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2018/01/20

鈴本正月二之席・夜(2018/1/19)

鈴本演芸場正月二之席夜の部・9日目

前座・春風亭朝七『桃太郎』
<   番組  >
古今亭駒次『ガールトーク』
ダーク広和『奇術』
古今亭菊之丞『たらちね』
三遊亭白鳥『ナースコール』
ホームラン『漫才』
柳家さん助『もぐら泥』
桃月庵白酒『粗忽長屋』
─仲入り─
ぺぺ桜井『ギター漫談』
五街道雲助『新三十石』
ストレート松浦『ジャグリング』
柳家喬太郎『ハンバーグができるまで』

色々あって、19日が今年の初席となってしまった。最近では最も遅い聴き初めである。
喬太郎がトリということで、昼の部(こちらもトリガ一之輔とあって大勢入っていたようだ)がはねる頃には長い行列ができていた。大半はトリ目当てだと思うが、近くの席の人は早くから並んでいたのに、トリが上がる直前に出て行ってしまった。色んな人がいる。
感想をいくつか。

朝七『桃太郎』、なんだか老成した感じの前座だった。

駒次『ガールトーク』
マクラで師匠の話題が出たが、亡くなった事には触れなかった。こういう目出度い席では訃報は避けるものらしい。
ネタは、噂話というのはその場にいない人の悪口になるというストーリー。
古今亭志ん駒は、1月18日に死去した。81歳だった。
明るい元気の良い高座で楽しませてくれた。志ん生最後の弟子で、高座でも度々師匠のエピソードを披露していた。
駒次は今秋真打に昇進予定で、晴れの高座に同席できなかったことは心残りだったろうと推察する。
ご冥福を祈る。

ダーク広和『奇術』
TVに呼ばれないとこぼしていたが、もっと観客にアッピールする様な演出を考えたらどうだろうか。地味すぎて、せっかくの技能が伝わらないのだ。

菊之丞『たらちね』
ちょっと一息、という高座。

白鳥『ナースコール』
毎度お馴染みの新作で、入院中の爺さんが看護婦の体を触りたくて、やたらナースコールを押すと言う噺。他愛ないが、よく受けていた。

ホームラン『漫才』
この日はいつもに比べパワー不足。

さん助『もぐら泥』
上方では『おごろもち盗人』というタイトルで当代の松喬らが得意としているが、東京では演じ手が少ない。さん助は二ツ目時代から度々高座にかけている。とぼけたキャラがネタに似合っている。

白酒『粗忽長屋』
この日もっとも客席の笑いを取ったのはこの人。
行き倒れを兄弟分の熊だと主張し、その熊を連れてきた男が、行き倒れの当人は自分だと言い出すという、ちょっと変わったストーリー。
主観と客観というテーマもあるし、思い込みがどんどん真実から遠ざけて行くという、このネタはけっこう教訓的な物語なんだなと改めて感じた。

雲助『新三十石』
訛りのひどい浪曲師が、入れ歯をほき出したりはめ直したりしながら『森の石松、三十石船』を唸るというものだが、ただただ抱腹絶倒。

喬太郎『ハンバーグができるまで』
池袋の街の変遷を話題にした長目のマクラからネタへ。
この噺は恐らく10回は聴いていると思うが、この日気が付いたことは「間」の取り方だ。
3年前に別れた妻がいきなり訪ねてきて、男の大好物のハンバーグを手作りしてくれるという。元妻に未練があり、独り暮らしに悶々としていた男は、もしかしてヨリが戻るんじゃないかと期待する。
処が、女性は近々再婚が決まり、その報告に来たのだと言う。
女性からすれば会って直接報告したいという気持ちだったろうが、男にとってはこれほど残酷なことはない。
もう出て行ってくれという男の言葉に女性は去ってゆき、一人残った男は黙々とハンバーグを食べる。そして生まれた初めて元妻が調理したニンジンを口に入れ、「ニンジンってけっこう甘いじゃないか」で終わる。
見所は、最後の場面で男が万感の思いを胸にハンバーグを食べるシーンで、ここで喬太郎は男の動作やセリフにかなり長い「間」を置いている。
落語の「間」というより、芝居の「間」だ。
演劇の経験のある喬太郎だからこそ、自然に演じることが出来るのだろう。
最終シーンは落語ではなく、一人芝居で演じていた様に見えたし、そこがこのネタが成功の鍵たと思う。

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コメント

落語協会オールスターズという番組ですね。
志ん駒による志ん生のエピソード。入門するために家を訪ねると、服に納豆をつけて出てきた、落語全集(だったかな?)を貸してくれた、これ読んでよく勉強なさい・・・
威勢の良い職人のような風貌で、小柄なので驚きました。披露目を控えている駒次の胸中はいかに、と思います。

福様
志ん駒は若い人にはお馴染みがないようで、追悼記事も少なく見えたので本稿で採り上げました。
駒次はただ一人の弟子なので、残念だったと思います。

ダーク、同感です。
わざとやっているのでしょうが、ちょっともったいないような気がします。

そうそう、本題は志ん駒、亡くなってみると寂しくて涙が出てきます。
自衛隊の手信号などももう見られない。
あの世で志ん生を銭湯に連れて行ってるかな。

佐平次様
手品の技術そのものではダーク大和が一番でしょうが、自分の趣味の世界に入っているようで、客席へのアッピールが足りません。
風貌も手品師らしくないですし。

佐平次様
志ん駒は師匠は志ん生から先代馬生、さらに志ん朝と代わって行きましたが、高座では専ら志ん生との思い出を語っていました。やはり好きだったんでしょうね。

志ん駒師
寄席中継でも幇間噺を掛けていたのを覚えています。
隅田川の水が温む頃には、寄席に行きたいものです。

蚤とり侍様
こうして皆さんから志ん駒を偲ぶコメントが寄せられるのは嬉しいことです。
暖かい春が待たれますね。

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