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2017/12/12

「断罪」(2017/12/11)

劇団青年座 第230回公演「断罪」
日時:2017年12月11日(月)14時
会場:青年座劇場
 
作=中津留章仁
演出=伊藤大
<  キャスト  >
蓮見亮介 =大家仁志
岸本亜弓 =安藤瞳
山浦順子 =津田真澄
大久保充 =逢笠恵祐
西島至 =前田聖太
千田茜 =田上唯
蓮見彩 =當銀祥恵
玉城恵令奈 =市橋恵
荒木悟 =石母田史朗
佐久間猛 =山本龍二

ストーリー。
舞台は、ある芸能事務所のオフィス。いわゆる大手ではなく中小の芸能事務所だ。元は俳優部が主体だったが、今ではモデル部が稼ぎ頭になり、その部長である荒木が社の常務になり社内を取り仕切っている。
この事務所に所属する大物俳優が生放送で政府を批判する発言を行い、TVのレギュラーやCMを降ろされ、事務所を去った。そのため俳優部は大減収となり、荒木は部長の佐久間やマネージャーの蓮見の責任を厳しく追及する。
蓮見は荒木が激しく反発するが、止むを得ず部下には所属タレントへの一層厳しい締め付けを指示する。
部下の岸本は事務所の方針に対し「人権侵害」にあたると蓮見に訴えるが、取り合ってはもらえなかった。
タレントを商品としてではなく一人の人間として見て欲しいと願う岸本は、自分の正義を貫くため社内の実態を告発する文書を外部に発表する。
しかしこの文書は社内の告発にとどまらず、芸能事務所全体に共通する問題でもあったので、大手事務所やクライアントからの怒りをかってしまう。
このままでは事務所の存続すら危うくなると荒木は憤り、岸本に退職を迫るが、これに岸本や上司の蓮見が反発し、部員全体を巻き込んだ論争となる。
タレントは人間か商品か、タレントはメディアで政治的発言をしてはいけないのか、何でも大手事務所の言いなりにならなくてはいけないのか、
論争の中で浮かび上がる部員たちの本音と建前から、彼らの生活実体が浮かび上がってくる。
一時は売上至上主義でタレントは商品と割り切る荒木の方針が勝利するかに見えたが・・・・・・。

今のTV業界は大手芸能プロ数社が握っていると言っても過言ではない。NHK紅白、レコード大賞、バラエティ、ワイドショー、ドラマ、CM、いずれをとっても、大手プロダクションの息のかかったタレントが主要ポストを占めている。
そして逆らえば干される。
劇中で、ワイドショーのコメンテーターに必ず政府側のタレントを入れるというセリフがあったが、事実だろう。それが連中のいう政治的中立だそうだ。
仕事を貰うために女性タレントたちが有力者に身体を提供する「枕営業」についても語られていた。
こんな腐った状況を放置しておけば、やがてTV自体が見放されてゆき、そうなれば芸能プロも全部無くなるという予言は、あり得ることだ。
「沈黙は迎合している事と同じだ」
「お前の戦争反対は感情だが、俺は理性で反対している」
これも蓮見のセリフだ。

今日的テーマに鋭く切り込んだ2時間の舞台は、終始緊張感に包まれていて、見ごたえがあった。
芸能プロの内情から出発し、やがて日本全体の普遍的な問題に及んでいくという脚本はよく練られている。
脇の出演者にセリフのミスがあったのは残念だったが、大家仁志、安藤瞳、津田真澄の好演が光る。

公演は17日まで。

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