
< キャスト >
田谷力三:杉潤一郎 テノール
ローシー 口上:中村憲司 バリトン
戸山英二郎(藤原義江):安保克則 テノール
小林愛雄、杉寛、木佐野 :上田誠司 バリトン
堀田金星、熊公:李昇哲 バリトン
安藤文子、おてく:佐藤智恵 ソプラノ
天野喜久代、登志子、八重吉:二宮望美 ソプラノ
木村時子、おかん:栗田真帆 アルト
ヴァイオリニスト:横山久梨子
電子ピアノ 内海清佳
テアトルアカデミー・Musica Celeste合唱団 ダンサー・合唱・アンサンブル
幕前解説:小針侑起
休憩トークショー:笹山敬輔
【演奏曲目】
〇浅草オペラ「カッフェーの夜」全編(コロッケの歌、おてくさんの歌、飲ん兵衛の歌、喧嘩の歌)
〇浅草オペラ人気曲より 大勝利の歌、ブン大将の歌、波をけり、お寺の壁に、リバプリック賛歌
〇オペレッタより ホフマン物語より舟歌、
ボッカチオよりベアトリ姐ちゃん、恋はやさし野辺の花よ、優しい手紙
〇歌劇 カルメンより序曲、闘牛士の歌、ハバネラ
リゴレットより女心の歌、椿姫よりアリア一部
浅草オペラが花開いたのは大正7年で、大正12年の関東大震災でその幕を閉じる。5年間という短い期間だったにもかかわらず、そしてその舞台を観たという人は皆無かと思われるが、未だにある種の郷愁を感じるのは何故だろう。
私自身も、この舞台で歌われた曲の歌詞のいくつかは朧気ながら諳んじているのだ。
その浅草オペラが生んだダイスター、田谷力三の活躍を中心に、当時の浅草オペラの隆盛と衰退を短いエピソードでつないだ作品だ。
開演前と休憩時に、浅草オペラに関する解説やトリビアの紹介があったが、当時の熱狂的ファン(男性)はお目当ての女優の舞台に通いつめ、入り待ち、出待ちをしていた。
また女優の人気投票もあって、雑誌のハガキを投票用紙にしていたため、ファンの女優が上位に選ばれるように雑誌を100冊も買い占める男もいたとか。
そうか、AKB総選挙はそのパクリだったのか。
観客にとっての楽しみは何と言っても劇中で、あるいは第2部のガラコンサートで歌われる曲の数々だ。
当時の日本語の歌詞のつけ方のセンスに驚く。
例えば、「ベアトリーチェ」は「ベアトリ姐ちゃん」になる。
♪歌はトチチリチン トチチリチンツン
なんて粋な歌詞ではないか。
♪恋はやさし、野辺の花よ 明日の日のもとに 尽きぬ花よ
ロマンチックですね。
(以上「ボッカッチョ」より)
♪風の中の羽のように いつも変わる女心
(以上「リゴレット」より「女心の歌」)
♪恋は気ままなもの 誰の言うことも聞かぬ
(以上「カルメン」より「ハバネラ」)
こうした歌詞は、一度は耳にしたことがあるだろう。
舞台で繰り広げられる歌と踊りに、満員の観客席からは拍手、手拍子、掛け声がかかり、時には合唱になり、ご当地浅草の大正の時代を蘇えられさせていた。
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観客の嬉しそうな様子が想像できます。
投稿: 佐平次 | 2017/09/23 10:11
佐平次様
オペラというより大衆演劇のノリでした。当時の浅草もきっとこうだったんでしょう。
投稿: ほめ・く | 2017/09/23 18:47