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2017/10/01

#411国立名人会(2017/9/30)

第411回 国立名人会
日時:2017年9月30日(土)13時
会場:国立演芸場
<  番組  >
前座・林家彦星『元犬』 
三遊亭兼好『だくだく』        
春風亭勢朝『荒茶』        
伊藤夢葉『奇術』        
入船亭扇遊『妾馬』        
      ―  仲入り  ― 
林家正雀『真景累ヶ淵「水門前の場」』                    
 
兼好『だくだく』                    
不出来な前座で白けた客席を一気に温める。
マクラで最近の政局に触れ、選挙で投票した党がいきなり解散っておかしいと言ってたが、正論。「小池にはまって さあ大変」は流行ってるのかな。
男の引っ越し先は絵の上手い人の隣ではなく、間もなく取り壊しが決まってる長屋という設定。室内の壁に白い紙を貼るのを省いていたが、これは必要だろう。
泥棒が風呂敷を背負って逃げるつもりからはリズミカルに畳み込んでいて、サゲは少し変えていた。
兼好でいつも感じるのは、毎回楽しい高座だが、何かが足りないのだ。
巧みだと思わせるのだが、今一つ満足感がない。

勢朝『荒茶』        
元は講談の『関ケ原軍記』の中の『荒茶の湯』を落語にしたもの。筋は『本膳』に似ていて、『茶の湯』にも似た場面が出てくる。
地噺に近いので、ストーリーの間にクスグリやエピソードを挟んで語られる。勢朝らしい軽い運びで楽しませていた。

扇遊『妾馬』        
八五郎が大家から紋付袴を借りで、いったん家に戻りその姿を母親に見せてから大名屋敷に向かう。ここは後半の伏線になっており、とにかくこの八五郎は母親思い、妹思いの優しい男なのだ。
前半は端折って、後半の八五郎は酔って周囲の奥女中たちに妹をくれぐれも宜しくと頼んだり、妹のお鶴にはいい気にならず周りから可愛がって貰えと忠告したりと、気遣いを見せる。仕舞にはお鶴に対して孫の顔を柱の影でもいいから一目見せてあげてくれと涙を流しながら頼みこむ。
こういう優しい兄だから、お鶴も殿様との面会をねだったんだな得心。
扇遊の人柄が現れていた様な高座だった。

正雀『真景累ヶ淵「水門前の場」』 
ご存知三遊亭圓朝作の怪談噺で、明治から大正にかけて活躍した三遊一朝から8代目正蔵へ、そして弟子の正雀へと伝わる道具立ての芝居噺として演じられる。
マクラでこの噺が生まれた経緯が語られた。
圓朝が芝居噺の得意な2代目圓生から教わったネタを高座に掛けようとすると、その前に上がった圓生が先にそのネタを演じてしまう。やむを得ず圓朝は自分で噺を作り演じるようにしたところ、これが大当たりで人気を博した。その後圓朝は、病に倒れた圓生を自宅に引き取り終生面倒を見たとのこと。                 
三遊一朝から稽古をつけて貰った8代目正蔵と5代目今輔は、晩年の独居していた一朝を自宅に引き取り、半年交代で面倒を見ることにした。
処が一朝は正蔵の家から出るのを億劫がり、亡くなるまで正蔵宅にいた。約束が違うと怒った今輔は、8年間正蔵と絶交してしまった。
ある時、今輔がラジオで正蔵の正直さを褒めたところ、それを聴いていた正蔵が今輔に電話して仲直りしたという。
その昔の、ちょっといい話。
『真景累ヶ淵』は長編で、七人までの妻を呪い殺すと新吉を恨んだ豊志賀の死から、果てることなく続く血族同士の殺し合いの物語。
最も頻繁に演じられるのは『豊志賀の死』で、この日の高座も先ず『豊志賀の死』の粗筋が語られた。
豊志賀の墓参で出会った新吉とお久,その場で二人はお久の実家の下総羽生村へ駆け落ちする決心をする。
江戸を出発するのが遅れ、とっぷりと日が暮れた鬼怒川を渡ると,そこは累ヶ淵。
お久が,土手の草むらにあった鎌で足を怪我して動けなくなる。新吉が介抱しながらお久を見ると、それが豊志賀の顔。
新吉,思わず鎌を振い、お久を惨殺してしまう。
それを目撃した土手の甚蔵と新吉が格闘となるが.落雷の隙をついて新吉は逃げてゆく。
通称は『お久殺し』。
最後の場面で道具立てになり、正雀は芝居の役者のようなセリフ回しと仕草を見せる。
十八番とはいえ、正雀の高座は息も付かせぬ迫真の高座で観客を引き込んでいった。
是非、今後も芝居噺の伝統を絶やさすよう、後継者を育てて欲しい。

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コメント

「荒茶」は当代柳朝で聴いたことがあります。
勢朝のことですから、世相などもクスグリに取り込んで楽しい一席だったと想像します。

福様
世相の噂は前方の兼好がたっぷり語ったので、勢朝は専ら小噺でつないでいました。
このネタは勢朝、当代の柳朝、当代の三平がよく高座にかけています。

え、三平ってかつての一平ですか。
賢いヒトなんだから親父のマネは控えめにした方がいいと思いますが、実際は兄と同じく古典に意欲的なんですね。

福様
はい、『荒茶』は当代三平の得意ネタです。
本当は「笑点」なんかに出ずに、もっと古典を磨いて欲しい所ですが。

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