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2018/04/09

月亭可朝の死去を悼む

以下はデイリースポーツ4月9日付記事より引用

【カンカン帽で「嘆きのボイン」を歌った落語家の月亭可朝(本名・鈴木傑=すずき・まさる)さんが3月28日に急性肺腺維症のために兵庫県内の病院で亡くなったことが9日、分かった。80歳だった。
高校を卒業後に3代目林家染丸に入門するも女性問題を起こして破門。
人間国宝だった3代目桂米朝にひろわれ、米朝一門の筆頭弟子となった。
1969(昭和44)年にコミックソング「嘆きのボイン」を発売し大ヒット。
その後も国政選挙への出馬と落選、ストーカー事件で逮捕されるなど破天荒な生きざまを貫いた。
通夜、葬儀・告別式は故人の意思で密葬で営まれた。】

3月11日に東京での独演会が予定されていたが、入院が長引いているので中止という連絡があり心配していたが、帰らぬ人となってしまった。
私が可朝の高座に接したのは2回で、いずれも昨年の独演会「可朝のハナシ」で、会場はお江戸日本橋亭だった。
日にちと可朝の演目は次の通り。
1月21日 『世帯念仏』 『色事根問』
8月19日 『鰻屋』 『算段の平兵衛』
扇子をひらひらさせながら踊る様な足取りで高座に上がってくる姿は、実に粋だった。
どの高座もやはり米朝の弟子だと思わせるものだったが、『算段の平兵衛』では、米朝の高座では平兵衛をどこか憎めない人物に描き、陰惨なストーリーを明るく描いていた。
対する可朝の高座は端正な語りで、ドロドロとした人間の業をさらけ出す様な演じ方だった。サゲを含めて自身の独自の解釈で演じたと思われ、深く印象に残った


8月の会ではゲストのせんだみつおとの対談で、自らのエピソードも披露していた。
・最初の師匠をしくじったのは女性問題。師匠が可愛がっていた芸妓に誘われて部屋に上がって一晩過ごした。翌朝、朝食の買い物に出かけた彼女の後を歩いていたら、師匠とパッタリで、即破門。
・しかし、その芸妓とは何のやましい事はなく、破門は厳しすぎるということで米朝に拾われ、弟子入りした。
せっかく弟子になったので小米朝を名乗りたいと申し出たら(「小米朝」は字画が、3,6,12と倍々になっていて縁起がいいと易者に勧められたのが理由)、米朝から弟子が自分の名をつける奴があるかと叱られた。傍にいたお上さんが、本人がこれだけ欲しがってるんだからと後押ししてくれて、望み通り小米朝に決まったという。
・可朝が馬券で大当りして100万円近い金を得た。さて何に使おうかと車の中で思案していたら、仏壇屋が目にとまった。そうだ、仏壇を買おうと有り金はたいて仏壇を購入。サービスに大きな蝋燭を付けてくれた。
仏壇にお灯明をあげるのでその蝋燭を使ったが、大き過ぎて仏壇に火がまわり、そのため自宅が全焼してしまった。
可朝は病院に見舞いに行っていたら、仲間から「あんたの家が火事や」と電話があった。たまたまその日が4月1日で、てっきりエイプリルフールの冗談だと思った可朝は、「そう、いま家を燃やしてるねん」と平然としていた。

落語の登場人物を地で行くような生き方と言ってもいいだろう。
晩年の可朝の高座を聴けたのは幸いだった。

ご冥福を祈る。

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寄席・落語」カテゴリの記事

コメント

可朝を追悼してくださって有りがたい限りです。
僕のイメージでは、穂積隆信が粋な帽子をかぶり、髭を蓄えてギターで語るように歌い、世相を斬る、じゃなくて囃す、という感じです。まぎれもなくそこには戦後の昭和があったと思います。
本格派の落語家とは知らなんだ・・・

福様
私も可朝のイメージというのはそんな所でした。
ある記事を読んで、師匠譲りの古典を演じるとあったので独演会に行こうと思いました。
あの味のある高座は、もっと聴きたかったですね。

10年前に談春の独演会にサプライズで登場、「世帯念仏」をちょっとやって談春とトークしてた(と、我がブログになり)。
噺家、ですねえ。

佐平次様
3月11日に予定していた独演会は完売だったようで、可朝の高座に期待していた人が多かったわけです。ちょっとエッチなマクラも楽しみでした。

 ライヴで聴きたかった噺家さんの一人でした。合掌

 鈴本下席の市馬師『三十石』良かったですヨ

蚤とり侍様
カンカン帽かぶって古典落語、それが許されたのは可朝の人徳でしょうか。
私には、ああいう破天荒な生き方に魅かれたんです。

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