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2018/03/05

「花形演芸会」(2018/3/3)

第466回「花形演芸会」
日時:2018年3月3日(土)18時
会場:国立演芸場
<  番組  >
前座・柳家小多け『手紙無筆』
春風亭朝之助『壺算』
神田松之丞『ボロ忠売り出し』
母心『漫才』
三笑亭夢丸『身替り首』中島要=作
―仲入り―
ゲスト・春風亭一朝『天災』
翁家和助『曲芸』
笑福亭たま『立ち切れ』

3月の花形演芸会、何となくスル―しようとしていたが、つい数日前になって”たま”がトリだと気が付いた。これは行かざぁなるめぇと思いたち、調べたらたまたま1席空いていたので、出向くことに。
当日はもちろん満員札止め。

朝之助『壺算』
時間的制約からか、3円50銭の壺を3円にまける所があっさりとしていた。
この人の喋りには唄い調子とでもいう様な独特のリズムがある。そこは好みの分かれる所だろう。

松之丞『ボロ忠売り出し』
『天保水滸伝』より。いつもボロを着ている事からボロ忠と呼ばれていた忠吉が、親分に成り代わって塩竃の賭場で大暴れし、やがて錦の忠と呼ばれるまでに出世するという物語。
近ごろの松之丞人気はすごく、会によってはチケットの入手も困難なようだ。
テンポの良さと畳みかけるような読みが魅力なんだろうが、人物の描き方が平板。まだまだ勉強しなくてはいけない所が多い。

母心『漫才』
若手らしい勢いのある芸。
ボケ役の動きがキレイに見えるには、舞踊に裏打ちされたものだ。
楽しみな存在。

夢丸『身替り首』
中島要・作の創作落語で初代夢丸の「夢丸新江戸噺し」の一つで、師匠が死んでから途絶えていたけれど、これから少しずつ掘り返していきたいとのこと。
浪人が身投げしようとしていた町人を助けたら、相手とは瓜二つ。聞けば、町人は娘の婚礼費用の5両を博打で取られてしまい、死ぬしかいないと。そこで浪人が、5両で町人の首を買うと言い出す。その事情は、浪人はかつて同僚を殺めてしまい浪々の身の上となったが、その相手の倅が敵といって浪人を討とうとしている。相手は剣の達人なので到底かなわない。そこでソックリな町人に身代わりになって討たれてくれれば5両を渡すと言う。
町人は仕方なく引き受け、侍の恰好になって敵討ちの指定してきた場所に向かい、相手と面対する。相手が斬りかかった所でもはやこれまでと観念していたら、その相手が先に死んでいた。なんの事はない、陰に潜んでいた浪人が背後から相手を斬り殺したのだ。浪人は町人に約束の5両に加えて有り金を全て渡そうとする。「ソックリやる」でサゲ。
古典落語に出て来る身投げを助けるという噺のパロディの様になっていて、よく出来たストーリーだ。
夢丸は余計なクスグリを入れず真っ直ぐに演じていたが、物語本来の面白さを引き出して好演。

ゲストの一朝『天災』は自家薬籠中のネタで、解説は不要でしょう。マクラが前座と完全にかぶってしまったのはご愛嬌。

たま『立ち切れ』
落語家の世界では、亡くなった人のエピソードで笑うのも故人への供養になると言って、先日亡くなった桂福車の話題をマクラに本題へ。
本来は道楽者の若旦那が店に戻ると親戚一同が集まって勘当の相談。そこから番頭の差し金で若旦那が100日の蔵住まいを命じられる所か始まるが、ここまでは全てカット。
芸者小糸の使いで茶屋の者が手紙を若旦那の店に届ける所から始めた。
事情が分からぬまま100日があけて若旦那が茶屋に駆け付けるが、既に小糸は死んでいた。
茶屋の女将から小糸の最期の様子を聞かされ、後悔と無念の心情に苦しむ若旦那の苦悩が胸を打つ。仏前に向かって、これから生涯女房を持たぬと誓う姿が、小糸への最大の供養だ。
「黒髪」の弾き語りを聴きながら、断続的に語る若旦那のセリフの間が良い。
上下(かみしも)を振らないたまの語りが、このネタに合うかどうかと思っていたが、どうしてどうして立派なものだ。
1席終わってからこの噺のプロモーションビデオと称して、音楽に乗せて画用紙に書いた筋を次々と紙芝居の様にめくって見せた。
いかにも、たまらしいサービスだった。

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コメント

私も急に行こうかと思いながらやめました。
一枚の切符の争奪戦未遂事件です。

佐平次様
円熟した芸も魅力ですが、こうした上り坂の若手の高座もエキサイティングでいいもんです。

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