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2018/05/06

にぎわい座名作落語の夕べ(2018/5/5)

第188回「にぎわい座名作落語の夕べ~柳家の芸、古今亭の芸」

日時:2018年5月5日(土)18時
会場:横浜にぎわい座 芸能ホール
<  番組  >
前座・柳家寿伴『狸札』
隅田川馬石『船徳』
柳家花緑『試し酒』
《仲入り》
古今亭菊之丞『火焔太鼓』
柳家さん喬『笠碁』
(全てネタ出し)

「にぎわい座名作落語の夕べ」は昨年ぐらいから企画ものになり、今回は「柳家の芸、古今亭の芸」がテーマ。
とは言っても、一昔前とは違って「派」によるネタの違い、演じ方の違い、芸風の違いは少なくなっている。今や門外不出のネタなんて皆無じゃなかろうか。
この日は柳家が先代小さんの十八番を、古今亭が志ん生や志ん朝の十八番を、それぞれの一門の後輩が演じるという趣向。
補助席も出る満員盛況だった。

馬石『船徳』
馬石の芸風を一口に言うと、フンワリだろう。懐の深さが滑稽噺でも人情噺でもいけるというのが強味だ。
先ずは、そのフンワリ振りがこのネタの主人公である徳さんとよく合っていた。
座高(身長)が高いのと手が長いので、動作が大きく見えるのも利点だ。その利点を活かして竿の突っ張り方や、船上での客の身体の揺らし方を大きく見せることが出来る。徳さんが船を出す前に乙に気取って見せる姿も良かったし、船が石垣につきそうになるのを客の二人が腕で拡げながら防ぐ姿も型にはまっていた。
最後の場面では、徳さんが船を桟橋につける方法を未だ習っていなかったというのは、この人のアイディアだろうか。
馬石の持ち味が活かされて好演。

花緑『試し酒』
良い出来だった。
余計なクスグリや、地のセリフも入らす、真っ直ぐに演じたことが良かったと思う。
先ず、酒の飲みっぷりがいい。見ていて確かに大きな盃で1升あけたんだなと思える飲み方だった。
清蔵が飲むにつけ、次第に酔っぱらっていく様子も巧みに描いていた。
久々に花緑の良い高座を観られた。

菊之丞『火焔太鼓』
マクラから客席を引き込む巧さに感心する。芸能ゴシップを話題にしながら、季節の物売りの声、そして道具屋の小噺から本題に入る。
菊之丞の芸風を一口にいうと、サッパリとした芸ということになろう。それが時には物足りなさを感じさせることもあるが、この日のように『試し酒』と『笠碁』の間に挟まれると、こういう演じ方のほうが納まりが良い。

さん喬『笠碁』
私事になるが、私の兄は将棋が強かった。最初は父親が教えたのだが、小学校上級の頃には父は全く歯が立たなくなっていた。近所に将棋に凝ってる人がいて、兄との一番を希望する。兄は昼間は仕事をして夜間学校に通っていたので、帰宅は夜の10時過ぎだ。すると対戦希望者はそれまでじっと待っていて、帰宅した兄をつかまえて将棋を始めるのだ。兄も仕事と学校で疲れているんだろうが、嫌な顔もせず相手をしていた。
そういう姿を見ていたから、碁将棋に凝る人の気持ちは良く分かる。
この噺のポイントは、二人とも大店の大旦那で、それが碁の待ったをめぐって子どもの様な喧嘩をする所だ。
若い人が演じると、二人がどう見ても大旦那とは思えないということになる。演者に年の功が要る。
さん喬は、二人の喧嘩-退屈の様子-意地の張り合い-仲直りというプロセスを、緩急を織り込みながら演じて見せた。
サゲで、さん喬は通常の「まだ菅笠をかぶったまま」の後を続けて独自のサゲをつけていたが、これは好みの分かれる所だろう。

4席、結構でした。

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コメント

評価の難しい落語家に花緑がいます。
こう考えました、極力小さんの孫ということで見ないようにしてみよう。
それが夾雑物になっている・・・
すると、小ざっぱりとした口調のうまい中堅真打がいるということになります。
齢を重ねるにつれて円熟した境地に達すると信じております。

碁将棋に強い人って尊敬します。
ほんとの頭のイイ人なんですね。

福様
花緑自身が自虐的にお坊ちゃん風情を語ることがありますが、あそこは乗り越えて欲しいですね。

佐平次様
頭が良いかどうかは分かりませんが、兄は仕事を続けながら高校大学を夜間で卒業したんですから、努力家ではありました。
私とは大違いです。

 馬石師と菊之丞師のネタが逆でも良かったですかね。菊之丞師の若旦那噺は言わず物がですが、馬石師の甚兵衛さんも味があってよいのでは。
 珍しく花緑師の評価が良いのにビックリ!考えたら、真打の弟子がいるほどのキャリアがあるのですね。
 さん喬師は人情噺も良いですが滑稽話の方が好きです。
 
  

蚤とり侍様
馬石の火焔、菊之丞の船徳、いずれも悪くないですが、この日はこの組み合わせがベストでした。
私も、さん喬は滑稽噺の方が似合っていると思っています。

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