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2017/11/22

鈴本演芸場11月下席・夜(2017/11/21)

鈴本演芸場11月下席夜の部・初日

前座・春風亭きいち『たらちね』
<  番組  > 
春風亭一蔵『出来心』
ストレート松浦『ジャグリング』
桂藤兵衛『半分垢』
入船亭扇辰『紋三郎稲荷』
柳家小菊『粋曲』
隅田川馬石『鮑のし』
春風亭一朝『三方一両損』
─仲入り─
林家正楽『紙切り』
三遊亭天どん『ドライブスルー』
青空一風・千風『漫才』
春風亭一之輔『味噌蔵』

鈴本の11月下席夜の部は一之輔の芝居で、その初日に出向く。
平日にも拘わらず入りが良いのは、やはり一之輔目当てのお客が多いせいか。

一蔵『出来心』
近ごろ、イケメンとか言われるハンサムな落語家が人気らしい。女性ファンが集まるのだそうだ。しかし、落語家にとって二枚目過ぎるの顔っていうのいは、却って障害になることもある。それより親しみやすくって愛嬌のあるルックスの方が落語家に適している。
それに、いずれ年取れば皆同じさ。

ストレート松浦『ジャグリング』
落語と違ってこうした芸能は体調管理が大変だろう。

藤兵衛『半分垢』
タイムリーな相撲ネタ。例の暴力事件に触れなかったのはいかにもこの人らしい。
「遜るも自慢の内」がテーマで、近ごろでは珍しいネタに入る。
電車の中で3人とも東大卒の男たちが会話していた。同じ東大でも学部によって差があるようだ。「00さんは、●●(学部の名前)でしょう。私なんか、とてもとても・・・」なんてお互い謙遜していて。引っ叩いてやろうかと思いましたよ。

扇辰『紋三郎稲荷』
十八番のネタ。この程度の長さのネタだと、鈴本の持ち時間内で演じることができる。そこが魅力。
これに対して出演者の多い寄席っていうのは、世話しなくっていけない。

小菊『粋曲』
♡♡♡

馬石『鮑のし』
噺家の高座への上がり方も様々で、客席を見ずに真っ直ぐ前を向いて出る人。下を向いて出て来る人。客席をチラ見してから前を向く人。客席に一礼する人など。馬石は客席を見ながら出てくる。
何だか掴みどこのないフワフワした不思議な芸だが、これが何だか可笑しい。セリフとセリフの間も普通と違っていて、これが効果的なのだ。
人情噺となると一転して締めてくるのだから、大した技量だ。

一朝『三方一両損』
解説不要の十八番。

正楽『紙切り』
「モンゴル会」の注文で、日馬富士の土俵入りの傍にビール瓶を切っていた。「ピアノ発表会」にはだいぶ苦労していたようで、身体の動きが止まっていた。

天どん『ドライブスルー』
この日の顔づけでは異色。「私は一体何を求められているんだろう?」に場内は爆笑。
アタシには肌が合わないのか、この人の新作には面白味を感じない。
マクラの諧謔性が、作品に生かされていないように思えるのだ。

一風・千風『漫才』
高座から下がる時に、後方の席から「あれで終わり?」の声が飛んでいた。
「千・万コンビ」以来の東京の伝統的な漫才スタイルには好感が持てるが、もうちょっとネタを練ってきて欲しい。

一之輔『味噌蔵』
この人の凄いところは、かなりのスピードで数多くのネタを吸収し、自分のものとして演じていることだ。これは並の人間には到底真似出来ない、正に鬼才と言われる由縁である。
一口に古典落語といっても幅広く得手不得手があるものだが、一之輔にはそうした点が見られない。多少の出来不出来はあるものの、全てこなしてしまう。
このネタは話の運びから小三治の型をベースにしていると思われるが、主人の吝嗇ぶりと、番頭の面従腹背ぶりがより強調されていた。
傑作なのは、ご馳走を前にした宴会で奉公人の一人が「ラ・マルセイエーズ」を唄うという設定だ。フランス国歌だが、元はフランス革命の歌だ。唄った当人はマルセイユの生まれという。
こんな発想は誰もが思いつくものではない。
この日も大受けの内に終演。

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寄席・落語」カテゴリの記事

コメント

浅草もたまにはいいなあと思った昨日、この記事を読むと鈴本に行きたくなりました。

投稿: 佐平次 | 2017/11/23 09:50

佐平次様
仲入りには8分程度の入りになり、お客は正直です。

投稿: ほめ・く | 2017/11/23 18:09

『味噌蔵』は圓生が得意としていたと聞いたことがあります。
数年前、この噺は教科書のような(←褒めています)扇治の高座を聴きましたが、
一之輔は、登場人物の特徴をデフォルメしたり、彼なりの造型で演じたりして、そのへんの柔軟性が人気の秘密なんだろうなと思います。
蔵といえば、一蔵です、我ながらなんと強引な。きいち(一之輔の弟子だってェ)は今風ですが、一蔵はごつい風貌、でも、声に張りがあって、実によいと思います。

投稿: 福 | 2017/11/23 18:15

福様
『味噌蔵』ですが、かつては3代目三木助と8代目可楽の独壇場でした。
現役の人たちは三木助の型で演じることが多いようです。小三治もそうですし、一之輔もこの流れでした。
私は可楽の方が好みですが、扇治はどうだったんでしょうか。

投稿: ほめ・く | 2017/11/24 09:36

マルセイエーズは仏語or和訳でしたか?
訳詞を初めて見た時は、凄い国歌だなと思いましたが。
主人が『ラインの守り』を歌いながら帰宅したりして・・・カサブランカの逆ですな

鯉昇師の味噌蔵も良かったですヨ。

投稿: 蚤とり侍 | 2017/11/24 19:44

「あとは番頭さんが算盤をどがじゃかどがじゃか」
なぜだか、ここが記憶に残っています。
扇治の場合、落ち着いた語り口で噺の中身がよく伝わる一席でした。登場人物もあっさりとした個性化が施されていて・・・
誰の型かは浅学ゆえ不明です。

投稿: 福 | 2017/11/25 07:06

蚤とり侍様
実際に歌う場面はなく、主人が外から店の中を覗き「なに、暴虐の王を倒せ!・・・われらに自由を!、だと。あれはマルセイエーズの歌じゃないか」というセリフになっています。
歌った本人の「この姿をマルセイユの母親が見たら・・・」というセリフも続きます。

投稿: ほめ・く | 2017/11/25 09:49

福様
三木助の場合は、主人が嫌々ながら結婚し、寒い晩に妻の布布団に入り、子どもが出来てしまう場面があるのと、奉公人たちが主に鯛を見せるときっと目を回すと噂する場面が特長です。
可楽は、実家から男の子が生まれたとの連絡があった所から始まり、奉公人たちの宴会で鳴り物を入れて演じていました。
「番頭が、帳面をドガチャガドガチャガ」は共通です。

投稿: ほめ・く | 2017/11/25 10:01

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