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2017/10/21

雲助『夜鷹そば屋』ほか国立10月中席(2017/10/20)

国立演芸場10月中席・楽日
<  番組  >
柳家花飛『出来心』
三遊亭天どん『ハーブをやっているだろ!』
ストレート松浦『ジャグリング』
蜃気楼龍玉『ぞろぞろ』
蝶花楼馬楽『鮑のし』(踊り『深川』)
─仲入り─
笑組『漫才』
金原亭世之介『星野屋』
ぺぺ桜井『ギター漫談』
五街道雲助『夜鷹そば屋』

この日も雨模様の鬱陶しい天気だったが、国立演芸場10月中席の千穐楽は入りが7分ほど。国立の平日にしてはよくお客が入っていた。
遅れて、二ツ目の高座から、感想をいくつか。

花飛『出来心』、これで「かっとび」と読む。
名前と違って堅実な高座だった。

天どん『ハーブをやっているだろ!』、新作で、池袋演芸場の客席にいた警官二人に噺家が呼び止められ、しつこく「ハーブをやっているだろ」と訊かれるというストーリー。
自虐ギャグや楽屋落ちで笑わせていたが、アタシにはあまり面白いとは思えなかった。

ストレート松浦『ジャグリング』、この日一番受けていたのはこの人。初めての客も多かったようで、妙技に感心していた。

龍玉『ぞろぞろ』、相変わらずの丁寧な高座は好感が持てる。ネタもこの人のニンだった。
龍玉の欠点は、軽い噺でもこの人が演じると重く感じてしまうことで、ここを克服しないと師匠には近づけないだろう。

馬楽『鮑のし』、志ん生流より先代柳朝に近い演じ方だった。愛すべき甚兵衛さん(与太郎に近かったが)の姿が描かれていた。
楽日ということで、『深川』の踊りのおまけつき。

笑組『漫才』、久々だったが、以前に比べテンポが良くなった印象だ。ネタにもよるだろうが、今回は面白かった。

世之介『星野屋』、若い頃から売れていて、器用な人だ。ただ、ずーっと見て来て思うのは、噺家としての立ち位置だ。どこを目指しているのかが分からない。

ぺぺ桜井『ギター漫談』、80歳を超えてますます元気、そして粋。

雲助『夜鷹そば屋』
有崎勉(柳家金語楼)作で5代目古今亭今輔が得意としていた「ラーメン屋」を、雲助は舞台を江戸時代に置き換えたもの。

あらすじは。
仲の良い老夫婦が営む夜鷹そば屋、ただ子供がいないのが二人にとって寂しい。
深夜、店じまいしようとしている矢先に、一人の若い男がソバを食べていくが、金も今夜泊まる場所もないし、このまま番屋に突き出してくれと老夫婦に頼む。
身の上を聞けば、5歳の時に両親と死に別れ苦労続きの人生を送り、時には悪いことにも手を出してきたという。
三人は連れ立って歩き始めるが、老夫婦がフラフラしながら荷を担いでいるのを見かねて若い男が代わり、夫婦の自宅まで届ける。
男を家に上げた老夫婦は酒肴をふるまい、やがて老夫が男に一朱払い自分のことを「ちゃん」と呼んでくれと頼む。男が請われるままに「ちゃん」と呼ぶと、今度は老婦の方が同じように「おっかあ」と呼ぶように頼むと、男はこれに応える。
そんな親子ごっこを繰り返しているうちに、子どもが欲しい老夫婦と、父母が恋しい男の感情が一体となり、男はこの夫婦の息子として、店を継ぐ決意をする。

アタシはオリジナルの『ラーメン屋』という噺が嫌いで、今輔のCDも一度聴いただけで放置していて、現役の人たちのナマの高座を聴いても好きになれなかった。ストーリがベタ過ぎるのだ。
しかし、これが『夜鷹そば屋』になると俄然引き込まれる。しみじみとした人情噺としてじっくり味わえた。
この噺は江戸を舞台とした方が自然だと思った。
それと高座を見ていて、どこか既視感もあったのだ。

そこで調べてみたら、元々有崎勉が小山内薫作の『息子』という戯曲を落語化しようとして、この作品を思いついたことが分かった。
その『息子』のあらすじは。
ある雪の夜 お尋ね者の若い男が江戸の入り口にある老人がいる番小屋に立ち寄る。 二人が語り合っているうちに、男は老人が実の父親であることに気づくが、老人は分かれた息子が立派に出世していると信じているため、目の前にいる無頼の徒が息子だとは夢にも思わない。
男は最後まで息子であることを明かさず、捕吏に捕まる直前に逃げて行くが、その去り際に「ちゃん」とつぶやく。
筋は異なるが、全体の印象が『息子』と似ていたのは、この為だったのか。

周囲には涙を流しているお客も多かった。
雲助の芸の深さである。

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コメント

先週の金曜日(13日)は、国立か鈴本かとで悩みましたが、結局は鈴本へ。広小路亭はトリが代演との情報があり最初からパス。

国立にすれば良かったかな。

雲助師は2時過ぎ程で、粗忽の釘を軽く。
トリの金時師の死神は良かったです。
呪文をアジャラカモクレン希望の党テケレッツノパ。・・・・暗示している様な(笑)

蚤とり侍様
この日も鈴本か国立か迷いましたが、雨模様だったので傘立てのある国立にしました。それに入場料がシニアだと1300円で安い!
雲助の『夜鷹そば屋』は一度聴いてみたかったので、グッドタイミングでした。

今輔は芸風がベタですね。
あたしもあまり好まない。
昨日の国立名人会もよかったですよ。

佐平次様
国立名人会はチケットを取り損なっていました。貴兄のサイトで楽しませて貰います。

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