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2018/05/24

ヘンリー五世(2018/5/23)

「ヘンリー五世」
日時:2018年5月23日 (水) 13時
会場:新国立劇場 中劇場

作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:小田島雄志
演出:鵜山仁
<  主なキャスト  >
浦井健治:ヘンリー五世
岡本健一:ピストル
中嶋朋子:王女キャサリン
立川三貴:シャルル六世
水野龍司:ウエストモランド伯
吉村直:騎士ガワー
木下浩之:皇太ルイ
田代隆秀:キャンタベリー大司教/オルレアン公
塩田朋子:王妃イザベル
浅野雅博:エクセター公
横田栄司:騎士フルーエリン
那須佐代子:ネル/アリス
勝部演之:イーリー司教/バーガンディー公
金内喜久夫:ハーフラー市長/騎士トーマス・アーピンガム
小長谷勝彦、下総源太朗、櫻井章喜、清原達之、
鍛治直人、川辺邦弘、亀田佳明、松角洋平、内藤裕志、
田中菜生、鈴木陽丈、小比類巻諒介、永岡玲央

【あらすじ】
即位したばかりのヘンリー五世の宮廷にフランスからの使節が訪れる。さきごろヘンリーの曽祖父エドワード三世の権利に基づき要求した公爵領への返事を、フランス皇太子から遣わされたのだ。そこにはヘンリーの要求への拒否だけではなく、贈呈として宝箱一箱が添えられていた。中身は、一杯に詰められたテニスボール。それは、若き日のヘンリーの放埒を皮肉った、皇太子からの侮蔑だった。それを見たヘンリーは、ただちにフランスへの進軍を決意し、フランスに内通していたケンブリッジ伯らを処刑する。
フランスに上陸したヘンリー五世の軍は苦戦しながらも、軍勢において圧倒的に不利だったアジンコート(アザンクール)の戦いに大勝利し、シャルル六世を降伏させる。その後フランスと講和(トロワ条約)を結び、フランスの王女キャサリンを王妃に迎える。

このシェイクスピア劇を観た当時のロンドン市民らは、さぞかし痛快な思いをしただろう。何しろイギリス軍がにっくきフランス軍に大勝利してというストーリーなのだから。
私たちは既に「ヘンリー四世」を観ており、五世の皇太子時代の悪い遊び仲間(フォールスタッフの仲間)との放埓な生活を知っているので、王に即位した彼の姿をまるで息子の成長を見るような気分になる。
そのフォールスタッフの仲間の連中も、この劇ではフランスとの戦争に従軍し、仲間の一人であるピストルの奮戦ぶりが描かれている。
フランスで苦戦していたヘンリー五世が家来からマントを借りて羽織り、一人でうずくまって思案していると、そこに兵士が現れ国王とも知らず話しかける。兵士との他愛ない会話で元気を取り戻した国王が、兵士と手袋を交換し再会を誓い合う。
何だか「暴れん坊将軍」や「遠山の金さん」を連想させるような筋立てだ。
ただ大きな違いは、ヘンリー五世の方は例え知り合いでも規律に反する者は容赦なく切り捨てる非情さがあることだ。
またイギリス軍といえどもスコットランドやウエールズ、アイルランドなどの地域の兵士も従軍しているので、お互い訛りがあるので言葉が通じない。これを邦訳では東北弁や九州弁などで表現していて、可笑しみを出していた。
イギリスに負けたフランスの王女が、お付きの者から一所懸命に英語のレッスンを受けるシーンもある。
本来は政略結婚だったヘンリーとの婚姻も、劇中ではヘンリーがキャサリンに恋してプロポーズするという筋にしている。
こうした味付けが劇の中身を膨らませ、約3時間の芝居を楽しませてくれた。
今回初めて一連のシェイクスピア劇を観たのだが、こうした大衆性がシェイクスピア作劇の人気の源なのだと感じた。
一連の作品の上演にあたり、スタッフや出演者をほぼ固定するという試みは、観る側にとって安心感をを与えるという効果があったようだ。

公演は6月3日まで。

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