人形町らくだ亭(2017/11/29)
第75回「人形町らくだ亭」
日時:2017年11月29日(水)18時50分
会場:日本橋劇場
< 番組 >
前座・金原亭小駒『たらちね』
金原亭馬治『壺算』
柳家小満ん『御用』
蜃気楼龍玉『首提灯』
~仲入り~
五街道雲助『品川心中』
(全てネタ出し)
国会の委員会中継をTVで見たが、与党議員たちの八百長質問にウンザリ。
そりゃそうだろう。与党で決めた事を政府案として国会に提出してるんだから。
何のことはない、自分たちで作った法案に自分たちで質問してるんだから、世話はない。
今回の顔づけは、小満んを除けばみな先代馬生の弟子あるいは孫弟子となった。
馬治『壺算』
このネタに出て来る兄いは、買い物上手ではなく、ペテン師なのだ。ペテン師は相手の錯覚を利用して金を誤魔化すのが手口だ。相手に熟考させる暇を与えず、自分の主張だけをひたすら繰り返す。
だから演者に求められるのは、兄いのセリフをポンポンとテンポの良く語ることにある。
馬治の高座ではそこが足りないと思った。
あれでは相手の店員に気付かれてしまうだろう。
小満ん『御用』
初めて聴くネタだ。
調べてみると、前の師匠だった先代文楽から教わった噺を、小満んが改作したもののようだ。
今では「お酉様」というのをあまり聞けなくなったが、以前はこの言葉を聞くと年末になったなと思ったものだ。
それに因んだネタということで、いかにも小満んらしいチョイス。
ある男、一の酉の日のお参りに行った帰り、50両の小判の入った財布を拾う。
男は有頂天になり飲み打つ買うの道楽三昧で、気が付けば無一文。
家に帰ると、酒屋の御用聞きに「この辺りで偽金が出回っている」と聞かされ、大変な事態に陥った事を知る。
やがて岡っ引きが「御用!」と言って男の家に踏み込むが、その声を聞いた男の女房が、「酒屋の小僧さんかい?」でサゲ。
御用聞きの御用と、捕り手の御用を掛けたもの。
逆『芝浜』だが、こちらの方が落語らしい。
小満んの高座は、文字通り自家薬籠中の洒落た語りで魅せていた。
龍玉『首提灯』
ネタ下ろしだそうだ。
面長の顔と語りの確かさで、初演とは思えぬ完成度だった。
ただ、好みとしては江戸っ子をもうちょっと明るく描いて欲しい。
雲助『品川心中』
志ん生、先代馬生と受け継がれた雲助の鉄板ネタ。
何度聴いても面白いのは、雲助のテンポの良い語りと、人物描写の確かさだ。
特に女郎のお染と、貸し本屋の金蔵との会話が秀逸。
何を演らしても上手かった圓生もこのネタは合わなかったし、意外に志ん朝も良くなかった。
それだけ難しい噺なんだろう。
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