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2018/04/13

「一之輔・文菊 二人会」(2018/4/12)

第6回「春風亭一之輔・古今亭文菊 二人会」
日時:2018年4月12日(木)18時30分
会場:日本橋劇場
<  番組  >
前座・春風亭一猿『十徳』
古今亭文菊『あくび指南』
春風亭一之輔『鮑のし』
~仲入り~
春風亭一之輔『蒟蒻問答』
古今亭文菊『子は鎹』

時代を代表する若手といえば、00年代は喬太郎で10年代は一之輔ということになろう。落語という世界に大きなインパクトを与えたという点でも二人は共通する。
10年代の一之輔に対抗しうる若手となれば、やはり文菊だ。人気(つまり集客力)の面では大きく水をあけられているが、実力は大きな差があるとは思えない。
芸風は対照的といって良く、一之輔がマクラでしばしば自分の家族を話題にするが、片や文菊は生活臭を感じさせない。
一之輔が自分で編み出したクスグリをどんどん放り込むのに対し、文菊は真っ直ぐに演じる
噺家の力量は60代に試されるというのがアタシの持論だ。
60代になった時の二人がどのような位置にいるか、アタシは見届けることは出来ないが、果たしてどうだろうか。

文菊『あくび指南』
このネタには大きく二つの型がある。
・男がいきなりあくび指南を受けると言い出し、指南所に行く。
・男がたまたま指南所の間で掃除している粋な年増を見初め、その女目当てにあくび指南を受けると言い出し、指南所に行く。
文菊の型は後者で、実際の指南者はかの女の亭主だったので、男ががっかりするという所から始まる。
乙に気取った指南者と、失敗を繰り返す男の対比を中心に受けていたが、やや力が入り過ぎていたきらいがある。
このネタはもっと軽く演じても良いのでは。

一之輔『鮑のし』
マクラで国会のことにふれ、麻生がニヤニヤしているのを見ると自分の中にも正義感があるんだと思ってしまうと言っていた。あれは印象が悪いよね。
麻生の薄ら笑い、もしかしたら安倍を引き下ろすための高等戦術かな。
一之輔は、お人好しだが抜けている男を描くのが上手い。このネタの主人公の甚兵衛さんの造形は、いわば自家薬籠中だ。
男は魚屋に行っても「鯛」が分からない。でも魚屋が「鯛だ」というと、「怠け者?」と返す。魚屋から「鯛を知らないのに、怠惰は分かるんだね」と突っ込まれる。
この男は女房から教わった口上はロクに言えないのに、親方から教わったノシの由来は割合とスラスラ言えるのだ。
甚兵衛さんて、抜けてんだか、まともなんだか。

一之輔『蒟蒻問答』
先代正蔵-先代柳朝-一朝-一之輔という流れで、このネタは一門のお家芸と言える。
一之輔の演じる坊主や寺男の荒々しさは、大師匠の柳朝に近い。寺男が「湯灌ば踊り」の代わりに「弔い節」を唄うのだが、哀調で途中にセリフが入るのが何とも可笑しい。
問答の場面を程よく笑わせて、下がる。

文菊『子は鎹』
このネタは子どもを媒介にした男と女の物語だ。
酒を飲んでは女房に乱暴を繰り返し、遂には女房、子と離別することになった男。一時の気の迷いから女郎上りの女と所帯を持つが、直ぐに破綻する。そこで初めて目が覚め、分かれた女房への未練だけが残る。
女は手内職をしながら倅を育てるが、男への未練が断ち切れず、縁談も断って独り身を通す。
だから倅が父親と会ったと聞いた途端、女は一瞬顔を上気させる。
文菊の描くこの女房は、まさしく「女」である。
翌日、男と倅が食事している店に向かう際は化粧を施し、おそらくは身づくろいもきちんとしていたのだろう。再び男と一緒になる決心を固めていたに違いない。
それは彼女の男への強い情念だ。
文菊は、女房お光の「女」の部分に強い光をあてる演じ方で、このネタに新たな息吹を与えていた。

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コメント

文菊が軽く演じられるようになるともっともっと人気も出てくると思います。

投稿: 佐平次 | 2018/04/13 11:52

佐平次様
文菊、昨日は相手が一之輔ということで余計に力が入ったのかも知れませんが、ネタによっては軽みが必要ですね。

投稿: ほめ・く | 2018/04/13 15:16

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