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2017/11/27

国立名人会(2017/11/26)

第413回「国立名人会」
日時:2017年11月26日(日)13時
会場:国立演芸場
<  番組  >
前座・立川談州『子ほめ』
柳家小せん『紋三郎稲荷』
立川生志『反対俥』
柳家小里ん『一人酒盛』
     -仲入り-
三遊亭笑遊『愛宕山』
ボンボンブラザース『曲芸』
笑福亭鶴光『竹の水仙』

11月の国立名人会だが、数日前に急に行こうと思い立ち空席を調べたらけっこう良い席が一つ空いていたので予約。きっとキャンセル分だったんだろう。こういう事もあるのだ。

談州『子ほめ』
これでダンスと読むそうだ。
権太楼がかつて「受けようとする前座なんて、立川流に任せます」と言ってたが、立川の若手っていうのは何か一ひねりして自分の才能を披歴することに拘っているのではと思ってしまう。
談志だって、若い頃は真っ直ぐに演じていた。

小せん『紋三郎稲荷』
扇辰が十八番としているネタで、ストーリーは同様。違いは稲荷に間違えられた侍が宿に向く途中で食事処に立ち寄り、稲荷ずしを食べる場面を加えていたこお。駕籠屋により稲荷であることを印象付けるのと、宿で夕食に稲荷ずしを勧められた時に、先ほど食べたばかりだからと言って別のメニューを注文する所で活かされていた。
小せんの落ち着いた語りはネタに合っている。

生志『反対俥』
生志もマクラで触れていたが、今回の大相撲騒動っていうのは、どこがそれほどの大問題なのか理解できない。
まだ幼い頃にアタシの母親が「相撲の兄弟子っていう字は、無理ヘンにげんこつって書くんだ」と言っていたが、昔からそういう世界なのだ。
相撲には技として張り手が認められており、時には張り手一発で相手を倒すこともある。恐らく暴力に対する垣根は、我々の世界とは比べ物にならないくらい低いと想像する。
今回たまたま表沙汰になったが、類似の出来頃は日常茶飯事なのだろう。要は、どうでもいい話なのだ。
だいたい、大相撲を純粋なスポーツと見る方がおかしい。
生志は得意ネタでクスグリを詰め込み客席を沸かしていた。

小里ん『一人酒盛』
佇まいから語り口まで、ますます師匠の先代小さんに似てきた。
この噺は難しいと思う。全体の8割は酒を飲む男の一人芝居だが、そこに出て来ない相手の姿も表現しなくてはならない。演者に力量が要るネタだ。
良い酒だから一緒に飲もうと誘う男は、決して悪気は無いのだ。ただ相手の事を全く頭に入れていない。自分の事しか関心がない、そういう人物だ。
私たちの周囲にも大勢いる。
満員電車でスマホを操作するヤツ、混雑している中を辺り構わずキャリーバッグを引いているヤツ、みな同類だ。私たちの周囲に「いるいる」人間を切り取って見せる所に、このネタの面白さがある。
ひたすら自分勝手な男を、小里んはどっしりとした風格のある高座で演じて見せた。

笑遊『愛宕山』
久々だ。
年配に見えたが、アタシより7つも年下だ。まだ若い若い。
幇間の一八が息を切らしながら愛宕山を登るシーンや、谷底から竹を使って飛んで戻るシーンを見せ場にしていた。
ただ、一八が芸者衆が腰を振りながら山を登る姿を見て鼻血を出すというギャグは頂けない。
あと、土器(かわらけ)投げの場面で、土器を的に当てるとしていたが、ここは通常通りに的に通すとした方が自然なのでは。

ボンボンブラザース『曲芸』
後から鶴光が、曲芸では日本一と言っていたが、その通り。
そろそろ後進の育成が必要になるかと。

鶴光『竹の水仙』
東京でもお馴染みだが、上方落ごは宿は大津。おそらく甚五郎が京から江戸へ向かう途中だったのか。
竹を買う大名は、細川越中守で参勤交代の途中という。
竹の水仙の値は、当初は2百両だったが、使いの侍が無礼を働いたので3百両になる。
サゲは、甚五郎が去ったあとの宿の夫妻が「人は見かけによらないものだ」として、「この前のお坊さんも、もしかしたら弘法大師かもしれない」。
鶴光らしくギャグを多く入れた、楽しい『竹の水仙』だった。

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寄席・落語」カテゴリの記事

コメント

この中で、私が最も「聴きたかったなぁ」と思うのが、小里んです。
いいですよね、あの高座から醸し出される空気。本当に師匠に似てきました。
しばらく聴いていないなぁ。
拝読していて、寄席に行きなくなりました。

投稿: 小言幸兵衛 | 2017/11/27 19:45

小言幸兵衛様
この日のベストは小里んの高座でした。
世間話しながら機嫌よく酒を飲む男の向こうに、イライラを募らせながら我慢する男の姿が目に見えました。
小里ん、最近は風格さえ漂ってきました。

投稿: ほめ・く | 2017/11/28 04:57

立川流前座のウケ志向、寄席に出番なきゆえでしょうか。それとも、一門の売れている師匠が皆、個性化を基盤としているからでしょうか?
生志は一時期「花田○○です」とお兄ちゃんとの類似をネタにしていました。
大相撲の本質はご説の通りで社会と基準が違うんですが、何かが背景にある(権力闘争のごときもの?)ような気がしてなりません。

投稿: 福 | 2017/11/28 06:59

福様
以前に志らくが生志を評して、実力はあるが立川流とはちょっと違うと言ってました。話芸より器用さを求める様な、一門の中にそうした空気があるのでしょう。
大相撲の今回の騒動も連日マスコミが取り上げてくれているわけで、業界としては喜んでいるのかも知れません。まあ、半分はショウみたいなもんですから。

投稿: ほめ・く | 2017/11/28 09:27

立川流に限らず余計なクスグリをいう前座が目につきます。
師匠が悪いのでしょう、客も。

投稿: 佐平次 | 2017/11/28 09:31

佐平次様
権太楼が、前座時代は噺家としてのしゃべりを身につけることが大事だと言ってましたが、その通りだと思います。
そこを怠ると、いつまでも一人前の噺家になれないし、現にそうした落語家もいますしね。

投稿: ほめ・く | 2017/11/28 11:59

小里ん師
先代(強調)の小さん師のような、盛り蕎麦から蕎麦湯まで堪能するような江戸前の芸は良いですネ
例えがヘタですみません m(_ _)m


ボンボン先生のヒザでトリを取るのが夢のひとつでした・・・・・・某真打の独り言

投稿: 蚤とり侍 | 2017/11/28 20:25

蚤とり侍様
古い録音ですが、あの談志が小里んの高座を褒めていて、これで小さん(先代)もいつ死んでも安心だと悪態をついていました。
私が小里んに注目し出したのは数年前からですが、魅かれるものがあります。

投稿: ほめ・く | 2017/11/28 21:17

勤め先の所長の友人の子供(学習院出・・所謂親不孝)が小里ん師の弟子で来春に二つ目に昇進すると言うどうでも良い話ですが

師匠選びも芸の内・・・ガンバレ小多け

投稿: 蚤とり侍 | 2017/11/29 16:26

蚤とり侍様
小多け、いいですよ。期待が持てる若手です。
学習院出といえば、故喜多八、文菊と上手い人を輩出していますので、後に続いて欲しいです。

投稿: ほめ・く | 2017/11/30 04:49

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