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2018/03/12

らくご・古金亭ふたたび(2018/3/11)

第7回「らくご・古金亭ふたたび」
日時:2018年3月11日(日)13時
会場:お江戸日本橋亭
<  番組  >
前座・金原亭小駒『高砂や』
隅田川馬石『湯屋番』
金原亭馬生『子は鎹』
~仲入り~
初音屋左橋『試し酒』
五街道雲助『明烏』

5代目志ん生と10代目馬生が演じたネタだけを掛ける、この会。
雲助と当代馬生の二人がレギュラーで、他に一門の噺家とゲストが加わる。

3月は春に向かって明るい季節だが、10日は東京大空襲、11日は東日本大震災の記念日とあって、辛い思い出の日々が続く。
政治の世界では、森友問題に関連して財務省の公文書改ざんが発覚し、これからの政界を揺るがすことになる。
興味深いのは、森友問題は些末なことで国会で論議すること自体が的外れだと主張してきた人たちが、あわてて論調を変えてきたことだ。
なかには以前の投稿を訂正する人も出てきているが、これなどは未だ良心的といえる。そうでない連中は頬被りを決め込んでいる。
「蟻の一穴天下の破れ」の諺あり、面白くなってきた。

小駒『高砂や』
このネタ、前座が演じるには荷が重い。

馬石『湯屋番』
通常は居候している若旦那が世話をしている棟梁の紹介で湯屋の奉公を勧められるが、馬石の高座では若旦那が自ら湯屋の奉公を決めてくる。
若旦那の目的は
①湯屋の主人が死ねば、後家に婿入りして湯屋の主となる
②番台に座れば女湯を自由に眺められる
③粋な女性客と知り合い、深い仲になれる
というもの。
落語に出て来る男は例外なく女好きだが、このネタの若旦那はずば抜けた好色だ。頭の中は女の事だけ。
馬石はこの脳天気ぶりを身振り手振りで徹底的に表現する。その大胆な表現力によって風呂場にいる客たちさえも若旦那がいま何を想像しているかが分かり、一緒になって楽しむ始末。
番台での若旦那の妄想と、風呂場の客たちのリアルな反応という取り合わせ。
馬石しか表現できないと思われる世界を創りだしていた。

馬生『子は鎹』
マクラで鎹を丁寧に説明していたが、サゲを理解する上で大事なことだ。
最初に『子別れ』の上中を要約して紹介したが、これも重要で、この噺の父親がどういう素行の人物で、なぜ女房と息子と別れたのかを知らないと、下のネタの再会と復縁に共感できないだろう。
かつて「別れても好きな人」という歌がヒットしたが、この夫婦はズバリそのものだ。
馬生の高座は、特に女房の情感を細やかに描いていた。
サービスの『夜桜』の踊りも結構でした。

左橋『試し酒』
演者から、この日の高座は「なかった事にして欲しい」という申し出があったので、割愛する。アタシも2度目の経験だということで、中身は想像願いたい。
終わってからの動物物真似はなかなか楽しかった。

雲助『明烏』
このネタは数多くの演者によって高座に掛かっているが、現役では雲助がベストだろう。
遊び人の二人が、大店の主に頼まれ堅物の息子をお参りだと騙して吉原に連れてゆくが、最初は廓を嫌悪して泣き喚いた若旦那が一晩花魁の手練手管にすっかりとろけてしまうという、お馴染みのストーリー。
大事な点は登場人物の描写で、とりわけ局面局面に応じて微妙に変化してゆく登場人物たちの心情を、表情の変化で観客に伝える点において雲助の巧みさが突出している。
布団から出ようとする若旦那に花魁の浦里が足を絡めて離そうとしないというくだりは、互いに相思相愛となるこれから先の『明烏夢泡雪』の展開を予測させる。
素晴らしい高座だった。

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