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2018/04/22

朝日名人会(2018/4/21)

第178回「朝日名人会」
日時:2018年4月21日(土)14時
会場:有楽町朝日ホール
<  番組  >
三遊亭歌太郎『がまの油』
柳家花緑『井戸の茶碗』
入船亭扇遊『干物箱』
~仲入り~
隅田川馬石『三年目』
立川志の輔『小間物屋政談』

歌太郎『がまの油』
昨年にNHK新人落語大賞を受賞したこの人の高座を観るのも、今回の目的の一つだった。
この会は毎回二ツ目は一人だけで他は真打、それも売れっ子の真打が並ぶため、なかには気後れしてしまう者もいるが、歌太郎は全くそうした素振りを見せず堂々としていた。
マクラで客席を掴んでいたし、ネタも丁寧に演じていて悪くない。
ただ、がまの油売りの口上には工夫が要ると思った。時おり、講釈師のように扇子で足をポンポンと叩いていたが、あれはリズムを崩す。ここは口上を得意としていた3代目柳好や3代目金馬のように、唄い調子で流れるような口立てで演じるのが正解ではなかろうか。
いずれにしろ期待の若手であることは間違いない。

花緑『井戸の茶碗』
マクラで人口は減り続けてるのに、落語家は増え続けている。気が付いたら日本人がみな落語家になるんじゃないかと言っていた。
本人とすれば好きでなるんだろうが、その前に適性を考えたほうがいい。どう見ても不向きと思える人もいるしね。
ネタは、客席からは受けていたが、感心しなかった。むしろ花緑の欠点が目立つ高座だったと思う。それは登場人物のセリフに、演者の地のセリフが混ざってくるのだ。だから清兵衛がまるで現代人の様に映るし、思わず「ドア」なんて言葉が飛び出したのもそのためだ。
特にこのネタはもっと真っ直ぐに演じるべきものだと思う。

扇遊『干物箱』
若旦那の身代わりになった善公が2階に上がってから、若旦那と花魁とのイチャツキを連想して騒ぎ、果ては花魁から若旦那にあてた手紙を読むと善公の悪口が書かれていて、思わず大声で怒鳴ってしまい親父にバレルという演じ方。ここが何とも可笑しい。
古典は真っ直ぐに演じても十分面白いという見本のような高座。

馬石『三年目』
結論からいえば、不出来。何が悪かったかというと、ダレてしまったこと。
重い病で重篤状態になった女房だが、愛する亭主が後添えを貰って自分同様に新しい女房を可愛がると思うと、死んでも死にきれない。そこで亭主が再婚した初夜に幽霊になって化けて出るという約束をするが、3年経ってからようやく幽霊になって出て来る。それは坊主頭じゃ恥ずかしいので、髪が元のように伸びるのを待っていた。
この女房の究極ともいえる純愛、あるいは究極の嫉妬心とでも言おうか、そこを描くのが肝要だが、馬石の高座では感じられなかった。
亭主と女房との不毛とも思える会話をダラダラと続けたのも、無意味。

志の輔『小間物屋政談』
過去177回の朝日名人会の中で、このネタが演じられたのは1回だそうで、理由は長い割に面白くないからだと言っていた。
私もこのネタをナマで聴くのは初めてだ。因みに圓生と5代目圓楽のCDは持っているが、それぞれ欠点がある。
圓生のものは晩年の高座だったせいか、裁きの場面で奉行が原告と被告の名前を取り違えるというミスを犯している。
圓楽の方は、この人ってこんなに下手だったのかと思えるほどの不出来だ。
それだけ難しいネタなんだろう。
この物語は大きく3つに分かれる。
上では、若狭屋甚兵衛が死んだのを、手違いで相生屋小四郎が死んだことになるまで。
中は、再婚していた女房・お時の所へ小四郎が戻ってきて、大揉めになるまで。
下は、大岡裁きで大団円となるまで。
志の輔の演じ方は、上中下の間にトークを挟んで少し間を置き、観客に一息いれさせた点に工夫を感じる。場面転換の幕間とでも言おうか。
他では、小四郎が誤って死んだことにされると同時に人別帳から抜かれてしまったという設定にしていたこと。これは当然ではあるが、圓生や圓楽では触れておらず、後の問題解決にも重要なポイントとなる。
また、奉行の裁きの場面では、全体の裁きの後で小四郎だけを残し、若狭屋の女房と見合わせるというのも理にかなっている。この部分は他の登場人物とは切り離した方が自然だし、聞く側も理解しやすい。
志の輔の演出が成功した一席で、終演。

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寄席・落語」カテゴリの記事

コメント

終わり良ければ・・・・と、言う訳にはいきませんね


馬石師は好きな(好感の持てる)噺家さんだけに残念です

6月頃には寄席か落語会に行きたいものです
もしくは、私のハンドルネームの映画とか(笑)

蚤とり侍様
私も馬石は好きな噺家ですが、この日は感心しなかったですね。
こういう時もあります。

三年目は私的には辛い噺です。
そもそもがあまり聴きたい内容でもないですね。

佐平次様
こういうネタは聴く人によって捉えかたが異なるのでしょう。
お気持ちはお察しいたします。

うかがいたいのは当日の客の入りです。
知名度のある出演者ばかり、人気者の志の輔がトリとあっては大入りだったでしょうか?
というのも、寄席では人気者が出ても半分くらいしか埋まらないことがあり、斯界もスター不足なのかな?と残念な思いをすることがしばしばあったもので。

福様
早めに前売り完売となりました。6月の回も既に完売です。
この会は、毎回客の入りがいいです。

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