かめあり亭(2018/5/13)
かめあり亭第35弾「小三治、小里ん、文菊~江戸落語の粋を聴く~」
日時:2018年5月13日(日)14時
会場:かめありリリオホール
< 番組 >
柳家小もん『たらちね』
柳家小里ん『試し酒』
~仲入り~
古今亭文菊『火焔太鼓』
柳家小三治『野ざらし』
かめありリリオホールはお初。駅の目の前で雨の日は助かるが、我が家からだとあまり足便は良くない。
客席は傾斜が大きく見やすいのだが、たまたま私の周囲だけだったかも知れないが、マナーの悪い人が目についた。それも数名。
この会場のリピーターにはなれそうもない。
小もん『たらちね』
3月下席から二ツ目に昇進して、小たけから改名。
この人の最初に前座の高座を見た時は、上手い若手が出てきたなという印象だった。
しかし、その後は足踏みしている様に思える。セリフにもっとメリハリが要るのでは。
小里ん『試し酒』
毎度のことながら、非の打ちどころがない完成度の高い高座だと思う。しかしどうだろう、このネタを得意としていた先代小さんや志ん朝に比べると面白味に欠けるのだ。
それは愛嬌というか、艶というか、そういうものが足りないからだと思う。だから、大酒呑みの清蔵という人物に魅力が乏しいのだ。
小里んの上手さには感心するのだが、その点がいつも不満として残ってしまう。
文菊『火焔太鼓』
文菊の良さは丁寧さだ。セリフの、所作の一つ一つがよく練られていて、丁寧に演じる。隅々まで計算して演じているのがよく分かる。
やたら気の強い女房と、人は良いのだが小心翼々とした甚兵衛との対比も明確に描いている。
ただ、これを十八番としていた大師匠の志ん生が演じる甚兵衛夫婦は、演者自身の経験に裏打ちされていて、生活感に溢れていた。
文菊の高座ではそこが出せていない。ただこれは文菊だけの問題ではなく、古典に登場する人物を今の若手がどう描けるのかという共通の課題ではあるのだが。
小三治『野ざらし』
マクラで会場が亀有なので、その連想から淀橋浄水場のこと、更には江戸の町が世界一の人口になったのは幕府が多摩川水系から水道水を江戸の町に供給できたからだという話題。江戸時代の官僚組織が優秀だったわけだ。もっとも金町浄水場は1926年に造られたので、江戸の話題とはずれるのだが。
もう一つは、別冊太陽という雑誌に小三治特集が企画されていて、先日某有名カメラマンによる撮影が行われたとのこと。その時に、自分が被写体になってはじめて人物スナップ写真の撮り方のコツみたいなものが分かったという話題。
マクラだけで終わるかと思ったら、ネタに入った。
全体としてとても元気だという印象だったが、ご本人が「ちゃんとした落語を聴きたいと思ってもダメですよ」と自虐的に語っていたように、やはり衰えは隠せない。
こういう小三治がいいんだ、という声もあるのだろう。
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この頃なんだか小三治を追いかける気持ちが失せてきました。
投稿: 佐平次 | 2018/05/14 13:34
佐平次様
『野ざらし』で、同じセリフの繰り返しがあり、ちょっと心配です。声は良く出ていました。
投稿: ほめ・く | 2018/05/14 18:07