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2018/05/22

5月文楽公演第二部「彦山権現誓助剣」(2018/5/21)

「彦山権現誓助剣(ひこさんごんげんちかいのすけだち)」
須磨浦の段
瓢簞棚の段
杉坂墓所の段
毛谷村六助住家の段
日時:2018年5月21日(月)16時
会場:国立劇場 小劇場

【あらすじ】
作者は、梅野下風と近松保蔵で、初演は天保6年(1786年)。仇討物語だ。
物語の背景は秀吉の朝鮮出兵で、それに明智光秀の遺恨がからむ。
秀吉より命令を受けた大名は剣術の優れた者をスカウトせねばならなくなった。その一人が彦山の麓にある毛谷村に住む六助という男で、吉岡一味斎という剣術指南役から手ほどきを受け一巻を伝授される。
また六助を見込んだ一味斎は長女のお園の婿に迎え家督を継がせようとしていた。次女のお菊は既に他家に嫁いでおり、弥三松という男の子がいる。
そのお菊に横恋慕していた京極内匠は一味斎との御前試合に敗れた腹いせに、一味斎を暗殺し逃亡する。
敵討の許しを得たお園は母のお幸と、お菊は弥三松を連れて、それぞれ仇討の旅に出る。
「須磨浦の段」
お菊は仇の一味斎に出会うが、返り討ちにあって殺される。幼い弥三松は葛篭に入っていて難を逃れる。
「瓢簞棚の段」
博徒に扮していた内匠は光秀の亡霊に導かれて自分が光秀の遺児だと知り、織田家の名刀・蛙丸を手に入れる。瓢箪棚でお園は名刀をめぐって内匠と斬り合いになるが、内匠は秀吉の象徴である瓢箪を切り払い、逃げてゆく。
「杉坂墓所の段」
小倉藩は、六助と試合をして勝った者を五百石で召し抱えるとう高札を立てる。
六助の前へ微塵弾正と名乗る男が現れ、病弱な母親に孝行するために剣術の試合に負けてくれと頼まれる。人が良い六助は頼みを引き受ける。
六助はまた瀕死の男から幼い男児を託されるが、この男児が実は殺されたお菊の子の弥三松だと後から分かる。
「毛谷村六助住家の段」
約束通り六助は御前試合で相手に負けてやるが、相手は感謝どころか尊大な態度に出て、六助の眉間を割る始末。
六助の家に老女が訪れ一夜の宿を借りるが、自分を母親だと思ってくれと言うので奥の部屋に泊める。
六助は預かった弥三松の着物を家の外に干しておいたが、その着物を見て虚無僧が来て「家来の敵」と六助に斬りかかる。その虚無僧は実は女で、弥三松が女の顔を見て「おばさまか」と縋りつく。
六助が弥三松を預かることになったいきさつを話し名を名乗ると、女も女は一味斎の姉娘のお園であることを明かし、父が内匠に殺された経緯を語る。
そこに奥から最前の老女が現れるが、老女は一味斎の妻でお園の母親のお幸だった。六助をお園はお幸の前で祝言をあげる。三人が今までの事を話し合っていると、六助が御前試合で負けてやった男こそが仇の内匠だと分かる。
六助は師であり舅である一味斎の敵を討つ決心をして、勇んで支度をする。

イヤー、面白かった。予想以上だった。
人物でいえば、お園という女性は剣術の達人にして力持ち、男装して虚無僧に扮したりするのだが、相手が許嫁の六助と分かるといきなり「お前の女房」と言い出し、シナを作ったり、姉さんかぶりで竈の火をおこしたりと、すっかり女房気取り。その反面、三々九度の酒を一気にあおるなど、豪快な面も見せる。
古典の歌舞伎にはあまりお目にかかった事がない女性像で、興味を魅かれた。

そして何より文楽の醍醐味である、太夫と三味線と人形が一体となった素晴らしい演技が見られた。
とりわけ瓢簞棚の段の「奥」での
竹本津駒太夫
鶴沢藤蔵
お園:吉田和生
内匠:吉田玉志
また、毛谷村六助住家の段の「奥」での
竹本千歳太夫
豊澤冨助
六助:吉田玉男
お園:吉田和生
太夫と三味線と人形遣いのぶつかり合いは感動的だった。
文楽の素晴らしさを改めて感じさせてくれた。

文楽に詳しい方のサイトを見ると、大阪での公演は空席が多い反面、東京公演では土日ともなるとチケットが取れないという悩みがあるという。確かにこの日も平日にも拘わらず、入りが良かった。
その方は、文楽公演は東京中心にすべきだと主張しておられるが、一考を要するだろう。

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